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第63話「説得」

気づいた時には伊織の母親は会長の背後を取り腕で首の周りを囲んでいた。

その付近で麻友たち生徒会メンバーは怯えてどうすることもできない。


「生徒会長さん、あなたのお父様は私が始末した」


母親はそう言うと会長の首回りを囲んでる腕をぐいっと強くした。

会長は苦しそうにぐっとこらえる。


「あなたは何が目的なの?」


「何が目的って?そりゃ高持家を潰すことよ」


「私、いいや、お父様もあなたに悪いことはしてないはず」


「それがしたのよ。旦那は車の販売店で店員をしていた。とても賢く接待も良いと評判だったのにある時高持家の当主がやってきた」


みんなは伊織の母親の話を聞いていた。


「何をしてきたと思う?二度と職に就けないように日本中に悪い噂を流したのよ」


「旦那だけ済むのであれば多少は我慢できたけどその飛び石は私にまでかかってきた。あの当主、旦那と私の生活をめちゃくちゃにしてしかも働いてお金を稼ぐことすら出来なくしたのよ」


母親は歯を食いしばると余程悔しかったのかいら立ちを込めた。


「あなたは優しい人なのね」


「はあ?」


「旦那さんと離婚しないでここまで来たんですもの、普通だったら別れるはずよ」


そう苦しみながら会長は伝えると伊織の母親は更にグっと腕に力を入れる。


「綺麗ごと言ってるんじゃないわよ、あなたみたいなお金持ちに私たちのような貧しい人の気持ちは分かるはずがない」


「ええ、そう思い込んでるならきっと分からないでしょうね」


「会長…」


麻友は声をあげるとそのまま会長の発言を待った。


「お父様は理解出来なかった、だけど私は違う」


少しずつ伊織の母親は力を弱めていく。


「みんな人それぞれ個性があって考え方も違う。お父様を殺めてしまう前に少しでも誰かを信じて打ち明けてほしかった」


母親は涙目になりながらぐっとこらえていた。


「悩みを打ち明けられる存在がいることはとても大切なことよ」


そう会長が言うと母親は首の周りを囲んでいた腕を解き離した。

そして正面と向き合い会話を進める。


「もうお父様は帰ってこないけどあなたはやり直すことが出来る。少し反省したらこの生徒会メンバーでたくさんの思い出を作ってあげたいわ」


「もっと早くあなたのような存在に出会いたかったわ」


伊織の母親はそう改めるとある人物を見かけた。


「あれは……」


麻友も同じ方向を見るとそこには本物の先生がいた。


「仮先生!!」


その名前の響きで生徒会メンバーは仮先生を見ると安心の表情を見せた。


「生徒会長さん、もう警察は呼んでくれたかしら?」


伊織の母親はそう聞くと少し遠くのほうでサイレンの音が聞こえてきていた。


「私が呼んだのよ」


トイレからの騒動の後、夕陽はこっそり警察に連絡していた。


「ありがとう。あなたともたくさんお話がしたかったわ」


「私もよ、でも、1番会話したかったのはあの人じゃないかしら」


夕陽の目線の先には仮先生がいた。

仮先生は自分が話題にされてると気付くと声をかけた。


「あなた私に変装したらしいわね」


「変装したことであなたの印象を下げてしまったことを謝るわ、ごめんなさい」


「謝る必要なんてないのよ」


「え」


「あなたがしたおかげで更に私の存在は輝かしいものになれた」


キラキラと光る物を仮先生は見ていた。

それは生徒会メンバーが仮先生の周りを囲んでいるところであった。


「私の負けね」


そう言うと伊織の母親は自分の娘をちらっと見た。

だが、伊織は表情を暗くし下を向いてしまう。


「伊織、戻ってきたら一緒にスイーツ巡りしましょう」


下を向いていたが伊織は顔を上げてその声掛けに笑顔を見せた。

それはちゃんとした家族の繋がりであった。

考えて更に更に考えて何とかこのお話が出来ました。

とりあえずこのおかげで高持家に恨みを持ってる人物が減ったと思います。

書いていてかなり難しかったです。

読み直しても自分でも理解できない部分もあるので本当にたくさんの小説を読んで文章力もお話的にも鍛えないとダメですね。

でも、少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

それでは。

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