第58話「職員室」
「もうお終いね」
生徒会室で会長は呟き、ある一枚の紙を見ていた。
「大変なことになったわよ!」
突然生徒会室に林檎が情報を持ってきた。
「どうしたの?林檎さん」
「純光の生徒会…ううん! 純光の学校自体が無くなっちゃうって情報が」
もうその情報が入ったのかと会長は落ち着きを取り戻す。
「知ってるわ。大変なことになったわね」
「一体どうして」
「純光の生徒会に役員がいなくなっただからそうよ。元々純光は運営が厳しく維持していくのが大変だったらしいわ」
先程まで見ていた紙を林檎も見れるように近くに置いた。
一通り紙を見て林檎は言った。
「伊織会長どうなるのかしら」
「恐らくどこかの学校に転校になるわね」
「そんな…」
林檎は落ち込んだ。
元は純光の生徒だ。
お世話になった分その後のことが気になるのだろう。
「大変!大変! 伊織様が学校に来たわよ、今、職員室で挨拶してて」
「落ち着いて麗華さん。それ本当なの?」
「ええ、だから早く」
生徒会室にいた会長と林檎を呼ぶと麗華は一足先に職員室へと向かった。
途中、生徒会室に行こうとしてた麻友、夕陽、優芽も誘う。
「それ本当なの?」
一階へと続く階段の最後の段を踏み、麻友は林檎に聞いた。
「何でも廃校になっちゃうみたいよ」
「そんな、前に純光の学校行った時かなり栄えてたのに」
職員室に到着するまでに会話していると突然廊下まで大きな声が聞こえた。
「先生方!! 琴音の今までの活躍を消さないで欲しいわ!」
急いで声のするほうへ立ち寄る。
そこにいたのは純光の生徒会長伊織であった。
伊織は職員室で先生たちと口論をしている。
「でもね、成績を残しても本人がいないのはあまり学校側としては良くないことなのよ。それを分かってほしいわ」
「私はそのまま返します!! 悪い噂が流れるのを恐れてそれを消すのは良くないことだと思います」
「学校側としても出来る事と出来ない事があるのよ。もう大人なんだから理解してね」
そう女性の職員がいうとカツカツと靴の音を鳴らしながら職員室を出て行った。
職員室に残された伊織は悔しそうな表情をして立ち尽くす。
時折、職員室のドア付近で麻友たちは心配してる顔で伊織のことを見つめていた。
「大丈夫かな? 一体何があったんだろ」
麻友は伊織のことを心配していた。
そこに会長は軽くため息を付き、職員室内に入った。
「伊織、大丈夫?」
「美沙。ごめんなさい、貴方の学校なのに騒ぎを起こしてしまったわね。私はもう純光に帰るわ」
悲しそうな表情からいつも通りの険しい顔に戻すと、伊織は職員室から出ようとした。
廊下付近まで歩くと心配してた麗華と林檎達に出会う。
「伊織様、純光からいなくならないでください、すごい寂しいです」
「麗華、私はいなくならないわよ。どこか他の学校に転校するだけだからまたそこで会えるわ」
「嫌です、そうだ。この学校に高持に転校してきてください」
「そうもいかないのよ。この学校の先生方は私を嫌ってるみたいだから」
伊織と麗華が会話してるとそこに林檎も入る。
「伊織会長、ここに転校して来ないと貴方の情報バラすわよ」
「林檎、それは脅しだって」
麻友がそう言うと、伊織はとても悩んでるように見えた。
「そうね。伊織、ここに転校してきても良いわよ」
会長の突然の許しに伊織は戸惑う。
「えっ、でも…」
「貴方とは長年の付き合いだもの、困ってたら助けるのが当然でしょ」
「美沙」
「そうだ、伊織様もここの生徒会役員になったらどうですか。毎日楽しいですよ」
伊織は考えた。
するとそこに聞き覚えのある声が聞こえた。
「それは無理な話ね」
声のしたほうを見るとそこには、はとが立っていた。
会長は驚き近くに寄った。
「はと!! 一体今まで何処にいたの、心配してたのよ」
はとは高持の生徒会の書記をしていた。
今まで登校もあまりなく何処に行ってしまったのだろうと、生徒会役員達は心配していたのだ。
「ちょっとね、やることがあったのよ」
「とにかくはとが無事で良かったわ」
そういい会長ははとを抱きしめた。
はとも折り返しハグをする。
純光を再登場させ今まで登場の出番がなかったはとも書きました。
あとは麻友の友達であるさつきもあまり登場させてないので何処かで書けたらなと考えてます。
それでは。