第57話「体育館」
体育館にいた夕陽と千香はどうやってキスするタイミングを作ろうかで話し合っていた。
「やはり普通にキスするしかないんじゃないの?」
「でも、私はムードでキスしたいのよ」
千香に続き夕陽は提案する。
「ムードにこだわるとかほんと夕陽らしいわね」
今までの付き合いを思い出したのか、千香は振り返っていた。
「夕陽! 夕陽はどこなの!」
突然体育館内にその声は響き渡った。
周囲の生徒たちは館内に響く大きな声で発した夕陽の母親に注目した。
夕陽はいつも家で聞いてるその声に意識を傾けた。
「お母さん」
「貴方、女の子と付き合ってるって聞いたのよ。一体誰なの!?」
夕陽は困ったという表情をしていた。
両親は男性とお付き合いを望んでいるので千香に男装をさせて問題の子との決闘に勝とうとしていた。
これなら千香じゃなくても他の誰かに頼めば済むことだった。
だが、元恋人という条件は千香にしか出来ないことだ。
千香は男装を準備する前に夕陽の両親が来てしまったのだ。
しかも、両親は付き合ってる人が女性と問われてるので、夕陽はこの場をどう回避しようか考えた。
「それは…」
このままでは優芽と付き合ってることがバレてしまう。
いくら両親とでもいえ、女の子と付き合ってることは反対されてしまうであろう。
答える時間が刻々と迫り母親はもうすぐそこまできていた。
母親の後ろでは問題の子が勝ったというような表情をしていた。
「……ここまでね」
諦めようとしたその時、声が聞こえた。
「夕陽!」
声が聞こえたと思った次の瞬間、夕陽の唇にはとても優しい感覚が伝わった。
唇と唇が重なると母親も千香も驚いてその場に立ち尽くした。
「……優芽?」
唇同士が離れると夕陽は優芽の姿を捉えた。
慌てていたのかボサボサになった短髪のカツラ、ボーイッシュ系のTシャツと短パン。
まさしく男装であった。
「ごめんね、夕陽が困ってたから来ちゃった」
「…バカ」
夕陽は優芽の額を自分の額とくっ付けて微笑んだ。
「それでどういうことなの? 夕陽、その子と付き合ってるの?」
立ち尽くしてた母親は夕陽と優芽が仲良いのを見てそう捉えた。
夕陽は優芽と離れると状況を説明した。
「お母さん、私はこの優芽秋さんとお付き合いしてます。校舎内で女の子と付き合ってるという噂が広まってますが誤解です、信じてくれますか?」
優芽の名前を最後に秋と付けて男性のような雰囲気にすると母親ではなく父親が言葉を発した。
「もういいじゃないか、夕陽も高校生でそれなりに考えているんだ。そっとしてあげよう」
「そうね。でも、優芽秋さん」
突然慣れない名前を言われ優芽は戸惑った。
「は、はい」
「夕陽を幸せにしてあげてくださいね」
「分かりました」
返事をもらうと母親と父親は夕陽の顔を見て安心し帰って行った。
二人が帰っていく姿を見送ると問題の子は体育館の床に崩れ落ちた。
「大丈夫か」
問題の子の彼氏が寄り添う。
「どうやら負けたみたいですね。夕陽さんの両親との関係を崩そうと考えていたのですが、私の考えが甘かったみたいです」
崩れてると、夕陽は問題の子に手を差し出した。
どうしてと思うように問題の子は顔を上げる。
「貴方の勝ちよ」
「えっ、でも」
「私は貴方が出した元恋人という条件を達成できなかった。それだけでも十分な勝者よ」
そういわれると問題の子は立ち上がり彼氏と共にその場を去っていった。
体育館には夕陽、優芽、千香だけが残る。
「夕陽ごめんね、千香さんとキスする予定だったのに私が邪魔しちゃって」
「いいのよ、むしろ助かったわ。あのままだったら多分もっと悪化していたはず」
「なら良かった」
夕陽と優芽はお互い安心して微笑んだ。
すると千香は軽く息を吐きその場から離れようとする。
「無事に終わったみたいね。私はもう帰るわ」
「千香」
夕陽は帰ろうとした千香を呼び止めた。
「何?」
「ううん、何でもない。今日は楽しかったわ」
「こちらこそ。優芽さんを大切にしなさいよ」
「そういう貴方こそ恋人作りなさいよ」
クスッと笑い千香は体育館を後にした。
もう自分で書いておいてすごい考えました。
頭の病気のせいで話の意味が分からないという。
自分で理解できないのだからみんなにもこの話が理解できないんだろうなって。
絶対、どこかに間違いがありそうです。
それでも少しでも楽しんでもらえたら励みになります。
また1話から読み直して純光を登場させないとなって考えてます。
それでは。