第54話「千香」
「ちょっと本気で言うつもりなの?」
「大丈夫だよ、元は夕陽の恋人さんでしょ?理解してくれるって」
「でも」
麻友、夕陽、優芽はとある家の前にいた。
玄関の表札には風谷家と書いてある。
「すみませーん、どなたかいらっしゃいませんかー」
チャイムを鳴らし家の家主を待つ。
「私、やっぱり帰るわ」
あまり居たくないのであろう、夕陽は帰ろうとした。
「ちょっと待って!」
帰ろうとした夕陽を麻友は追いかけようとした。
すると閉じていた玄関が開き家主が出てきた。
「はい?」
本人が出てくるとは思わなかったのであろう、夕陽は振り返り主を見た。
「千香…」
「夕陽…」
千香と呼ばれた女性は夕陽を見つめ固まった。
お互い見つめ合ってる中、麻友は声をかける。
「えっと、見つめあってる中、悪いんだけど、本題に入ってもいいかな?」
「ごめんなさい、あとは麻友に任せるわ」
「分かった。あなたが夕陽の元カノさんですよね?」
夕陽の元カノであろう千香と呼ばれる人物に麻友は聞いた。
「そうだけど、もう帰ってくれる?話すことはないわ」
玄関のドアを閉めようと千香はした。
「待って!」
「ちゃんと話を聞いてください。私たち、お願いがあってここに来たんです」
少しだけならいいと思い千香は耳を傾ける。
「お願い?」
「夕陽とキスしてください」
「え?」
「今学校で大変なことが起きててそれで夕陽が男の人と」
「男の人?そんなの私が今更どうこう言う立場じゃないでしょ。帰ってちょうだい」
千香は玄関のドアを閉めようとした。
「待ってください!今私が夕陽の彼女です。彼女からの立場で言います、あなたは夕陽のことを愛していたんですよね。だったら助けようと、少しでも聞いてあげようとそういう気持ちはないんですかっ。それが夕陽の元カノですか、泣けてきます」
優芽は閉めようとしていたドアに手をかざし千香に言った。
「あのね、今が夕陽の彼女とか知っても、もうこれぽっちも興味がないの。不愉快だから帰ってくれる?帰らないなら警察を呼ぶわよ」
「じゃあ私が千香にまだ興味があると言ったら何か変わるのかしら?」
黙っていた夕陽が答えた。
その発言に優芽は固まった。
すごいお久しぶりです。
ずっと体調を崩していて小説の物語も考えられなくなってやる気が出るまで休んでました。
でも、たまにアクセス数をチェックして読んでくれる人が今でもいてくれるんだと思い励まされました。
これを糧にリハビリのためお話を書いてみました。
もう登場人物などは忘れて書けないと思いましたが読み返してみて何とか頑張りました。
短いお話ですが少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは。