第52話「問題の子と夕陽」
ガヤガヤ、学校へ着くと何やら校門前が騒がしかった。
麻友は会長と一緒に登校していたのでちらっと顔をのぞいた。
「私から出迎えようと思ったのにわざわざあなたから現れてくれるなんてそんなに罵られたいのかしら」
声の主は夕陽だ。
「違います。私はあなたに決闘を申し込むために話しかけました」
もう一人の声はラブホから出てきていた問題になってた子だ。
「決闘?あら私とやり合おうっていうの?」
「私の彼氏に言ったんです。公共の場でふしだらな行為をされたって、そうしたら倒してこいって言われたので」
「ふーん、別にいいわよ。どうせ勝つのは私だから何をしても。でもね、条件があるわ」
「何ですか?」
「私と戦うのなら今後一切ラブホに行くのは禁止よ」
「分かりました」
「それで何をして戦うというの?」
「あなた元恋人はいますか?」
突然の発言に周囲の生徒たちは様子を見守る。
麻友と会長は周りの生徒たちが多くて上手く声が聞き取れていなかった。
だが、夕陽と問題になってる生徒だということは理解していた。
ヒューと風が吹き、沈黙が流れた。
「突然何を言うのかしら。そんなのいるに決まってるじゃない」
「ですよね。そういう私もいます。そこで、元恋人とキスできますか?」
キスという発言に周囲の生徒たちはざわついた。
夕陽は元恋人、つまり、元カノのことを思い出した。
そしてキスをするという行為も一緒に考えた。
一瞬間が空き、夕陽は。
「出来るに決まってるじゃない、容易いことよ」
「言いましたね?」
「え」
「それを両親の前で出来ますか?」
「あなた次々に条件出してくるならねじ伏すわよ」
「つまり出来ないから力づくで止めさせるってことですか」
「…っ」
夕陽は困っていた。
今回の夕陽は弱点があるのかいつもの迫力がなかった。
「じゃあ決行ね。明日10時体育館で」
そういうと問題になってた子はその場を離れた。
残された夕陽は去っていく生徒たちを見つめて歯を嚙み締めた。