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第48話「決心」


「おはようございます。お父様、私を招待してくださりとても嬉しい限りです」


「いやっいやっ、ささっ、娘が待っているので、こちらへ」


麻友は結婚相手となる人と会うことになっていた。

そして、当日、相手が来た。

見た感じ普通の人だが、なぜだろう、すごく嫌悪感を感じる。


「改めまして自己紹介を致します。私の名前は明野さとしともうします。趣味はゴルフやジョギングなどをしています。それから…」


相手の自己紹介が始まった。

麻友は全然聞いてなかった。

どうしてだろう、相手の言葉が耳に入ってこないのは。

すごく居心地が悪い。


「ゅ…さん……。麻友さん」


「え、あ、はい」


「どうかされましたか? どこか具合でも悪いとか?」


さとしさんにそう聞かれ、麻友は首を振った。


「い、いえ、話を進めてください」


「分かりました。どこか具合が悪かったらおっしゃってくださいね」


「はい」


その後すぐに相手の話が始まる。

ああ、何で自分はこんなところにいるんだろう。

今頃、夕陽たちは何をしてるのかな。

ボッーとうわの空で、麻友は座ったまま窓を眺めた。

今日はすごく晴れている。

とてもいい天気だ。

こんな時に遊びに行けないのが辛いな。

辛い?

何で辛いのに、こんなことしてるんだろ。

あれ、もう訳が分からなくなってきた。

麻友は窓を見るのをやめ、下を向く。

早くこの場を離れたい。


「麻友さん、やはり具合でも悪いんじゃ…」


そう言うと、さとしさんは私の横に近づいた。

それからして、麻友のおでこをピトと触る。

嫌だ!

ゴツゴツした男の人の手。

今までにない感覚。


「…ひぃっ」


思わず声が出てしまった。

さとしさんは麻友の声が出たと同時に手を離す。


「あ、すみません。熱でもあるのかと思って」


「…もういいです、放っておいてください」


「で、でも、私は貴女のことが心配で」


「…結構ですから」


麻友はこの場ではっきりと分かった。

男の人は苦手なことを。

そして、今、一番気になってる人、大事な人を思い浮かべる。

それは。


「会長…」


「え?」


「私の結婚相手は高持女子高生徒会、会長、高持美沙さんです!」


「何を言ってるんだ!! 麻友!」


突然のことで麻友の父は声をあげた。

さとしさんも驚いた顔をしている。


「麻友!!」


ドアを開けて入ってきたのは会長であった。


「会長!! どうしてここに」


「どうしてって、このことについては高持家から噂で持ちきりだったから。それより、今の話本当なの?」


「え、今のって…聞いてました?」


「もちろんよ。最初から聞いてたわ」


「……そうだったんですね」


麻友の父親とさとしさんは驚いた表情をし、二人の様子をうかがっている。

とにかくこの場を何とかしないと。


「あの、美沙さん?」


さとしさんは突然現れた会長に話を聞く。


「何でしょうか」


「これからのお見合いについてなんですけど」


「それなら解決したはずよ。麻友は貴方より私を選んだ。これで文句はないわね?」


「…あ、はい。でも、麻友さんのお父さまが…」


そう、問題が残っていた。

それは麻友の父親だ。

結婚相手と話を進めていたのに、いきなり、会長が現れて話を中断させられている。

これは怒っているだろう。

しかも変なことをぬけぬけと麻友が言ったのだから、尚更。


「麻友、話がある」


「…はい、お父さん」


「お前は男と結婚する気はないのか?」


「……ごめんなさい、ありません」


「そうか……」


麻友のお父さんはそれ以降無言となる。

そして。


「だったら……この家を出ていけ」


「え」


「聞こえなかったのか、この家を出ていけと言ったんだ」


「で、でも、お父さんは本当にそれでいいの?」


「あぁ、構わない。女同士で結婚するなら、家の近所と噂となり住み心地が悪くなるだろう。それだったら、娘を離したほうが快適だ」


「ちょっと失礼しますよ、お父さん」


会長が話に入ってきた。


「なんだ、文句があるのか?」


「はい、少し」


その後、パシンッと乾いた音が叩いた。

そう、会長は麻友のお父さんの頬をビンタしたのだ。


「いっ……何をするんだ!! いくら高持家の娘だからってやっていいことと悪いことが」


「それはお父さんにもありますよね? 今まで小さい時から育ててきた麻友でしょ? それを悪い方向に例えて家から出ていけって言っていいことと悪いことがあるんじゃないかしら」


「しかしだな、女同士っていうのが気に入らないのだ! 麻友は普通の女の子なのに、何故、美沙さんに告白したのか。ちっとも分からない」


「麻友、今ここで言いなさい。貴女の正直の気持ちを」


「はい。お父さん、昔から私のこと警察官になりなさいって言ってたよね。でも、ずっと考えてたけど、警察官になるのはいくらなんでも私には無理な世界。体力は自信あるけど、それでもやっぱり無理。さっきさとしさんに触れられて分かったの。男の人が苦手なんだって。警察官となると女性より男性の方が多いでしょ? その環境でいるとなるととてもじゃないけど、苦手な職場だなって。会長に告白したのは、心の隅に決めてたことなの。色々あったけど、少し気になってたんだ」


「そうか。つまり、元々美沙さんと結婚したいわけだったんだな?」


会長と結婚という言葉を聞いて、麻友は真っ赤にあたふたする。


「ええっ、あ、はい」


「分かった。お父さんもこれ以上麻友に警察官になりなさいって言わない。けど、この家から出て行ってもらう」


「本気で言ってるんだね、お父さん」


「あぁ、本気だ。麻友も本気で美沙さんと結婚したいんだろ?」


「そ、それは、まぁ」


「なら、これで解決だ」


そう言うと、麻友のお父さんは椅子に腰かけた。

その様子を見た麻友と会長は。


「お父さん、今までお世話になりました。私をここまで育ててきてくれてありがとう」


ぺこりとおじぎをする麻友。


「お父さん、麻友は私の家で住まわすことになりますが、よろしいですか?」


会長の発言に麻友のお父さんは。


「あぁ、好きにしろ」


その言葉を聞いて、会長と麻友は内心喜んだ。


「あ、あの、私は?」


さとしさんがいたのであった。

忘れていた。


「貴方は他の人をあたりなさい」


「…分かりました」


さとしさんは麻友の家を出ていった。

残されたのは麻友と会長とお父さん。


「いつまでそこにいるんだ。早く出ていけ」


今まで育ててきてくれた父親。

親というものはそういうものなのだろうか。

麻友はこういう親になりたくないと心に誓った。


「さぁ、行きましょう」


会長に連れられて、今までまとめておいた荷物を持ち、自分の家から出た。

さようなら、今までお世話になりましたという気持ちを込めて家におじぎをし、麻友は新しい生活を始めるのであった。

お久しぶりです。

あれから病院尽くしの日々で大変でした。

さて、今回は結婚相手が来て、でも、麻友は嫌だと言い自分の苦手な部分を知りました。

それから会長に告白をし、会長が来て結婚相手と麻友のお父さんと修羅場になるというお話でしたね。

突然の告白でした、でも、麻友は心の中で薄々と会長のこと思ってたんです。

そして、次回から会長と麻友が同棲を始めるというお話に。

なんだか私、誰かの家に一緒に住むというお話が多いような…w

まぁ、それはさておき、次回も頑張りますのでよろしくお願いします。


それでは。

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