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第43話「二人きり」

あまり寝付けなかったらしい。

頭がボーッとしているようだ。

麻友は小鳥の鳴き声で朝だと実感する。


「朝か……はぁ…なんでこんなことに」


頭をくしゃくしゃして、ベッドから離れる。

今日はあいにくの学校だ。

休みだったらいいのに、そうすれば、あのこととかあのことを考えて悩めるのにと思っていたが、仕方ない。

制服に着替えて、リビングへと向かう。


「おはよう、麻友」


「おはようございます、お父さん」


「ん? どうした悩み事でもあるのか?」


「いや、別に」


「お父さんはいくらでもあるぞ。例えばお前の進路とか…」


「あー!はいはい、じゃあ、学校行ってきます」


バタンとリビングの扉を閉めて、玄関から外に出た。

麻友の進路。

それは、親の仕事を継ぐことである。


「警察官か…」


麻友にとってそれはとても嫌な進路先であった。

普通なら、『自分の娘だ、自分のしたいことしなさい』というのが当たり前だろう。

ただし、父は違った。

麻友も警察官になりなさいの一点張りで、頑固であった。


「あぁ、もう、考えるのやめよう。それより、今は…」


そう、会長のことだ。

あの告白、本物と捉えていいのだろうか。

よく分からない。

女の人から告白されたことないから。

男子から告白されたことはある。

それは小学生の時だ。

でも、その時はその時で幼かったからか、普通と何も変わらないように遊んだ。

ただ、今回は違う。


「おはよう、麻友」


「おはよう、さつき」


「どうしたの? 元気ないみたいだけど」


「ちょっと悩んでて…」


「なになに、恋の悩み? 私でよければ話聞くけど」


図星だ…いや、図星といっていいのだろうか。

自分は会長のこと好きなのか分からないのに。


「何でもない。あ、それより、今日の授業は…」


別の話題でごまかした。

このことは自分で解決しなきゃ意味がない。

放課後、生徒会の時間がやってきた。

私はしぶしぶと生徒会の部屋へと向かう。

コンコン。


「失礼します」


部屋へと入ると、そこには会長、ただ一人だけであった。

とても気まずい。


「いらっしゃい。今日は麻友が早いのね」


「あ、はい」


会長はあの告白から何事もなかったかのように、いつもどおり接してくれた。

何故だが安心する。

安心する?

どうしてだろう。

やはり自分は女の人に興味がないのだろうか。

よく分からない。


「麻友、そこのハサミ取ってくれる? 今、手が放せなくて」


「わ、分かりました」


とてもぎこちない。


ハサミを慌てて取り、会長が座ってるところへと向かう。

顔をあまりまともに見れない。

けど、見ないと危ない。

色々と考えているうちに、何かにつまづいた。


「わっ!」


「麻友!」


痛い…と思ったが痛くはなかった。

とてもいい香りがして温かい。

いい香り? 温かい?

麻友はゆっくり目を開けた。

すると、そこには、会長が麻友のことを支えていたのだ。

麻友の腰に手を当てられ、支えられている。


「あ、あの」


「大丈夫? 麻友」


「ひゃ、ひゃい…!」


「ひゃい? うふふ、麻友ったら可愛い声を出すのね」


とても恥ずかしい。

緊張して、声が出てしまったのだ。

まだ腰に手を当てられている。

すごく良い気分だ。


「……会長のあの言葉本当なんですか?」


下へ視線をそらし、麻友は聞いた。


「ええ、本当よ。嘘も偽りもない正直の告白」


麻友は目を細める。


「……そうなんですね……」


「麻友?」


何故だか胸が切なくなってくる。

どうしてだろう。

会長の傍にいると泣きたくなる。

思わず麻友も会長の腰に手を当てた。


「……会長って、悩みが言えない女の子を見たらどうしますか?」


「…どうするも何も、ちゃんと言ってくれるまで傍にいてあげるわ」


「……それがどんなに辛い現実だとしてもですか?」


「ええ、もちろんよ」


ダメだ、その言葉を聞いて、麻友は目に涙を浮かべる。

今までずっと隠していた。

ずっとずっと笑顔で過ごしてきた生徒会室。

この空間で会長の目の前で泣いてもいいのか?


「……会長…」


「…何?」


喉が詰まる。

言いたいのに言えない。

やっぱり堪えて耐えるしかないのか。


「……何でもないです…忘れてください」


「麻友……」


「さっ、いつまでも喋っていたら、夕陽たちが来ちゃいますよ? 早く作業に取り掛からないと」


涙を乾かして、会長の傍から離れようとする麻友。

それを見た会長は、手を掴み取った。


「会長…」


「私は麻友のこと何でも知りたいの。だから教えて? 麻友の全てを」


「……知らないほうがいいと思いますよ。そのほうが幸せです」


「誰が幸せか幸せじゃないかって決めるの」


「それはもちろん私ですよ」


「いいえ、間違ってるわ。決めるのはお互いの心が重なり合った時、お互い同士よ」


「会長、もう既に私たち付き合ってることになってません?」


「あっ……」


まぬけな会長を見て、麻友は少し微笑む。


「ぷっ…でも、会長が私のこと一生懸命理解しようとしてるところ好きですよ」


「す、好き…い、今、好きって言ったわよね?」


「言いましたけど、何か?」


「それは、その、告白と捉えていいのかしら?」


「ち、違いますよ。なに、言ってるんですか、さぁ、作業しますよ」


テキパキを作業を進める麻友。

その後ろで、会長は思った。

麻友とどんな困難でも乗り越えようと。

その先に幸せは待ってるのだから。


こんにちは。

今回は二人きりということで、会長と麻友だけ登場しました。

私はコメディ書くの得意?なんですが、やはり感情こもった恋愛もの書くと何処かに「話が通じ合っているのか」とか「これでいいのかな?」とか不安になり、よく訳が分からなくなります。

でも、私は今まで流れで書いてきましたから、自分のペースで進めていこうと思います。

また、どこかに落とし穴というか、間違ってる部分あるかと思いますがその辺はアドバイスいただけたら嬉しいです。

次回も、恋愛モードいきますよー。

それでは。

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