第37話「キスの前提」 後編
「でも、麗華さんとキスをしたところで、どこに脱出方法が?」
「それもそうよね、納得がいかないわ」
麻友と夕陽が会長に聞いてみた。
「昔、麗華さんの先祖は、高持家の先祖と恋人同士だったの。それで、二人はこの迷路で、お互い迷って、キスできないまま亡くなったって言われてるのよ。たぶん、麗華さんの先祖が獣娘、つまり女性、高持家の先祖が普通の男性だったかもしれないわ。そこに二人はキスできないまま会えないまま、亡くなってしまった。簡単に言えば、麗華さんの先祖がキスできず亡くなってしまったため、麗華さんに先祖たちの繋がりを果たしてもらおうと思ってるのね。キスすればお互いの先祖は成仏し、どこかに奇跡が起こるはずよ」
長い話にみんな聞き入ってた。
なるほど、と麻友たちは思う。
じゃあ、そう結論が出たのなら、夕陽は。
「となると、麗華さんと誰がキスすればいいのかしら。ここには男性もいないわよ」
「それもそうね、ここは、麗華さんの先祖同士、会長がやればいいんじゃない。ねっ、か・い・ちょ・う」
林檎は心の中で暗い闇を抱えていた。
恐らく、麗華と会長がキスをすれば、麻友との初キスは自分の物になると思っているのだろう。
「うーん、私もそう思ったのだけれども、これじゃ不公平じゃないかしら。り・ん・ごさん」
パチパチと林檎と会長は花火を散らしている。
何を花火散らしてるのだろうと麻友は思ってると、麗華は言った。
「会長さん、この前言ったわよね、別に唇じゃなくてもいいって」
「ええ、言ったわね」
「なら、早くしてくれないかしら。頬でいいのよ、頬で!」
頬にキスされるのを待つ麗華。
そこに会長はまた。
「なんか私だけ麗華さんにキスするのって恥ずかしいから、みんなでしないかしら」
「ええー!?」
「それ、本気で言ってるんですか! 会長!」
麻友は顔を真っ赤にして会長に言う。
面白そうに夕陽は。
「あら、それ、面白そうじゃない。私、優芽を他の誰かにキスさせるの嫌だけれども、実は、麻友のキス顔見てみたいと思ってたのよね」
「ちょ、ちょっと、夕陽!」
あたふたと混乱する麻友。
「私、絶対やらないからね」
「そんなつれない~。私とはしたくせに?」
「してないから!」
「麻友、ここでキスしないと麗華さんが元の姿に戻れないのよ」
突然の会長のお願いごと。
うっ、と引き下がる麻友。
「あ、そうだ、思い出したわ、麗華さんとのキス頬じゃなくて口同士じゃないとダメみたいなの」
「会長、それ、今自分で作りましたよね」
「本当のことよ。さあ、麻友、しましょ♪」
「…わ、私は、好きな人同士じゃないと、その、キスしたくないというか」
「麻友、麗華さんのこと好きじゃないの?」
「いや、そうじゃなくてですね、その、恋愛同士じゃないとキスしたくないという…///」
麗華は早くしてくれと待ち続ける。
麻友はあまりしたくないようだ。
そこに、林檎は。
「麻友、私も会長も麻友を麗華さんにキスさせたくないと思ってるわ」
「何で、会長が?」
「あ。とにかく今のは忘れて。それで! キスするのは友達同士でもすることなんだよ」
「友達同士でも?」
「そう、友達同士の仲の良さを深めるためにね」
「そうなんだ。麗華さんとキスか」
じっと麻友は麗華のことを見つめた。
それに気付いた麗華は顔を真っ赤にする。
「な、何かしら///」
「ごめんなさい、麗華さん。キスしたくないとか言っちゃって」
「え」
「私、麗華さんが助かるなら、何でもするから。だから、キス頑張るね」
「あ、ありがとう」
麻友のキスの決心もついたところで、そこに、会長は言った。
「これでみんな麗華さんにキスするのはOKね。さあ、早速キスしましょうか。もちろん口同士でね」
「会長! 私、頬ならしますけど! 口同士は友達同士の仲の良さを深めるためにもさすがにそれはできません」
「あら、まあ、頬同士でもいいわ。みんな好きなようにしましょ」
ホッと安心する麻友。
そして、今いるみんなの雰囲気がピンク色に染まった。
あまりのピンク色の雰囲気に、麗華は。
「何かドキドキしてきたじゃないの。頬でも良いって言ったのに。でも、みんな私のためにありがとう」
どうも、暑いですね。
熱いのは太陽の日差しだけではなくて麻友たちも熱いようでw
ということで、キスの前提 後編を書いてみました。
今回はキスをする確認ですかね、大丈夫かどうか。
そういえば林檎は会長が麻友のこと好きなこと知ってるけど、麻友はまだ知らないんでしたね。
書きたいなと思ってるのですが、中々書けないでいます。
というところで、意味が通じない部分もあるかと思いますが、楽しんでいただけら嬉しいです。
次回はキス編ですね、お楽しみに。
それでは。