第35話「成功」
「に、逃げてー」
「きゃー」
今度は悲鳴が聞こえた。
声のする方を見る。
そこには、走ってる麻友たちがいた。
どうして逃げているのか、その後ろには、大きい丸い塊の物体が転がってきていたのだ。
だんだんとこちらへ近づいてくる、会長達は、麻友たちに続いて逃げ走った。
並行して走る。
「麻友たち平気だったのね」
会長は心配して麻友、夕陽、優芽に聞いた。
「はい、会長さんたちも無事で何よりです。そ、それより、ここの迷路どうなってるんですかっ。普通に歩いてたら、突然後ろから大きい音が聞こえてあの丸い塊の物体が転がってきたりして」
「それが、ここの迷路、防犯用に対策がしてあるのよ。泥棒に一億円を取られないようにね」
「そうだったんですか。って、それを最初に言ってくださいよ、他の生徒たち今頃走り回ってるんじゃないですか」
「それもそうね、ごめんなさい。それはそうと、麻友、この大きい塊を止めるにはあることが必要なの」
「あることですか、それは?」
「麻友たちは、ここに来るまでの間、何か拾わなかったかしら?」
「う~ん…あ、そういえば」
麻友と会長は走りながら会話を続けていく。
すると、途中、道は真っ直ぐはなく、右か左に分かれていた。
どっちに行こうかと考えると、林檎は言った。
「左行くわよ!」
林檎のいうとおり、麻友たちは左に曲がる。
それでも、丸い物体は追いかけてきていた。
「…はぁ、はぁ…」
だんだんとみんな疲れてきていた。
「か、会長」
「ん?」
「そういえば、このような物拾いました」
麻友が見せたもの、それは、何かのパーツだった。
それを見て、林檎は話しかけてきた。
「それって、さっき私が拾ったものと同じような形してるわね。会長さん、もしかして、何か意味があるんじゃないかしら」
「ちょっと待って。私、あの大きい塊と並行してくるから」
突然の会長の発言。
徐々に会長は麻友たちより遅く走り、大きい塊に近づいていって、麻友たちから下がっていった。
「ええ!?」
麻友たちは驚く。
それもそうだ。
なにせ、何キロも走り続けているというのに、会長は疲れも見せず、平気とスピードを落としたからだ。
しかも、大きい塊と並行している、これは、超人を超えるレベルである。
「会長さん、すごい能力を持ってるわね、いや、技能かしら」
林檎はボソッと言うと、夕陽は言った。
「特技かもしれないわ。会長は足が速くて有名だから。あのMaiden's tailの練習の時、麻友は会長に特訓させられたのよね」
「へぇ、そうだったの」
林檎が納得していると、麻友が聞いていたのか。
走りながら近づいてきた。
「おかげで、こんなに早く走れるようになった…って、これはこれで問題なんだけど! それより、会長、何かしてるよ」
麻友に言われたとおり、後ろで何かしている会長を見る。
そこには、会長が林檎と麻友から渡されたパーツで、大きい塊の物体にはめ合わせようとしている。
ガチャガチャ、音はするが、中々はめ込まないらしい。
「会長大丈夫ですかー!」
会長がいるところと麻友たちがいるところとでは、距離があるので、麻友は大声で叫んだ。
ふと、会長は、顔を上げ、答える。
「ええ、問題ないわ」
そうとは見えないのだが。
麻友たちが心配してると、また、曲がり角がやってきた。
「みんな次は右に曲がるわよ!」
ひたすら走り続け、林檎に言われたとおり右に曲がった。
だんだんと呼吸が荒くなっていく麻友たち。
徐々にスピードが落ちる者がいるが、ここで遅れたら命はないと思い、踏ん張りづける。
林檎は声をかけた。
「会長さん、もうみんなの息が上がっているわ。そろそろ何とかしないと続かわないわよ」
「ごめんなさい、中々、上手くいかなくて…」
困ってるようだ。
どうにかして、この大きい塊の物体を阻止できないか、麻友は手伝うことにした。
「会長、私にできることがあったら教えてください。手伝いますから」
「でも、私のスピードに付いてこれないでしょ?」
逃げている麻友たちと大きい塊の物体と並行している会長のスピードは違う。
だが、今まで困難を乗り越えてきたのだ。
何とかなる、麻友はそう信じていた。
「大丈夫です!みんなのため、生きるためなら!」
そう言って、麻友は徐々にスピードを落とし、大きい塊と並行している会長の隣に行き走り続ける。
さすがにきつい、麻友はそう思った。
逃げている林檎たちのスピードと大きい塊のスピードでは、格差が違う。
「はぁ、はぁ」
「やっぱり無理があったんじゃないの?」
「い、いえ、これくらい、何とも…。それより何をすればいいんですか?」
息が上がる。
喋るのも辛いくらいだ。
「一人の力でこのパーツを同時にはめ込むのは無理があるの。だから、恐らくだけど、二人の力で同時にはめ込めば止まるかもしれないわ」
「なるほど、じゃあ、私がこっちのパーツを持ちますね」
「ええ、お願いするわ」
会長に渡されたパーツを持ち、大きい塊の物体の差込口みたいな穴を見る。
そこには、丸い穴と三角の穴が空いていて、会長はそこに、丸い穴のところに丸い形をしたパーツをはめ込めようとしていた。
「同時にはめ込めばいいんですか?」
「ええ、タイミングが合わないとダメだけどね。麻友、いち、に、の、さんでいくわよ」
「は、はい」
「「いち、に、の、さん!!」」
カチッ、カチッ。
三角の形をしたパーツと丸い形をしたパーツを同時にはめ込んだ。
やった。
「やりましたね、会長!」
「ええ、やったわね」
麻友と会長の同時の共同作業で、丸い形をした大きい塊は徐々にスピードを落とし、緩んでいった。
林檎たちも安心し、徐々にスピードを落とす。
「はぁはぁ、さすがに、疲れたわ。もう歩けない」
林檎は息上がっていた。
「これはしんどかったわね、優芽大丈夫?」
「う、うん、何とか…。でも、もう私も歩けないかも」
夕陽と優芽も疲れ切っていた。
その頃、麻友と会長はというと。
「…はぁ…はぁっ…っ、会長、私たちここの迷路から出れるんですか?」
「そうね、実は長い話なんだけど、聞いてくれるかしら?」
「出れるなら聞きます!」
「そう、じゃあ、とりあえず林檎さんたちの所へ戻りましょうか」
「はい」
地べたに座り込んで休んでいる林檎たちの元へ麻友と会長は向かった。
そこにはもちろん獣娘の麗華もいる。
皆さんお久しぶりです。
百合好きの私ですが、前回の投稿から百合を全くというか、ほとんど脳内補給できてなかったんですよね。
だから、高持女子高生徒会も、中々、百合想像ができませんでした。続きも中々書けませんでしたし。
でも、今回、久しぶりに百合漫画読んで、百合補給ができて続きを書けることができました。
頭の中に想像ができて、いっぱい話が膨らみました。
といいつつ、こんなつまらない文章ですがw
今回は障害物を止めるお話でしたね。
もっと工夫して面白く書きたかったのですが、私の頭では、これで限界でした。
そういえば百合といいながら、全然百合らしいものを書いてないですよね。
これは失格だあああああw
ということで、次回から百合百合を書きたいと思ってるので、お待ちいただけると嬉しいです。
それでは。