第21話「二つの問題」
麗華監視作戦が行われた。
それはつまり、麗華を監視するだけのことなのだ。
そんなことをして、本当にいいのか。
もし、麗華さんじゃなかったら、どうするのか。
いろいろ疑問が浮かぶが、私は全てが間違ってるような気がした。
「では、麗華監視作戦を行います。まず、目的の麗華を見つけなければいけません。誰か麗華の居場所を知ってる人はいますか?」
どうして林檎が先立ってるのか、それは、分からない。
会長や夕陽たちはただ聞いているだけ。
ただ、指示通り、私も参加することにした。
「ちょっと待ったー!!!」
いきなりの怒声で、私たち生徒会全員は驚いて、声のしたほうを向いた。
するとそこにいたのは、麗華本人であることが分かった。
「私がストーカーしてるって聞いたけど、誰が言ったのよ?」
生徒会全員は私を見つめた。
うっ、息苦しいのはどうしてだ。
仕方ない、ここは認めるしか。それに証拠だってあるんだし。
「はい、私です。証拠ならここに」
そういって、私は携帯のメールを差し出した。
そして、見ると。
「私はストーカーなんかしてないわ。ただ、このことを伝えたかっただけ」
ピラリ。
麗華は一枚の紙を差し出した。
そのこととは。
「今度、純光と高持に偉い人が来るそうよ。なんでも、来週のクリスマス会に高持と純光、どちらかの生徒会を潰す目的でいることが分かったの。高持は昔からライバル校だから無くして欲しくないのよ。だから、この話題を無くそうと、麻友を誘拐してまで、もう一つ騒ぎを起こしたかったわけ」
ポリポリと頬をかく麗華。
純光が私たち高持をかばってくれるなんて、何て珍しいのだろう。
まるで雪が降るみたいだ。
いや、そういってる暇じゃない、偉い人が来るなんて何とか阻止しなければ。
「麗華さん、言いたいことはよく分かったわ。私たち高持をかばってくれてありがとう」
会長はお辞儀をした。
「べ、別に嬉しくなんかないわ。今まで戦ってきた同志ですもの、一緒に悩むのが当然でしょ。これは純光と高持、二つの問題なんだし」
「そうですわね。それで、会長どうするんですか? これから」
「そうね、まず、高持を残すにはこの生徒会を守るしかないわね」
それもそうだ。
偉い人、つまり、生徒会を潰す人が来るんだ。
学校を何とか守っていかないと。
でも、純光はどうするんだろう。
「そうですね。それで、純光のほうはこれからどうするの?」
私は麗華に聞いた。
「そのことだけど、今回は戦うの止めることにしたのよ。いつも戦ってきたけど、今回は負ける自信があるから」
「そうなんだ」
何だか寂しい気がする。
いつも戦ってきた純光が戦うの止めるとなると、張り合いがなくなるのだ。
本当にこれでいいのか。
「麗華さん、あなたの気持ちは分かったわ。それで、純光の会長のことだけど、何も言わなかったのかしら? このことについて」
「いろいろ言われましたけど、実は私、もう純光の生徒にならないって退学届出してきたんです」
「えー!? どうして?」
みんな目を大きくして、耳を傾けた。
「いつも私は純光の会長の言いなりでした。会長の傍にいて、何でも言うことを聞いて、怒られての繰り返し。だから、色々と嫌になってきたんです。だから、今回の問題で同時に辞めようと思って退学届を出したんです」
「そうだったんだ、知らなかった。じゃあ、麗華さんはこれからどこの学校に行くの? もしかして、遠い所とか?」
「そのことですけど、高持に入ることに決めました。これからお世話になります!」
丁寧におじぎをした。
これから一体どうなるのか。
二つの問題で、私たちは驚いていた。