第10話「行事説明」
「みんなに大事な話があるの。特に、麻友と優芽と夕陽には」
生徒会室のホワイトボートの前に立ち、そう、会長に言われた。
私たちは、何だろうと、お互いの顔を見合す。
「大事な話ですか?」
「ええ、来月に純光女学院と対決する学校行事があるのよ。それで、今の内に説明しておこうと思って」
純光女学院、高持女子高と対立してる学校だ。
「もしかして、前、純光女学院で生徒会長さんと話してたことと関係が?」
「そうよ、あれがもうすぐで始まるの。はとは知ってるからいいけど、麻友たちは、この行事に初めてだから」
確かに、これから起こる、高持女子高の行事は全て初めてだ。
まだ一年生で、雛の私たちにとって。
「ふふ、どんな行事なのか楽しみだわ。ねぇ、優芽」
「うん」
本当にこの二人は何でも楽しそうだからいいな。
まぁ、あまり辛くないものならいいけど。
「じゃあ、まず説明するわね。はと、お願いできるかしら?」
「OK」
会長からはとに変わった。
「じゃあ、説明するね。来月、Maiden's tailがあるの」
「め、めい? 何ですか?」
発音がとてもよく上手く聞き取れなかった。
「日本語にすると『乙女の尻尾』ね。日本語だと言い方が下品だから、英語にしただけなんだけど。つまり、2校の生徒たちがスカートにこのビニールテープを挟み、それを、相手に取られたら負けっていう行事なの」
「あ、それ、体育祭とかでやったことあります。あれをするんですか?」
「そっ、それで、制限時間以内に敵の尻尾を多く取った学校の勝ちってなってるの」
なるほど、つまり、運動行事ということだ。
これなら簡単で面白そう、やる気が湧いてきた。
「面白そうですね、今から楽しみになってきました」
「それはとても嬉しいことだわ。二年生、三年生は体験したことあるから、時々、やりたくないって子がいるの」
困った表情で会長はそう話した。
「え、そんなに大変なんですか?」
「まぁね、相手が純光だから」
はとも困り顔。
純光女学院はそんなに強いのだろうか。
「特に純光の生徒会長は負けず嫌いだから、仕方ないのよ。それにライバル校だから余計に熱くなるの」
「何とかライバルとかなくして、仲良くできないのかな」
ライバルをなくせば、生徒がやりたくないとか言わずに済むかもしれない。
私はそう思った。
できるなら、生徒が嫌々するのではなく、楽しくしたいものだ。
「それは無理ね、ずっとこんな感じだから。でも、頑張ればいつかできるかもしれないわ。今は麻友たちがいるんだもの」
「私、頑張ってみます。大変かもしれないけど、みんなを仲良くさせたいから」
「ええ、一緒に頑張りましょう」
負けない、仲良くしたいという強い気持ちがあれば大丈夫。
私は、絶対に仲の良い高校にすると決めたのであった。
 




