表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

始まり

20年ぐらい前が舞台ですかね。


 夢も希望もなくして、日々引きこもっていた。楽しみは向かいの部屋に住む後輩から本を借りて読むこと。そのぐらいだった。



 「三輪ちゃーん!おるかー?」


 ドアを叩く音が、頭に響く。昨日なけなしのカネで買った酒のせいか、四畳半の部屋のドアが近すぎるせいか、強い不快感とともに目が覚めた。


 ……ギイ。


 「おお、三輪ちゃん。話があるんやけど」

 「はぁ。なんすか?」


 ドアの前にいたのは、つげ先輩だった。毒舌二枚目という、マンガなら人気が出そうなキャラクターだ。男の後輩である自分をちゃん付けで呼ぶのはいかがかとは思うが、悪気がないから言いにくい。


 「なあ、バイトせぇへんか?」

 「あんまり人に会いたくないんですが」

 「あー、大丈夫。ラブホテルの皿洗いだから」

 「……なんでまた」

 「知り合いが探しとってな。朝だけやし、いいやろ?」



 そんなわけで、面接を受けに連れて行かれた。他にもう一人、やはりつげ先輩の友達のカッコいい男子学生も一緒だった。


 「三輪ちゃん、もうちょっとマシな格好せえや」

 「蹴りやすい格好してるだけですよ」

 「格闘技やってる奴はよくそう言うけどな。その辺で戦わんやろ!」

 「いやいや、下宿の前で絡まれましたし。まあ、道場通う前ですけど」


 雑談をしながら、黒いゴムで出来たノレン状のものをくぐる。


 「三輪ちゃん、ラブホテル来たことないやろ」

 「……ありますよ」


 まあ、壁紙を貼りにだが。前職でのこと、オープン前のラブホテルに壁紙を貼りに行った。カーブが多くて洒落た造りの室内は、やたらと貼り難かった。

 ……客として来たこと?無いよ。ちくせう。



 軽い面接を受け、もう一人の学生と交代で週に3日程働くことになった。

 時給は680円。研修1ヶ月が過ぎたら上げると言われたが、期待はしない。前職は一日16時間働いても日給3500円だった。きちんと出るならかなりマシである。


 次回からは従業員用の入り口を使うこと、タイムカードの押し方などを聞き、その日は帰ることになった。


 とても不安である。

皿洗いシーンは今後もあまり無いですが、一話ぐらい皿洗い描写だけの回を作ってみたい気もします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ