異世界転移
異世界、それは一度は憧れた世界。けど、現実にそんな世界があるなんて誰も信じてない。俺も信じてはいなかった。あんな事が起きるまでは…
「はぁ、学校だるいなぁ。高校生になるのは楽しみだったけど二年生になっても楽しいことなんてなにもないなんて」
俺、新道 陸人は毎日のようにある学校の憂鬱を訴えている。
「リクト君!おはよう」
「ん?あぁ、おはよう、いおり」
彼女は成瀬 伊織。クラス、いや学校一人気がある女の子だ。
(はぁ、いつ見てもかわいいなぁ)
「リクト君、課題やった?」
「あ、やってない。やばいどうしよう」
「もぅ、仕方ないなー、私の写させてあげる」
「ほんと⁈ありがとう!助かるよ」
ガラッ
教室のドアが開き担任の先生が入ってきた。
「はーい、全員席について。HR始めるよ」
先生がHRを始めた次の瞬間、俺の足元が急に光だした。
「うわっ、なんだこれ」
光はどんどん強さを増していき俺は、目を開けられないくらいになり目を閉じた。光が止み目を開けてみると、俺はどこかの草原に立っていた。
「え、どこだよ、ここ!教室にいたよな俺、なんでこんなとこに、確か足元に急に光が出てきて…まぁ、とりあえず歩いてみるか」
ブォン
「ん?なんだ」
空を見上げると、鳥が飛んでいた。
「鳥だーってあれ、なんかあの鳥やたらとデカくない⁈十五メートルはあるぞ!しかも気のせいかもしれないけど、こっちに近づいてきてない?」
気のせいではなく鳥はだんだんとリクトに近づいてきて地上に降りてきた。
「ウソ、だろ。これって鳥じゃなくて…」
異世界物で有名なあの化け物。
「ワイバーンじゃねーか!!!」
ワイバーン、それは異世界系のラノベなどによく出てくる空想上の生き物。
「な、なんでワイバーンなんてやつがいるんだよ!ここ日本じゃねーのかよ⁈ま、まさか俺、異世界転移しちゃったんじゃ!」
グォーン!
生まれて初めて聞くワイバーンの咆哮。
「と、とりあえずここは一旦逃げよう」
リクトはワイバーンから逃げるために必死で走った。しかし、ワイバーンはすぐに追いついてきた。
「う、うわぁ!」
(こんなとこで俺、死ぬのかよ。まだやり残したことがたくさんあるっていうのに、ちくしょー)
ワイバーンがリクトを食べようとした次の瞬間。
「エアースラッシュ!」
ズパッ
急に強い風が吹いたと思ったらワイバーンの首が綺麗に切断されていた。
「い、今のは⁈」
「大丈夫ですか?」
振り返ると、そこには綺麗な銀髪をなびかせた少女がいた。彼女との出会いが、俺の運命を変えるだなんてこのときは知るよしもなかった。