#02 白い龍
ートールス王国・レンゲ村付近ー
「…で、ミタルバの船着き場から船に乗ってジパングにと」
「そうよ。あまり寄り道はしたくないわ。いい?」
「おk、ドラノ…」
三人が地図を見ながらこれからの行動を確認していると、突然カイオンが茂みを指差した。
「なぁ、あれ…」
「ん?」
頼斗が”創造”の能力で土のよくわからない芸術作品を造り上げていると、突然その土器に切れ目が出来、バラバラに割れた。
「感動的だな。だか無意味だ」
頼斗は再び創造を使い、バラバラに割れた土器を再生した。カイオンは茂みを注意しながら掻き分けた。すると、
「あ?誰か倒れてるぞ」
「ほぇ?あ、本当だ」
「本気で?」
「本気か♪」
「本気だショータイム♪」
調子に乗っているカイオンと頼斗に無言の腹パンを喰らわせ、倒れてる少女をドラノは抱く。
「…大丈夫、気を失っているだけよ」
そう言って後ろをドラノは向くが、二人はその無言の腹パンの影響でただの屍になっていた。返事は無い。
ドラノはもう一度無言の腹パンを頼斗に当てる。
「あべしっ!?…何?創造使えっててか?」
頼斗はふてくされた顔で手を動かし、簡易的な家を作った。頼斗はバテたのか、横で倒れてる。
カイオンは目を覚ますと、少女の頭に水を少し当てた。
「カイオンー、俺もやって」
頼斗がお願いするが、カイオンは片手で水弾を頼斗に当てて頼斗を気絶させる。
そして、数時間後、ドラノはバテている頼斗を更に働かして料理の材料を創造させた。
流石に可哀想だと思ったのか、カイオンは頼斗に水を当てて治癒していた。
そんなこんなでクリームシチューを作ったドラノは三人で食卓を囲んで食べていたが、自然と涙が出てきた。
毎日、屋敷の皆で騒ぎながら食べていたあの日は戻ってこない。そう思ってしまったのだ。カイオンは一言、大丈夫?とだけ言った。余計な物言いは不要と言わんばかりに頼斗はシチューを食べ続けた…
◇ ◇ ◇
ージパング・仙士連合ー
「何故、十二天将の”白虎”がトールス王国に居る!?彼女は本来、朱雀と共に東都の警備に当たる筈だろう!」
でっぶりと太った巨漢が声を荒らげる。隣では赤い翼を生やし、片手には金色で『朱雀椿』と書かれた三本叉の槍を持っている少年が苦虫を噛み潰した様な表情で巨漢の物言いを聞いている。すると、狩着の男がやって来て、こう言った。
「いいじゃないか。妖精王の力を採取してくれるんだから♪」
男は怪しい笑みを浮かべて水晶を覗いていた。