始まり
「ねぇ、今年一年生が入ってくるって本当?」
一人の男が怪訝そうに隣の男に尋ねる。
「理事長はそうおっしゃった。」
隣にいた眼鏡をかけた男が答える。
「珍しいねー。」
眼鏡の男の前に立っている男が笑いながら言う。
「それを言えば僕たちの方が大概珍しいんだぞ?」
眼鏡の男が前の男に言う。
「一学年に逃したくない生徒が9人もいて驚いたっていうやつ?」
奥で本を読んでいた男が尋ねる。
「あぁ。お陰で他学年のクラス入りができなかったから困るわっておっしゃってたぞ。」
眼鏡の男が答える。
「女子か。」
本を読んでいた男の隣にいた男が感慨深げに言う。
「ここ男だらけだもんね。」
最初に怪訝そうに眼鏡の男に質問した男が苦笑しながら言う。
「そんなのはどうでもいいだろ?迎えにいこうぜ、その新入生。今日の理事長の依頼だ。
」
奥にいた男が扉に向かう。
「えー、一人がいけばいいじゃん。」
机にもたれ掛かっている男が面倒くさそうに言う。
「9人で迎えに行けという理事長のお達しだ。」
眼鏡の男も答えながら扉に向かう。
「面倒くさ。」
そう言いながらも机にもたれ掛かっていた男も扉に向かった。
「いいから行くぞ。」
ずっと喋らなかった男の一言で9人の男が教室を出た。