表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

1.都会の夏。

三坂糀みさかこうじと申します。

ゆっくりと書いていこうと思います。

ほんの少しだけお付き合いいただければ幸いです……

 ここに引っ越してどのくらいの時間が経っただろう。大学一年生の春を迎えて、すっかり夏色に染まった空を床に寝転んで見た。ここは、自分が幼少期を過ごしたところに比べて都会で、車の音が大通りの方から聞こえ、夜には大きなエンジン音を鳴らして過ぎていくバイクの影がうっすらと見える。窓から見えるもの聞こえるものはすべて騒がしく、幼少期のころに粗末な半袖半ズボンを引っ掛けて虫網を振り回していた頃の記憶が反動で微かによぎる。

「夏だな……」

 俺はただ、昔の記憶の中に封じ込めた何かが弾けそうな心を抑えていた。夏という季節は嫌いではないが、ただ、妙に暑いせいか、途方もない孤独感に悩まされるときがある。

 例えば夕暮れ。夏の夕暮れは、幼いころから、とても寂しい気持ち襲われるものだった。

 例えば、真昼の木漏れ日。小さいころにかくれんぼをしていた神社の御神木が作り出すコントラストをじっと見つめると光と影が見えて怖くなった。

「夏だな……」

 俺は意味もなくもう一度呟いた。誰かに会いたい。過去の記憶に埋もれていった友達は今どうしているだろうか。どこで、何をしているだろうか。

「神社に行こ!」

 突然、どこかから無邪気な少女の声がした。まだ小学生くらいの声だ。あまりに耳元で囁かれたので、思わず床から起き上がった。──だが、そこに誰もいなかった。

 俺は冷静になって考えた。そうだ、俺は一人暮らしをしていたんだと。だが、それが非現実的に起こった出来事とは思えなかった。

「暑さに頭がやられてるのか……? ──それとも」

 その時、窓の外に赤い郵便局のバイクが走り去っていくのが見えた。

「ポスト最近見てなかったな……」

 桜が頭に降りかかる入学式のころはまだまめにポストの中を確認していた。ここ、一か月ぐらいはいつ見ただろうか。

 俺は広くもないアパートの鍵を開けて、郵便受けへと向かった。

 中に入っていたものといえば近くに新しい店がオープンしただとか、バイト募集のチラシだとか、雨に濡れて何が書かれているかわからないものまであった。そんな郵便受けのごたつきの中に異色なものが一通あった。

「何だこれ……」

 チカチカする広告の中にポツリとパステル調の質素な封筒が入っていたのだ。

「田上雄太様」

 俺宛てに来ていた。まぁ、それはそうかと思ながら裏返す。送り主の名前を確認する。

「山並杏奈」

 山並杏奈……? どこかで聞いたことのあるような名前だなと思い記憶を巡らす。そしてやっとこの人物が誰なのかが分かった。

「幼馴染だ。──懐かしいな……!」

 人間古い友人から手紙がくると喜ぶ生き物らしく、俺は他の広告類を全てグシャグシャに丸めてその封筒だけを大事に持って部屋へ戻った。

 俺は部屋に戻ると、取りあえず麦茶をコップに注いで、丁寧に封を切った。何せ久しく連絡を取ってない幼馴染だ。一体何だろうかと形の無い期待と不安で心が揺らぐ。

<ユウタへ。

 住所は貴方のお母さんに聞きました。今は一人暮らしをしているそうですね!あ、お久しぶりです!覚えてるかな??アンナです。ユウタと会ったのは小学6年の夏で最後だったよね!私は途中で転校してしまったからね。

 どうですか?元気にしてますか?? 私は今年の夏はとてもいい夏にしようと思ってます!!笑

 ユウタはどうしてますか? 夏休み、エンジョイしてますかー??笑

 あ、なんで今回手紙を送ったかというと、私のワガママなんだけど、今度、みんなで集まりませんか?? 小学生の頃の親しい仲間と!笑

 何か、あっという間に時間が経って、もう私たちも大人になっちゃうよね。その前に、最後にさ、大人になる前に、残り僅かな子供としての夏を楽しみたいな……!みたいな!(日本語下手でごめんなさい)

 そこでユウタにお願いがあるんだけど、小学校の頃、私たちがよく遊んでいたグループ、覚えてる?

 その人たちに声掛けをしてもらいたいんだ! お願いしまする~!笑

 じゃぁまたね! 連絡がついたら教えてください!

  アンナ>

先は長いですが、少しでも展開が気になって頂ければ、いつかご訪問ください……m(__)m

ではまた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ