後編
見ていただけれて嬉しいです
ありがとうございます
生活は辛かったが楽しくもあった
今まではスプーンより重い物など持ったことの無かった私だけれど、侍女のする事は一応見ていたから見よう見まねで生活のすべて一つ一つのことに全力で取り組んだ
そして季節は巡り、子供ができた
そしてそれを聞いて喜んだハルカは、栄養が必要だから何か狩ってくると言って出てったまま帰らなかった
幾日待てど暮らせど帰らなかった
不安で胸がはじけそうだった
黒いどろどろとした物が胸を埋めた
結局数ヶ月待ってもハルカは帰ってくることはなく、生死すらわからない
わからない方が希望があっていいのかも知れないけれど
そして一人でお産に挑んだ
しかしもともと女一人それも身重での生活だったのだ
栄養が圧倒的に足りず産婆さんもいない
お産は失敗した
一人でいきんで一人で産まれてくる子供に世界を見してあげようとしたけど、無理だった
そして、世界には霞がかかってくる
その霞の衣をまといながらつらつらと考える
夢は夢のままであったほうが誰も丸くすんだのではなかったのか…
夢は夢だから美しいのではないか
夢は夢でなくなったときからもう夢ではなく醜い現実なのではないか
そんな事を考えていれば人影がこちらに向かってくるのが見てた
「ハルカ…」
そう、ハルカだった
ハルカが手を差し伸べてきた
「ハルカ…そこにいたのね、今、行くわ…」
マリーが目を覚ますことはなかった
お付き合いくださりありがとうございました