隠し部屋
すみません、少しこっちが書けたので更新しました!
「うっ……は、春ちゃん……ちょっとは手加減してよ」
私が起き上がりながら首元を触って言うと、怒りが収まったのか、春ちゃんは普通に蹲りながら「ごめんごめん」と答えた。
そして春ちゃんは立ち上がると奥の壁を見た。
「どうしたの? 春ちゃん」
「何か変に見えて」
「変?」
私はその壁をよく見てみたが、別段そんなに変には見えなかった。
「別に何にも変には見えないけど?」
私がそう言うと、春ちゃんは首を横に振って言った。
「いえ……よく見て左下のほう」
「左下?」
私は春ちゃんが指した壁の左下の方向に目をやると、少しだけ何故か捲れていた。
「あっ……」
「気づいた?」
「う、うん……でも、壁が剥がれているなんて別に変じゃあないんじゃない?」
「確かに普通なら変じゃないけど……よく見ると、捲れている所の隙間が変じゃない?」
春ちゃんに言われて再度見てみると、捲れている隙間を見てみると確かに色が変だった。
「あっ、確かに」
「ねっ何か変でしょ?」
「う、うん。まるで……シールみたいな……」
私はついその捲れている所を持ち、捲ろうとしようとした時、ベリッという音がした。
「ベリッ? ……まさか」
私は思いっきり捲ってみると何とまた壁だった。
「か、壁? ……じゃ、じゃあなんで壁に壁のシールが?」
「私にわかる訳ないじゃない」
春ちゃんはため息を零して壁に触れるといきなり『指紋認証完了』という音声が流れた。
「えっええ?」
私も含め皆はいきなりの事にビックリしてしばらく停止していたがすぐにまた次の音声が流れ始めた。
『あと3名まで認証が出来ます。認証をまだしない、またはこれでいいのなら壁をノックしてください』
「……で、どうするの?」
何処からか聞こえてきたアナウンス?の言葉を聞き終わった私は二人に質問した。
「ど、どうもこうも……とりあえず、やってみたら?」
「う、うん……」
私は春ちゃんに促されて、壁に手を置くとまた『指紋認証完了』と聞こえまたさっきの言葉を喋った。
「あと残ってるのはノリ君だね」
「ああ、そうだな」
ノリ君は私の言葉を受けて自分の手を壁に置いた。
『指紋認証完了』
『あと1名まで認証が出来ます。認証をまだしない、またはこれでいいのなら壁をノックしてください』
三度聞いた言葉に私は「じゃ、じゃあ……やるね」と二人に言い、息を飲み込んで壁をノックした。
「………っ!」
私は力んでノックをすると『ノックがされたので扉のロックを解除します……再度認証をするときはロックがかかった状態で壁を三回ノックしてください』と聞こえた。
「ろ、ロックを解除……?」
私が口ずさんだ瞬間、正面にあった壁、いや壁という物は段々と下に沈んでいった。
そして完全に下に沈むと、目の前には謎の扉が現れた。
「な、何これ!?」
またまた自分が驚いていると、その扉が開いた。
よく見るとこれはエレベーターみたいだ。
「……こ、これは……わ、罠?」
「う、う~ん……罠……の可能性も高いわね……」
いきなり聞こえた機械音声に、いきなり現れた扉……エレベーター……怪しすぎる……。
私がそう思いながら扉の中に入るのを躊躇っていると、ノリ君が何の疑いもせずにそのエレベーターの中に入って行こうとした。
「ちょっ! ノリ君!?」
「な、何やってんのよ! 危険だわ!」
私と春ちゃんがいっぺんにそう言うと、ノリ君はしれっと答えた。
「このくらいの危険を乗り越えなきゃ世界を変えられない……だろ? 春」
「うっ……」
春ちゃんは反論できず、ノリ君はそのままエレベーターの中に入って行った。
「……の、ノリ君、どう?」
私の質問にノリ君は少し笑みを浮かべて答えた。
「ふ~ん、なるほどね………」
「な、なるほどって?」
「………う、うわああああ!!??」
「「!!??」」
いきなりのノリ君の悲鳴に私は勿論、春ちゃんも驚いた……だが。
「……なんちゃってな、大丈夫だよ」
そうノリ君は全く平気な顔をして答えた。
だが、心臓がバクバクしてきた私は。
「ちょっ、お、驚かせないでよ!」
とノリ君の頬を叩いてしまった。
「あっ……ご、ごめん……ノリ君」
私は素直に謝るとノリ君は「いいよいいよ、ふっかけた俺が悪いし」と答えた。
「で、結局どうなの?」
「あ、ああ……なんかボタンが一つだけあったよ」
「ボタン?」
ボタン……っていうことは、やっぱりエレベーター?
「じゃあ、エレベーターっぽいですね、春ちゃん」
私が思ったことをそのまま春ちゃんに言うと、春ちゃんは「そうね」と頷いた。
そして春ちゃんはノリ君に少し残酷なことを言った。
「じゃあノリ、そのボタン押して大丈夫だったら戻ってきて」
「もう呼び捨てかよ………はあ、分かったよ」
ノリ君はため息をついてそう言った。
そして私も「このくらいの危険を乗り越えなきゃ世界を変えられないでしょ?」と嫌味ったらしく言った。
「ぐっ……女の復讐は怖ぇな」
ノリ君の小声に私はわざと聞こえないふりをしてこう言った。
「何か言った? ノリ君」
私の質問にノリ君は「何でもないデス」と答えてボタンを押した。
「……気を付けて」
「ああ、分かってる」
そうグッとポーズをして扉は閉まった。
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「総統……アータル少将が脱走したそうです」
「ああ……あいつがか」
「追いますか?」
「いや、わざわざそんな事に人員を裂くことはない……あんなやつ一人何もできない」
「分かりました……」
「はあ……はあ……くっ、絶対に……絶対に殺してやる! 久遠薜!!」
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