記憶喪失
ワードで書いたものをそのままコピペしたので、少しアレなんですがすみません、一応、今まで書いたやつを張ろうと思うので更新とかは大分遅くなると思います。自分なんかまだまだですが読んでくださったら嬉しいです!
「……………」
私は……何故、ここで倒れているのだろう。
何故、辺りが真っ暗なのだろうか……。
それに、全身が痺れたように目を開けることすらも出来ない。
「………………」
何で?
何で私は……ここで?
周りからは、悲鳴や泣き声などの阿鼻叫喚が私の耳に聞こえてくる。
そして、銃声や砲弾の音も………何で?
何で私は……戦場の真只中みたいな所で、ただ倒れているだけなの?
私は……死んだの?
でも、何で死んだのか、全く思い出せない………それに、ここがどこなのかも全く分からない……。
「………うぶ?」
?
誰かの声が聞こえる。
女の子の声が………。
「……じょうぶ?」
段々、声が聞こえやすくなってきた……。
「だいじょうぶ?」
だいじょうぶってこの人は言っているのだろうか?
でも、どうせ、私は死んでいるだろうから、無意味だけど……。
だけど、だったら何で、私には意識があるのだろうか?
これは、幽霊というものだろうか?
「……あっ、この子、まだ息がある! 早く安全なところに!」
えっ?
息がある?
そんな感覚……全然無い………あれっ?
段々、何か、意識が遠のいていくような?
……そっか、私はこれから死んじゃうんだ……。
さっきのは、よく言う臨死という状況なのだろう。
あれっ?
でも、なんで私は、臨死って言葉を知っているのだろうか?
……まあ、今となってはどうでもいいか……私は、自分が何者なのか分からず……死んでしまうんだな〜〜…………。
ポタッ
「うっ……」
私は頬に冷たい何かが当たり、目を覚ますと、一人の少女がいた。
「あっ、ようやく起きたわね!」
「えっ? ……私、死んだんじゃあ……」
「はあ? 何言ってんの?」
女の子は呆れたようなため息をついた。
「あんた、ただ、気絶しただけよ?」
「えっ?」
「多分、砲撃の音とか銃声の音とかで、混乱しちゃって気絶しちゃったんでしょう」
「で、でも、あのとき、私、意識があったけど!」
「多分、それも、夢なんじゃない?」
「夢?」
「ええ……まあ、こんなご時世だから、そんな夢見るのも普通だけどね。私なんて、殺される夢見たわよ?」
こんなご時世?
一体、どういうこと?
「あ、あの……どういうことでしょうか?」
「えっ?」
私の言葉に女の子は少し驚いた様子で「えっ、知らないの?」と聞き返してきた。
「は、はい……どうやら私、記憶、失くしちゃったようで……」
「ふ〜ん……なるほど、そういうことね」
「えっ、驚かないんですか?」
「まあ、こんなご時世だから……って、悪かったわね、こんなご時世って言われても分かんないよね。じゃあ、説明するわ………えっと、今から5年前のことなんだけど、一つの火星ぐらいの大きさの小惑星が、地球に衝突したの。そして、その影響で、一気に水は乾上り、その爆風の塵によって、雨は降らなくなり、太陽光は遮られ、食物は枯れ、深刻な枯渇問題になったの……それで、痺れを切らした各国が、残された食料などを奪うために戦争が始まったの。当初、この「国は、戦争は駄目って反対してたけど、次第に資源が無くなってこの国も戦火に巻き込まれたの……」
「そ、そんなことがあったんですか」
「ええ……ちなみに、貴方が倒れていた場所は、ちょうど、このコスタリカとパナマが戦っている最前線だったのよ……まあ、ここは安全だけどね」
「こんなボロイ崩れた病院が?」
「まあ、実は、ここはチリポ国立公園で戦闘が終わったところなの、流石に、敵も二回同じ場所は攻めないでしょ? 戦力の無駄だし」
「そうですね」
確かに、この子の言うとおり、資源の枯渇が進んでいる今、無駄に兵力を使うことは避けるはずだ。
「ここからは、私の個人的な話になるんだけど、私が中3の時、ここには両親と一緒に日本を離れて前から住んでいたんだけど、戦火に巻き込まれて、父と母は…………そして、いわゆる戦争孤児となった私は必死に生きるため、腐った食べ物も食べたし、盗みもしたわ……」
「そ、そうなんですか……って、あれ? じゃあ、何で私を?」
少し疑問に思った。
そんなに生に噛り付いてまで生きていたのに、何で私を助けたのだろう?
助けたのなら、当然、負担も食料も2倍になる……何故?
「ああ、その事ね……私も、よく分からないの」
「えっ、分からない?」
女の子は肯定した。
「本来は見捨てても良い筈なのに、何でこんなことをしたのか、私にも分からないわ……ただ、多分、私の残った良心がしたんでしょうね」
「残った良心……」
「ええ………そういえば、お母さん言ってたな〜良心さえあれば、人は天国に行けるって……」
「天国……ですか?」
「ええ……随分と忘れてたけどね」
女の子は少し寂しげな表情をした。
「………」
「あっ、ごめんね! 何か嫌な空気になっちゃって! ……あっ、そういえば自己紹介がまだだったわね、私の名前は皆影春って言うの」
「み、みなかげはる?」
「ええ……皆の皆と、影の影で、皆影って言って、春の春で春……まあ、そのままね」
「そ、そうですか……あっ、改めてよろしくお願いします、春さん」
私が軽く頭を下げると、春さんは「いいよ、いいよ! そんなさん付けなんて、春とかで呼んでくれたらいいよ!」と言ったが、さすがに呼び捨てはどうかと思い、ある結論に達する。
「じゃ、じゃあ、春ちゃんって呼んでいいですか?」
「春ちゃん? 別にいいけど……」
「じゃあ、よろしくです! 春ちゃん!」
「え、ええ……」
春ちゃんは少し照れて返事をした。
「……あっ、そういえば、貴方、名前が分からないんだったわね?」
「は、はい」
「じゃあ、私が決めても……いいかしら?」
「えっ? ……あっ、全然大丈夫ですよ!」
私がそう答えると、春ちゃんは「ありがとう」と言って考え始めた。
「う〜ん」
すると、春ちゃんは私の体を見始めた。
「な、何ですか?」
「うん〜〜〜はっ! 良案思いついちゃった!」
「え!? ほ、本当ですか?」
「ええ! まず、実は貴方の服、ボロボロなのよ」
「え?」
私は、春ちゃんの言葉を聞いて自分の服を見てみると、確かに、破けていたり少し泥がついていたりしてボロボロだった。
「本当だ……い、いままで気づかなかった」
「そうなの?」
「はい」
「ふ〜ん……まあ、いいわ。でね、ボロボロな服を着ているからボロちゃんってどう?」
「ボロちゃん? ………いいんじゃないですか?」
私がそう言うと、春ちゃんは「でしょ!」と自信下な顔をして言った。
「さて、どうしようかしら」
春ちゃんは一人で考えながら辺りを歩き回っていた。
「あの……どうしたんですか?」
「いやっ、ちょっとね……食料が切れちゃって……」
「えっ? ほ、本当ですか?」
「ええ……だから、どうしようかなって」
「ま、まさか、私のせいで……」
「ううん! 違うの、今日、ちょうど切れちゃってね、それで、貴方がいたあの戦場まで食料を探しにいったんだけど、中々盗れなくてね、それで諦めて帰ろうとしたら貴方がいたわけ」
そう簡潔に春ちゃんは説明した。
「そうなんですか……で、何で盗れなかったんですか?」
「まあ、警備が厳重でね、とても一人では無理だったから……」
「そうですか………あっ」
その時、私の頭の中で良案が浮かんだ。
「ど、どうしたの?」
「えっと、ですね、一人では無理なんですよね? だったら、二人で盗りに行くというのはどうでしょう?」
「えっ? 二人で?」
「はい! 簡単に説明すると、その食糧庫に一人囮として、兵士を誘導して、その隙に頂くってことです!」
「なるほどね……中々の良案だわ……」
「でも、一つ問題が」
私がそう言うと、春ちゃんはそのことが分かっているようで、私よりも先に口を開いた。
「誰が囮をやるか……だよね?」
私は肯定した。
「じゃあ、私がやるわ」
そう春ちゃんは言った。
「えっ、私がやります!」
「ううん、いいの、私がやるわ」
「でも!」
「いいから! あなたじゃあ、数分も持たないでしょ?」
「でも、そんな危険な役目……」
「いいの、いいの、危険なことは慣れているから。それに、ベテランに任せた方が、ノーリスク・ハイリターンでしょ?」
確かに、春ちゃんの言う事には一理ある……ここは、ベテランに任せた方がいいようね。
「……分かりました。じゃあ、囮はお願いします……あっ、でも、場所って」
「ああ、場所はね、行けば分かるわ」
「そうですか」
「ええ……じゃあ、少し休憩してからにしましょうか」
そう言って、春ちゃんは今にも壊れそうなベッドに横たわった。
「ボロちゃんも適当に休んでて」
そう言って、春ちゃんはあまり機能を果たしていない毛布を被り眠りについた。
ほんの数分も経たないうちに春ちゃんから寝息が聞こえてきた。
「凄いですね、こんな所でもう寝れるなんて………じゃあ、私も、寝ますか」
私も寝ることにし、壊れかけたベッドに横たわった。
案の定、少し硬くて窮屈だったけど、我慢し、毛布を被った。
「おやすみなさい……」
私は小さくそう口にし、眠りについた。