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コンティニュー

作者: 蓼食 虫好

言葉の使い回しがあまり達者でないところがあります。すみません。

最初はプロットにしようとしてたんですけど、試し投稿と言う事で。

十代最後の日である。

やっと一人暮らしに慣れたところで、独りで誕生日を祝うと言う非常に虚しいイベントが来た。来なくて良かったのに。むしろ今日だけ大学もバイトも友達との誘いも断り一日中寝ていたい気分だ。何もしたくない、何をする気にもなれない。白い壁紙の部屋を虚無感と無音だけが切り裂く。

みたいな恰好いいやさぐれかたをしたかったものだ。無論、大学もバイトも友達との誘いも断ったが、薄桃色の壁紙の部屋をゲーム音と酒臭い空気が充満している。なにも格好良くないし、女性としてどうなのだろうか。いや、昨日の告白が成功していればきっとこんなことにはなっていなかっただろう。失敗したものは仕方が無いが、私にはあまりに辛くて、泣きそうで。あのヤニ臭い口から息と共に発せられるいやな響きの一言は、もう少しマイルドに出来なかったものかと疑うぐらいだ。そこからは憎しみの嵐である。アイツにいい女が付いてくるとは思えない。文系の癖に文章力もないし、変な格好しかしてこないし、髪はグシャグシャだし。でもやはり何処か安心感があって、でも嫌いで、でも愛おしくて。

「クソっ」

画面に浮かぶ Game over の文字。まるで私の初恋のようだ。

そこで鳴り響くメールの着信音。昨日メールボックスを空にしたばかりなのに。また消していくのがとてつもなく面倒くさい。

『アンタの事だから部屋でやさぐれてんだろ。店来な。呑もう。』

どこかの歯車がボコっと取れた気がした。

そうだよ、呑もう。すぐ行こう。走っていこう。返信もせずに。後ろも振り向かずに。これからの人生みたいに。部屋の鍵もせずに電気も消さずに走り出す。我武者羅に履いたパンプスなんて只の飾りだよ。

コンティニューだよ。画面に浮かぶ赤文字のように。ちょっと強くなって、同じ主人公だけど違う難易度で違う敵で。違う王子様で。イエスかノーかなんて見てすらない。花の十代はゲームオーバーだけど、竹の二十代になってニューゲームだよ。きっとこれからもそうなっていくんだよ。

わたしはネオンの中を走り抜けた。

読んで頂き、有難う御座いました。

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