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第56話 ドレスト侯爵様の呼び出し

散々4人で確かめ合った翌日。

私は何故かお父さまから呼びだしを受けていた。


(まさか?!…私たち4人でのこと――バレちゃった?)


内心メチャクチャビビりながらも。

私はルルに髪を整えてもらい、身だしなみに問題がないのを確認してお父様のいる執務室のドアをノックした。


「失礼いたしますお父様。ロナリアです」


「うむ。入ってくれ」

「はい」


いつも書類に囲まれているお父様。

なぜか私の顔を見るなり、まるで可哀相なものを見るような表情を浮かべた。


あうっ?!

やっぱりこれって…


思わず夕べの宴が頭をよぎり、顔を赤らめてしまう。


「コホン。あー、すまないなロナリア。こんな朝から。まあ、掛けてくれ」

「は、はい」


ソファーに座るとお父様も机から立ち上がり、私の正面に腰を下ろした。

そしてまじまじと私を見つめる。


「ふう。…相変わらずロナリアは可愛いな。……」


なぜかため息交じりに零すお父様。

意味が分からないのだけれど?


「あ、あの、お父様?どのような要件なのですか?」

「ああ、すまないね。ドレスト侯爵なんだが…」


「は?」


ドレスト侯爵?

よかった。

昨日の事じゃなかったのね。


「お前とシュラド君、二人を夕食に招待したいそうなんだ」

「はい?」


ええっ?

お父様?

今、なんて?


「コホン。まあドレスト侯爵は第一王子派の筆頭だ。第2王子が廃嫡された今第一王子、アルス殿下が皇太子になるのは確実だろう。そこで勇者であるシュラド君と運命の女神であるロナリア。……親交を深めたいと思うのは当然だと思うがね。――まあ、ただな…」


お父様の言う事、分かる話だ。

何しろそういう思惑の貴族は数多いる。


もちろん全部に行くわけではないけど……


俊則もそういう席、あまり好きじゃないしね。


でもさすがにドレスト侯爵の招待は断ることは難しい。


「…ただ?」

「うむ。急なのだ。実は今夜来て欲しいと、先ほど知らせ、というか……」


何故か言いよどむお父様。

嫌な予感がしてしまう。


「ご本人がな。わざわざ先ぶれもなく来たのだよ」


「は、はあ?ドレスト侯爵閣下自らですか?」


「う、うむ。……流石に慌てたぞ?一応爵位は同じとはいえドレスト侯爵家は伝統ある家系だ。うちとじゃ月とスッポン。格が違う」


そりゃあ…

さすがにお父様も驚いた事でしょうね……


でもなんで?


それこそあのお方は偉い。

今の俊則や私の地位は確かに高いけど……


お父様には命令じみたことはできたはずなのに……


「そんなわけだ。問題ないのなら行って欲しいと思うのだが。どうだろうか」

「……は、はい。伺わせていただきます。…ていうか断れないですわよね?これ」


「コホン。う、うむ。……すまないなロナリア」

「い、いえ。お父様のせいでは…」


貴族間においてそういうことはままあるものの。

新たな事業を始めるための人脈作りとか、少しお金を回してもらうとかね。


正直家は特定の勢力とつながりを作るメリットはほとんどない。

はっきり言ってウッドストック侯爵家は財政面でも政治面でも国で今、一番安定しているくらいだ。


まあただの食事会。

取り敢えず行ってみない事には何も分からない。


「分かりましたお父様。それで何時に行けばいいのでしょうか?」

「うむ。夕方6時に来て欲しいと言われた。迎えはよこしてくれるそうだ。5時までに準備を整えて欲しい」


「はい。承知いたしました。……その、服装については」

「う、うむ。……それがな『動ける格好、特にシュラド様は』と言われている。正直意味が分からん。まあ正装である必要はないらしいが、それでもルイラには声をかけてみてくれ」


動ける格好?

いったい何をするつもりなのかしら?


まさか俊則の実力を疑っている?

……でも侯爵様はともかく、エリス嬢は俊則の実力知っているわよね?


うーん。

だめだ。

考えても分からない。


「ふう。分かりました。この後お母様と相談してみます」

「うむ。頼んだよ」


挨拶もそこそこに私はお母様の部屋へと向かう。

こういう貴族間のやり取り、お母さまの知識はまさにチート。


とりあえずお母様の言うとおりにしておけばまず間違いはないのだ。


はあ。

私もお母様のようになれるのかしら?


思わずため息をつき、私はお母様の部屋をノックした。



※※※※※



夕刻の5時少し前――


私は落ち着いたデイドレス、そして俊則は一応礼儀を欠くことの無い様な、武術をたしなむ人の正装に近い、皮鎧をセンス良く仕上げたものを着用して、二人お父様の執務室で控えていた。


「ねえ舞奈?心当たりとかないの?」

「うん。最近は私ドレスト侯爵様と会っていないし。たまにエリス嬢とは…そ、その…」

「…あー、うん。……舞奈とエリスさん………仲いいもんね」


あうう。

これ絶対俊則知っている顔だ。


思わず赤面してしまう。


「うあ、べ、別にへ、変な意味じゃないよ?ふ、ふつうに仲良しだよね?」

「う、うん」


恥ずかしい。

これ絶対に知っているヤツだ。


私はうつむいて、何故か羞恥プレイにさらされていた。


「ロナリア、シュラド君。迎えが来た。準備はいいかい?」

「は、はい」

「……はい」


「ん?どうしたんだロナリア?…っ!?具合でも悪いのか?」


「い、いえ。大丈夫です。…待たせては失礼ですよね。俊則、行こう?」

「う、うん」


私は俊則の手を取り席を立つ。

こんな時だというのになぜか彼の温かさに心臓が跳ねる。


「じゃあ玄関までだけど……ロナリアお嬢様?手を」


そう言い跪く俊則。

私は彼の手に自分の手を重ねた。


「ふふっ。舞奈のエスコート。……光栄だね」

「っ!?もう。恥ずかしい」


「ははっ、落ち着いた?」

「っ!?……うん♡」


ああ。

この人は。


いつでも私にスッゴク優しい。

気付けば私はとてもいい表情で前を向けていた。



※※※※※



ドレスト侯爵家。


この国の重鎮。

過去には多くのドレスト侯爵家出身の人が王族と交わり、権力の中枢にいつもその家名があった、実質的な超エリートの貴族だ。


座り心地の良い馬車がやがてゆっくりと止まる。

ドアを開けてもらい、私は俊則のエスコートで侯爵家の玄関に降り立った。


「ロナリアお姉さま♡」


そんな私に抱き着いてくるエリス嬢。

なんかすんごく豪華なドレス?


うう、いきなりやらかした?

そんなに気を使わなくても良いってお母さまも言っていたのだけれど?


「エリス。お前その格好は何だ?……着替えてきなさい。…ロナリア嬢、ようこそいらっしゃって下さった。娘の非礼、申し訳ない」


ひうっ?!

いきなり頭を下げる?

余りの事に私の頭は真っ白になってしまった。


「頭をお上げください。ロナリア嬢、困っていますよ?」

「う、うむ。申し訳ありません。勇者シュラド様」


「侯爵様、私の事はどうかシュラドと。確かに勇者ですが、まだ大した実績もない若造です。それに私はあなたと話をしてみたかったのです。この国を思う、真の貴族であるあなたと」


え?

俊則?


凄い……

あの侯爵様が感動に打ち震えている?


「…はは。噂は本当であった…ええ、シュラド様。試すようなこと、誠に失礼した」

「いえ。お立場は何となく。……それで私は何をすればよいのですか?」


私は一人、色々考えすぎて逆に周りが見えていなかった。

落ち着いてみればこの場にいるのは侯爵様とエリス嬢のみ。


もちろん執事や侍女の皆さんはいるけど……


これは間違いなく、私的な夕食会だ。

そして何となく目的も理解した。


きっと侯爵様、俊則の力を欲している。


たぶん浄化……

そしてそれでもダメな場合の保険として私の解呪。


「あ、あの…ロナリアお姉さま?…す、すみませんでした。わ、私お父様に指示されていたのに…つい嬉しくて……一番お気に入りのドレスを…着替えてまいります」


「まって」

「え?」


私はそっとエリス嬢の手を取る。

顔を上気させ目を潤ませるエリス嬢。


うん。

普通にめっちゃ可愛い。


何気に私、彼女とは結構絡んでいるのよね。

情景が浮かび思わず顔に熱が集まる。


「とっても奇麗ですわエリス様。あなたのわたくしたちを迎えるその心、とても嬉しい。だから…ドレスト侯爵様?」


「…う、うむ」


「運命の女神として命令します。今夜はエリス嬢、このままで。よろしいですわね?」

「っ!?はっ。仰せのままに」


膝をつき最大の礼をするドレスト侯爵。

あまりこういうことはしたくはないけど……


可愛いエリス嬢の為。

まあ、勘弁してほしい。



※※※※※



こうして私たちとドレスト侯爵、そしてエリス嬢との4人での食事会が始まった。


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