第13話 世界にはばたけ百合の会!会長譲渡の儀
私は自室に戻り、休ませたルルを呼び情報の共有を行うことにした。
これまでの経緯、そして。
解呪が成功したこと。
ルルは膝から崩れ落ち、手で顔を覆い。
ぽろぽろと大粒の涙を零す。
私はそっと彼女を抱きしめ、落ち着かせるように優しく背中を撫でたんだ。
※※※※※
暫くして。
「あの、ロナリアお姉……お嬢様…」
「もう、良いのよ。お姉さまって呼んでちょうだい。わたくしもその方が嬉しいわ」
「っ!?…はい。――ロナリアお姉さま」
その様子を見て私は覚悟を決める。
ルルを守りながら…私の“味方”に引き入れる。
大きく深呼吸。
私は自身に魔力を揺蕩らせた。
「ルル、今から言う事、誰にも言わないと誓えるかしら」
私の雰囲気が変わったことに気づいたルルは、真直ぐ視線を向けてくれた。
「…ありがとうルル。私は頭の怪我を負ったとき、死んだの」
「っ!?」
「そして。…今の私は、――高坂舞奈といいます」
驚愕の事実。
きっとすぐには信じられないだろう。
でも私はもう。
――覚悟を決めたんだ。
「信じられないでしょうけど、わたしは違う世界からこの子の体に転生したの」
「……だから」
「ええ、違和感あったのでしょう?」
「…はい」
「ふふっ、あなたは賢い子だわ。だからお願いがあります」
ルルはこくりと頷いた。
私は自然にルルの頭を撫でる。
「この世界は“ある一人の女性”によって歪められているわ。お父様も犠牲者の一人ね」
「……そう…だったのですね」
「ええ、後で一緒にお父さまと面談しましょう。怖いでしょうけど、わたくしが絶対に守るわ」
ルルの目に力が戻ってくる。
(…ああ、やっぱりこの子も強い子だ)
「私ね、大好きな人がいたの」
「……」
「そして古臭い考えかもしれないけど、私は魂をその人に捧げたの」
「……」
つい視線をさまよわせてしまう。
胸の奥がチクリと痛む。
「…だからね、無理やり人の心を歪ませる事を絶対に許したくないのよ」
「はい。どうすれば…」
「貴方の力をわたくしに貸していただけるかしら」
私はにっこり微笑み、ルルの瞳を見つめた。
ルルの頬がうっすらと上気していく。
「はい。私にできることなら」
「嬉しいわ……ありがとう」
そして流れるようにハグ。
(…やばいな、私もだんだん染まりそうだ)
これで準備が整った。
そう思い遠くを見ている私。
そんな私にルルは何となく躊躇いがちに口を開く。
「あの……ロナリアお姉さま?」
「ん?」
そしてなぜか、赤く上気するルルの可愛い顔。
「…会長職はどうされるのですか?」
「っ!?」
ぐふっ。
くっ、あの悍ましい組織のこと忘れていた―!!
「あー、えっと……ハハハ、ハ……どうしよう」
「あの、舞奈様?お好きではないのですよね?」
「うん。というか私、男の人の経験もないんだよね。なのに女の子同士とか……はっ?!」
なぜか私はひらめいてしまう。
そして禁断の質問をルルに投げかける。
「あの、ルルさん?あなた、結婚のご予定ございまして?」
「はい?えっ?どうしたんですか、いきなり……わたし、その、男の人……怖いです」
うん。
ごめん。
でもこの質問は避けられないのよ!
「あー、ごめんね?私、いまいち“ここの常識”知らないっていうか……百合は“マスト”なのかしら」
「……マスト?」
「あーうん、その、認識されているというか、性癖の一つとして必要というか…」
「???ごめんなさい、難しい事は分かりませんけど、多いですよ。好きな人」
「えっそうなの?…ちなみに私が創設した百合の会って…会員どのくらいいるのかしら」
「舞奈様の会は確か300人くらい会員がいますね」
「っ!?」
……
嘘でしょ?
どんだけ需要あるのよ!この世界!?
「中規模じゃないですかね。王妃様の会は確か1,000人くらいいらっしゃいますよ」
――はあ。
おい運営。
おい開発陣よ。
お前らの頭の中を見せてみろ!
(きっとピンク90%、黒10%なんだろうね!!)
私はがっくり膝から崩れ落ち。
大きなため息を零してしまっていた。
※※※※※
現状と認識のすり合わせ。
それを終えた今、私はルルの入れてくれた紅茶にほっと息を吐き出していた。
「そうだルル。わたくしのことは今まで通り“ロナリア”でいいわ」
「わかりました」
とても良い香りに、癒されていく心。
改めて私は核心に触れる。
「取り敢えず――会長職を誰かに譲りましょうか。さすがに“ノンケ”の私には荷が重すぎるわね」
「あのお……」
「ん?」
ルルの瞳が瞬きだす。
「もしよかったら……私なっても良いですよ?会長に」
驚愕の言葉を口にするルル。
想定外の言葉。
――でも。
「えっ、本当?……良いのかしら?だって……」
「はい。特に活動もしていませんし?…年1回の会合で宣言するだけですよ」
あーうん。
確かにお願いしようとは思っていたけど……
あっ。
「ねえ、政治的に影響とかあったりするのかしら?」
「ありませんよ?ただいちゃつくだけですし。男性の方は多分知らないですし」
「そうなのね……本当にお願いしても良いの?」
「はい。お役に立てて嬉しいです」
はあ。
まあ良いか。
なんだか分からないけど。
ルルもその気みたいだし。
「じゃあお願いしますね」
「はい。……あのお、一つお願いが…」
なんだか急にルルの色気が増してきたけど……
私の心に何故か。
危機を知らせる“アラート”が鳴り始めるし?
「儀式だけ、お願いしたいです♡」
「えっ、儀式?」
そして何故かするりと私に抱き着いてくる。
あれ!?
なんか私も体が――熱い!?
「お姉さま♡あああ、はああ♡」
「ひうっ」
背中に何かいけない汗が!!
「キスしてください♡それで許します♡」
「待って、待って、ねえ。…それ、本当に儀式?したいだけじゃないよね?」
あああ、ルルの可愛らしい手が私の体を……
んん!?
……やだ、変な声出ちゃう。
あう、なにこれ?
ちょっと。
ま、まって
あああ――ふあっ!?
「もう~♡、本当は“生まれたまま”の姿で絡み合いながらのキスなんですから♡――このくらいは我慢してください♡…はあ♡……お姉さま、いい匂い♡」
あ、あ、あ、
あれえええええ―――――――――――!???
※※※※※
――こうして継承の儀式は無事終わったのだった。
やばい。
ルルってば、凄く上手……
うう、行けない扉が開きそう…
はっ!?
ダメよ私。
正気にならねば。
コホン。
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