第12話 事実確認と初めてのチート鑑定
昼食をつつがなく終えた私。
今ルルと二人で自室だ。
良し。
(…懸念は早めにつぶしておこう)
私はルルに声をかける。
「ねえルル、ごめんなさいね。…どうも頭を強く打ったせいで――今のわたくしはおかしいらしいのよ。あなたに辛い思いをさせていたなら…謝るわ」
そして。
私はゆっくりと頭を下げた。
「っ!?そ、そんな、頭をお上げください。私、別に辛い思いなんて……」
オロオロしているルル。
そっと抱きよせる。
ビクッと肩を震わせるルル。
そしてうるんだ瞳を私に向けた。
(くうっ!?――可愛いな?!)
恥ずかしいが……
これも確認の為だ。
決して欲望ではない。
ないったらない!!
私はそっとルルの華奢な体を抱きしめる。
そして欲情の色を瞳に乗せ、ルルを見つめた。
「あう、ろ、ロナリア……お姉さま♡ついに、わたしを……♡」
――ビンゴだ。
うん。
この子私の事大好きだ。
“百合”の意味で(笑)
「可愛いルル?わたくし…貴女にお願いがあるのだけれど」
背に回す指を動かしながら、ルルの反応を覗う。
(…良かった私。――興奮していないわ)
「あう♡…ひうっ……お願い、ですか?ひゃん♡」
「ええ、責めるわけではないの。だから――安心してほしいわ」
さらに密着。
可愛い彼女の瞳を見つめる。
甘く優しい香りが鼻腔に届く。
「うあ、くう……は、い……」
……
確かに趣味はないよ?
興奮もしないし。
でもさ……
くはー、この子やばい。
(可愛すぎか!?)
私は彼女の手を引き、ベッドへ誘導していく。
(もう少し“自制心”をなくした方が――早く決着がつきそうね。うん)
思わず唾を飲み込む。
そしてベッドの上で抱きしめ、瞳をのぞき込んだ。
「あう、ああ、優しく…してください♡」
「ああ、ほんと、可愛いわ……お父様にも可愛がってもらっているのかしら」
「っ!?」
私の言葉。
ルルの顔が今度は真っ青に変化していく。
キレイな鳶色の瞳から涙が零れ落ちる。
「も、申し訳ありません。その……ああ、わたしは、なんてことを……」
慌てふためき、ベッドから飛び起きるルル。
私はハンカチで優しく彼女の涙をぬぐい、聖母の様な表情を浮かべささやくようにつぶやく。
「あら、泣かないで。別に責めているわけじゃないのよ…あなたが本気なら、反対しないわ。でも……もし嫌だったのなら――わたくしが全力で守ります」
※※※※※
彼女は、ルルは。
無理やりジェラルドに乙女を散らされていた。
信頼している叔父に求められ。
抵抗できなかったそうだ。
そして回数を重ねるうちに…
流されてしまっていた。
「うう、ごめんなさい、グスッ、いやですって……ヒック…言ったのに…うああ……ひん……無理やり……うあああ…あああああ」
私はしばらくルルを抱きしめ頭を撫で続ける。
父は立派な領主だ。
有能だし、1年くらい前までは母を愛していた。
――“何か”があったはずだ。
(いよいよ出番かな。……家族に使いたくなかったけどね)
私は覚悟を決める。
スキルを家族に使う。
※※※※※
ルルを彼女の自室で休ませ。
今私は深呼吸を繰り返し、父がいるであろう執務室のドアをノックする。
「入れ」
「失礼します」
私がドアを開け中に入ると、父は大量の書類の前で眼鏡をかけ必死にペンを動かしていた。
ちらりと視線を私に向けるとペンを置いてにっこりとほほ笑む。
「やあロナリア。珍しいな。何か用事かな?」
好ましい父がそこにはいた。
私は違和感を覚える。
ルルが近くにいない父に“怪しい雰囲気”がないことに。
「お忙しいところお邪魔してしまい申し訳ありません。急にお父さまの顔が見たくなってしまって」
近づきながら顔を赤らめ俯く。
――もちろん演技だが?
「はははっ、嬉しい事を言う。だがすまないな。見ての通り仕事が押しているんだよ。夕食の時でいいかな?」
私は顔を上げ、まっすぐ父の目を射抜いた。
『スキル鑑定!!』
目の前にディスプレイが表示される。
◆◆
【名前】ジェラルド・ウッドストック
【種族】人間
【性別】男性
【年齢】40歳
【職業】領主
【保持スキル】
宣誓・不屈の精神・格闘4/10
領地経営6/10・【精神耐性1/10 new!】
【称号】
ウッドストック領主
【状態】
若年女性催淫(弱)―ミリー付与※
妻への愛(阻害)―ミリー付与※
淫乱(弱)―ミリー付与※
※鑑定拡張スキルで解呪可能
◆◆
「うっ、なんだ?頭が……」
「……ふう……『解呪』」
私は聞こえないように小さくつぶやく。
お父さまの頭から小さい黒い靄が浄化されるように消えていった。
包まれる正常な緑の魔力が霧散していく。
これでお父さまの“状態異常”は無事解呪されたはずだ。
「っ!?……おお、なんだ?すっきりした気がする。……ロナリア?何かしたのかい?」
私はにっこりと微笑みお父様の顔を見る。
「いいえ、お父さま。お疲れなのですわ。あ、そう言えばお母さまが何か悩んでいらしたわ。心配です」
「っ!?ルイラが?……あースマンなロナリア。パパは用事ができたんだ。ちょっとルイラの様子を見てくるとしよう」
「ええ、是非に。ふふっ、お母さまお喜びになりますわ。では失礼いたします」
「ああ、すまないね――ありがとう」
※※※※※
私は執務室を後にし、自室へと向かう。
おそらく父は異常に気付いていたのだろう。
たぶん『不屈の精神』でレジストしていたんだ。
なんか『精神耐性』生えてるし。
でも………
(なんなの?あの女。意味わからないんだけど。……確認が必要ね)
自身の足が速い事に、思わず焦燥感を感じていたんだけど…
(……新しい妹とか弟……まさかできないわよね?)
父の様子を振り返り。
余計な心配をするロナリアだった。




