2.全てはここから
叔父が死んだ。
父方の叔父である。
長らく音信不通だったのが、死んで親族に連絡が来て、ようやく居場所が分かったらしい。
ちなみに俺はこのときはじめて、自分に叔父がいたことを知った。
なんでも、酔っ払ってふらふら歩いているうちに電柱に頭を強打し、倒れていたところを搬送されたが間に合わなかったそうだ。
叔父よ、なにをやっているのだ。
自分の身に危険が迫るほど酒飲むな。
自分が酒弱いって自覚しとけ。
不謹慎で本当に悪いが、心からそう思った。
俺は今後一生酒を呑まないと決意を固くした。
現在はもう供養も済ませたし、定期的に墓参もしている。
顔も知らぬ叔父だが、心から冥福を祈っている。
さて、ここである問題が浮上した。
叔父は生前、古道具屋をして生計を立てていたようなのだが、この処遇が問題だった。
なんでもこの物件、前の持ち主が叔父にタダ同然で譲ったらしいのだが、とにかく条件が悪いのである。
駅から徒歩1時間、周囲は錆びれたシャッター街で、とにかく物件として価値がない。
売ってもそんなに値はつかないし、持ってても扱いに困る。
もちろん、さっさと手放したかったのだが、そうは問屋が卸さなかった。
この古道具屋、とにかくガラクタが多くて汚かったのである。
いつ作られたのかわからない、カビだらけのタンス、サイケデリックな着色をされたタペストリー、よく分からない木彫りの面、果ては金属製のよく分からないナニカ。
こんなようなものが床から壁から天井から、果てはトイレにまでゴタゴタ積み上げられている。
かなり広い家で、部屋数もそこそこあるらしいのだが、物が積み上がりすぎてそもそもドアにたどり着けず、現状店頭とトイレしか確認できていない。
つまり、この家を売るには掃除が必須だったのだ。
しかし、ここにもう一つの問題がある。
俺の両親は高校生の妹を連れて、海外出張の只中だったのだ。
期間は二年間、現在は向こうで働いている。
さすがに叔父が亡くなったとわかって、一時帰国はしたが、仕事のために帰らなくてはならない。
そして、叔父の古道具屋は、1週間か、そこらで、片付くような柔なものではなかった。
そこで白羽の矢が立ったのが俺である。
日本で大学生をしながら一人暮らししている俺に、古道具屋を売れる状態まで片付けろという密命が下された。
俺は全然そんなことはしたくなかった。
でも、住む家の保証、学費の保証、何よりこれまで育ててくれた。
そんな親に頼まれたら、断れないのが人情と言うものである。
断じて、提示された小遣いの額に惹かれたわけではない。
「夫婦喧嘩は犬も食わない。では、そのうち片方はワンコである場合、どうすればいい?」
連載中です。
全五話、明日完結予定。
番外編の投稿も予定しております。
良ければぜひ。




