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「ただいま」


「おかえり」


その一言で、少しだけ肩の力が抜ける。


遥花がソファに座ってる。

少しだけ、疲れてる顔。


でも、ちゃんとこっち見る。


「今日どうだった?」


いつも通りの質問。


少しだけ迷う。

言うか、流すか。


でも。


「……後輩が」


口が先に動く。


「ちょっと、めんどくさいです」


遥花が小さく笑う。


「めんどくさいって」


「いや、なんか」


隣に座る。

少しだけ距離詰める。


「同棲してるんですよねぇ〜とか」


「うん」


「お弁当作ってくれないんですかぁ〜とか」


そのままのトーンで真似する。


「なにそれ」


少し笑ってる。

でも、ちゃんと聞いてる。


「……あと」


一瞬だけ言葉選ぶ。


「私ならもっと大事にするけどなぁ、とか」


遥花の動きが、ほんの少しだけ止まる。


「言われました」


言ってから、息吐く。


「別に、なんてことないんですけど」


「うん」


「普通に、うるさいなって」


正直に言う。


「遥花さんのこと、知らないのに色々言われるのも」


言葉が少しだけ荒くなる。


「なんか、嫌です」


言い切る。


沈黙。


でも、気まずくはない。


「……そっか」


遥花がゆっくり言う。


「うざいね」


その言い方に、少しだけ救われる。


「でしょ」


自然に返せる。


遥花が少しだけ近づく。

肩が触れる。


「ごめんね」


ぽつりと落ちる。


「最近、余裕なくて」


その言葉に、さっきの全部が少しだけ薄まる。


「いや、それは別に」


すぐ返す。


「分かってます」


むしろ、


「だから余計に」


少しだけ笑う。


「早く帰りたくなるんですよね」


遥花が小さく笑う。


「なにそれ」


「事実です」


少しだけ体を預ける。

拒まれないの分かってる距離。


「……ちゃんと大事にされてます。」


ぽつりと落とす。


誰に向けたのか、自分でも分かってる。


「うん」


短い返事。


でも、それで十分だった。


外で何言われても、


ここが変わらなければ、どうでもいい。




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