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ソファに並んで座ったまま

まだ手は繋いでいる。


「……なんか今日、静かですね」


湊がぽつりと呟く。


「さっきまで緊張してたからじゃない?」


「俺そんなわかりやすかったです?」


「うん」


即答すると、むっとした顔をする。


でも手は離さない。

むしろ、指が絡み直される。


ぎゅ、と少しだけ強く。


「遥花さん」


「なに」


「今日、俺えらかったですよね」


「なにその自己申告」


「ちゃんと息子してましたよね?」


笑ってしまう。


「してた」


「ちゃんと彼氏もしてました?」


急に距離が縮まる。


ソファの背もたれに押し付けられるほどではない。


でも、確実に近い。


「どうかな」


わざと少し曖昧に言うと、目が細くなる。


「それはちょっと困ります」


顔が近づく。


キスするのかと思ったら、止まる。


焦らしてくる。


「今日、甘えていいですよね」


「いいよ」


「じゃあ」


腰に回っていた手が、少しだけ強くなる。


引き寄せられる。


思ったより力がある。


「……ちゅーします」


宣言型。


触れる。


最初は軽く。


でも離れない。


少し長い。


息が混ざる。


離れたあと、湊が小さく笑う。


「なんか今日、遥花さんやわらかい」


「意味わかんない」


「雰囲気が」


言いながら、もう一回。


今度は少し深い。


手が背中を撫でる。


指先がゆっくり。


ぞわっとする。


でも怖くない。


安心する。


だから、熱が素直に伝わる。


「……今日、独占欲強めです」


低い声。


「へぇ」


「なんでへぇなんですか」


「別に」


余裕ぶると、むっとする。


「俺、ちゃんと男なんで」


「知ってる」


その瞬間、ぐっと引き寄せられる。


今度はソファに軽く押し倒される。


本気じゃない。


でも逃がさない距離。


キス。


さっきより熱い。


手が腰に回る。


少しだけ、強い。


「……余裕ある男なんで」


キスの合間にそんなこと言う。


「どこが」


笑いそうになる。


「今日はここまでにしときます」


言いながら、もう一回キスしてくる。


全然“ここまで”じゃない。


むしろ回数増えてる。


「余裕ないじゃん」


「あります」


即答。


でも耳が赤い。


もう一回、触れようとして――


自分で止まる。


「……あ、やばい」


「なに」


「ほんまに止まらんなる」


言ったあと、自分で照れてる。


思わず笑ってしまう。


すると湊が顔を隠す。


「笑わんといてください」


「余裕ある男?」


「今日は撤回で」


観念したみたいに、額を押し付けてくる。


そのまま、ぎゅっと抱きしめられる。


今度は静か。


「……好きです」


小さい声。


さっきまでの勢いはない。


素直。


その温度が、いちばん甘い。


私はその背中に腕を回す。


「うん」


「次はほんまに余裕見せます」


「期待してる」


「やっぱやめときます」


ふたりで笑う。


ソファの上で、指はまだ絡んだまま。


安心してるのに、ちゃんと熱もある。


そんな夜。



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