6
「覚悟あるって言ったな。」
コンビニの灯りのもと、悠が話す。
湊は即答する。
「あるで。」
「揺れない自信あるか。」
夜風が抜ける。
湊は目を逸らさない。
「揺れへん。」
「今だけじゃなくてか。」
「ずっとや。」
悠は一瞬だけ目を細める。
「年齢差は消えない。」
「ん。」
「今はお前が押してる側だ。」
「せやな。」
「そのうち、押される側になるかもしれない。」
一瞬だけ沈黙。
湊は視線を逸らさない。
「そのときも。横に立つって言ったやろ。」
俺は少しだけ目を細める。
「待てるか。」
「待てる。」
即答じゃない。
考えて、決めて、答える。
「急がせないか。」
「急がせへん。」
「選ばせられるか。」
少しの間。
ここが核心だ。
湊は小さく笑う。
「選んでもらう。」
押しつけない。
でも退かない。
「俺が決めるんちゃう。」
当たり前だ。
でも言葉にするのは重い。
俺はわずかにうなずく。
「遥花は、自分で決めたい人間だ。」
「知ってる。」
「それを奪うな。」
「奪わへん。」
静かだ。
脅しも、許可もない。
ただ確認。
俺は最後に言う。
「線を踏み越えるな。」
湊は答える。
「越えへん。
でも、消す努力はする。」
俺はわずかに笑う。
夜風が抜ける。
俺は空を見上げる。
決めるのは遥花だ。
俺じゃない。
俺はただ、内側にいるだけだ。
「覚悟、軽くするなよ。」
湊はうなずく。
「重いな。」
「軽い恋する気ないんで。」
同じ言葉。
でも今回は、確認じゃない。
決定だ。
「決めるのは遥花だ。」
「わかってる。」
湊はまっすぐ答える。
「俺はただ、そこに立つだけや。」
それで十分だった。




