表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/182

3





三人でいることが増えた。


増えたのは時間だけで、

関係はまだ変わっていない。


はずだった。





「今週、空いてる日あります?」


唐突な質問に私は瞬きをする。


「え?」


「映画、観たいのあるんです。」


さらっと。

でも目は外さない。


「3人で?」


悠が笑う。


「俺はバイト。」


私は戸惑う。


「……なんで私?」


湊は少しだけ首を傾げる。


「行きたい人誘ってるだけです。」


簡単な顔で言う。

でも、簡単じゃない。


私は腕を組む。


「学生でしょ。」


「はい。」


「友達誘ったら?」


「遥花さんと行きたいです。」


即答。

逃げ道を潰してくる。


悠は何も言わない。


ただ、見ている。


私は息をつく。


「なんでそんなに来るの。」


小さく聞く。


湊は少しだけ考える。

そして、正面から言う。


「外にいたくないからです。」


胸が鳴る。

また、その言葉。


外。


横。


境界線。


「急いでる?」


私が聞くと、湊は首を振る。


「急いでないです。でも、止まる気もない。」


その静かな圧が、ずるい。


「押すね。」


「押してます。」


潔さについ笑ってしまい、湊も笑う。


「嫌なら、やめます。」


そこで初めて、逃げ道を置く。


嫌なんて…

言えない自分に、気づく。


悠が立ち上がる。


「俺、洗い物する。」


また席を外す。


わざとだ。

分かっている。


湊は立ち上がらない。

距離は縮めない。

でも視線は逃がさない。


「遥花さん。」


呼ばれる。


柔らかく。


でも逃げられない。


「俺、ちゃんと好きになるタイプなんで。」


告白じゃない。宣言。


私は何も言えない。


気になっている。


でも踏み込めない。


その揺れを、湊は知っている。


それでも止まらない。


境界線はまだある。


でも、もう白線じゃない。


足跡が、何本も重なっている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ