表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/182

153




空気が、さっきまでと違う。


扉が閉まっただけなのに、音が遠い。


遥花をベッドに下ろした瞬間、柔らかく沈む感触。


「……やっぱり広い」


小さく笑う声。


その余裕が、いちばん危ない。


ベッドの縁に手をつき、覆いかぶさる。


遥花の手が、ゆっくりと首元に触れる。


指先があたたかい。


それだけで、呼吸が少し乱れる。


「その顔好き」


「どんな顔ですか」


「余裕ない顔」


否定しようとして、できない。


視線を落とす。


唇が近い。


触れそうで、触れない距離。


わざと止める。


「……今日は焦らすの?」


「違います」


でも動かない。


遥花の指が、シャツをぎゅっと掴む。


唇を重ねる。


今度は深く。


息が混ざる。


遥花の呼吸が一拍遅れて追いつく。


「ん……」


小さく漏れる音。


それだけで、体温が一段上がる。


ベッドが大きく沈む。


「重いですか?」


「……んーん」


距離を詰める。


肌越しでも分かる鼓動。


速いのは、どっちだ。


「みなと」


名前を呼ばれる。


それだけで、腹の奥が熱くなる。


「その呼び方、反則やって」


遥花が、少しだけ笑う。


「出た、関西」


「出させてるの、誰ですか」


もう一度キス。


さっきより長い。


呼吸が苦しくなる直前まで離さない。


離れた瞬間、遥花が少しだけ息を吸い損ねる。


その顔が、たまらない。


「……まだ余裕あります?」


問いかける声が低い。


遥花は、目を逸らさない。


「ないよ」


その強さが、全部奪いにくる。


「じゃあ」


額を軽くぶつける。


距離ゼロ。


「覚悟してください」


返事を待たずに、もう一度引き寄せる。


今度は優しくない。


深く、ゆっくり、逃げ道を塞ぐみたいに。


ベッドがきしむ。


夜は静かで、呼吸だけがやけに大きい。


四年分の遠慮を、少しずつ溶かしていく。


遥花の手が、背中に回る。


離さない意思。


その感触に、最後の理性が溶ける。


「……すき、」


囁くと、


遥花が、わずかに震えた。


その震えを、全部受け止める。


今度こそ、止まらない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ