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「四年前より好きです」
言ったのは自分だ。
言った瞬間、余裕を失ったのも自分だった。
遥花が笑う。
「湊、余裕ないの?」
ない。
本当にない。
「……あります」
反射で否定したけど、たぶん声が低い。
膝の上に乗せたのはいい判断だった。
距離が近い。
体温が近い。
息が混ざる。
完璧。
の、はずだった。
「……せま」
ソファが悪い。
「何その顔」
「動きづらいです」
本気で言ってるのに遥花が笑う。
「ソファに怒ってる?」
「怒ってません」
でも正直、邪魔。
せっかく記念日で理性を少し緩めたのに、
物理的制限が多すぎる。
唇が触れる。
離れない。
「…っ」
ソファが小さく軋む。
「ほら」
「…なにが」
「環境が悪い」
遥花が吹き出す。
その隙に距離を詰める。
狭い。
だから密着が強い。
悪くない。
むしろ、近すぎるくらい近い。
「……遥花さん」
声が少し掠れる。
「はい?」
「今、可愛いって思いましたよね」
「思ったけど」
「更新されます」
「なにが」
「欲が」
自分で言っておいて、呆れる。
四年経って何言ってるんだ。
でも本音。
抱き寄せる。
腰に腕を回す。
狭いせいで、逃げ場がない。
「動かないでください」
「命令?」
「違います」
一瞬考えて、
「……お願いです」
遥花の呼吸が少し乱れる。
それを感じた瞬間、さらに理性が削れる。
ソファが軋む。
「……くそ」
小さく漏れる。
「え、何今」
「ソファが」
遥花が笑う。
「ベッド行く?」
その一言で、完全に止まる。
行きたい。
でも。
「……まだ」
意地。
「攻略します」
引けない。
四年目の記念日だ。
唇を重ねる。
今度は少し長い。
息が荒れる。
狭いから、密着が増す。
体温が上がる。
「四年前より」
額を押し付ける。
「好きなんですよ」
「うん」
呼吸が近い。
腕に力が入る。
ソファが小さく揺れる。
「……やっぱ狭い」
「もー」
遥花が笑う。
その笑い声に、完全に負ける。
「……ベッド行きます」
観念。
抱き上げる。
少し勢いが強い。
でも絶対落とさない。
「続きはあっちで更新します」




