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腕の中の体温が、やけに近い。
首元に触れる息が、熱い。
「今日、記念日ですよね」
「うん」
「じゃあ」
一瞬、言葉が途切れる。
喉が鳴る。
「……ちょっとだけ、理性甘くしてもいいですか」
遥花がくすっと笑う。
「もう甘いよ」
ぎゅっと抱き寄せる。
逃がす気のない腕。
四年分の距離感なんて、もうない。
「四年前より余裕ないって言いましたよね」
耳元で低く囁く。
息がかかる。
「今、それです」
遥花の呼吸が少し乱れる。
それを感じた瞬間、湊の呼吸も深くなる。
「好きとか、かっこいいとか」
「本当のことだもん」
額が触れる。
鼻先が触れる。
キスまであと数ミリ。
でも、すぐしない。
焦らすわけじゃない。
余裕がないから。
「……遥花さん」
「なに」
「俺、今たぶん」
一瞬、目を閉じる。
「四年前より、発情してます」
言ったあとで、自分で呆れる。
遥花が目を見開く。
「ちょ、記念日に何言ってんの」
「記念日だからです」
息が混ざる。
唇が触れる。
深くはない。
でも、離れない。
二度、三度。
少しずつ、長くなる。
呼吸が絡む。
湊の手が、背中をなぞる。
ゆっくり。
でも確実に、熱が上がる。
「……湊」
「はい」
声が、掠れてる。
「四年経っても、こんなになるんだね」
「なるに決まってます」
「更新って言ったでしょ」
「うん」
「好きも、欲も、全部」
目が、真っ直ぐ。
理性はある。
でも薄い。
「今日は、ちょっとだけ多めに更新します」
唇が落ちる。
今度は長い。
呼吸が乱れて、指先が震えて。
触れてるだけなのに、熱い。
四年分の安心の上に乗る欲は、
怖くない。
むしろ、甘い。
「……遥花さん」
息が混ざる。
「四年前より」
額を押し付ける。
「遥花さんが欲しいです」
四年目の発情は、
衝動じゃない。
余裕のない本気。




