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星降る森  作者: 人鳥
第三章 星降りの夜
16/23

5

第三章五部です。三章はこれで終わりです。そして、超絶短いです。


次回、第四章「過去と現在の裏側」

お楽しみに。

「ネ……――ッ!」

 わたしは叫びを飲み込んだ。

『森の守護者』の頭上に浮く巨石が、シュッという軽い音の後に、正しく粉になって『森の守護者』の上に落ちたからだ。

「誰?」

 ネルが誰ともなく、静かに問いかけた。わたしは、その人物の姿が、どうしようもないほどにはっきりと見え、そしてその人物が誰かわかったとき――言葉を失った。

「ネルとかいったかな、少年。危ないじゃないかね。私がいなければ、あそこで倒れている五人が死んでしまっていたところだ」

「テト様」

「黙っているがいい。いや、撤退してくれないかね」

 テトさんは『森の守護者』に命令をした。彼らは一切逆らわずに、その場を後にした。

 一体どういうことだろう。

「あなた、確かミナと一緒に住んでる……」

「テト、という」

 テトさんはどうでもよさそうに答えた。

「あなたがどうしてここに?」

「自分の娘のような子の親友が大変なことになったら、助けてやるのが人情ってものだろう。自分で言うのもアレだが、私は家族思いの優しい女なのだよ」

 茶化すようなテトさんの対応に、ネルはいらだったようだ。けれど、ネルはあくまで冷静に切り返す。

「そういうことではないんですよ。『森の人』のあなたが、今のボクを止められると? そりゃ、止めてくれるのはうれしいですが、無謀ですよ」

「くっくっく」

 突然、テトさんが笑い出した。ネルも動揺を隠せず、目を見開いてテトさんを見つめる。

「私が『森の人』? 誰が、いつ、そんなことを言ったのかね?」

 わたしに言った気が……。

 いや、わたしが質問したときは、そうだ、とも違うとも言っていない。

 ……ずるい人だ。

「じゃあ、何者ですか?」

「この際、はっきり言っておこう。出来ればミナには内緒にしていてくれたまえ。いいかね?」

「約束しましょう」

「そうかそうか。素直なのだな。……私は『森の守護者』だ。いや、違うな。『森の守護者』の中から一人だけ選ばれる、ある存在だ」

 『森の守護者』から一人だけ?そんな存在、一つしかないじゃない!

「まさか……」

「そうさ。私は『森の王』だ」

 荒れ果てた森の中に、その声は凛と響いた。


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