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TS転生後の静かな高校生活は愛が重い子たちに囲まれておしまい!  作者: あずももも


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83話 女心を弄んだ僕は、めった刺し

「ああ痛い……痛いぞぉ……」


「女の子たちに痴漢とかしたり、たぶんこういうことしたりしてるからじゃないかな」


「年長者には、男にはぁ……! 適切な言葉づかいと媚びへつらいというものがぁ……!」

「いや、君に対して尊敬する部分、欠片もないし……?」


「ぬ、おぉぉぉぉぉ……!」


人は、怒りを覚えると、思考が単調になる。


こちらの誘導に、乗りやすくなる。


「あ、アレを使われたら……!」


だから、こんなにわざとらしい誘導にも――簡単に、乗る。


「……ぐふ、ボストンバッグにあった……そうだぁ……これが、あるじゃないかぁ……!」


激昂した彼の目が僕の視線を追った先にあったのは――あの子から取り上げた、小さなお守り。


うん、台所から包丁とか思い浮かぶ余裕がないから、それを取ってくれたね。


さすがに包丁はやばいっぽいし、でも――オモチャだけども突けば人の肉体程度は簡単に貫ける、あれなら。


『本気で、するのか』

『本当に、良いッスね』


うん。


じゃないと、この人を確実に刑務所に放り込めないからね。


少なくとも数年は隔離してくれないとさ?


――あの子たちが、安心して暮らせないからね。


「……私の、この痛みと同等……いや、何倍もの痛みを――!」


おじさんが、刃渡り5センチ――切れ味はないけども、突き刺せば折れずに人体に深々と刺さる程度の威力を備えたそれを、僕に向け。


『俺たち、がんばるッス。 だから――耐えるッスよ』


「うん。 ――やれるものならやってみなよ、はげてるおじさん」


人は、感情が昂ぶると細かいことは考えられない生きもの。


そして僕への恨みから、僕へひと付きで――死なない程度、けども間違いなく痛いような攻撃をしてくるはず。


――ばんっ。


「お姉さん!」

「明乃ちゃん!」

「あき、……!?」


おや?


あの3人の声が。


もしや、これが走馬――――――――


――――――――ずぶっ。


――――――――――――――――視界が、一瞬ブラックアウトしたけども、すぐに戻ってくる。


人間って、案外に頑丈だね。


「が、っ、……あ゛っ……!」


僕の中へ――腹へ、おじさんの体重が掛かる。


「ぐ、ふふ……ああ、やはり良い……女の肉体は、こんなにも柔らかい……」


おへそあたりへ、ふくよかな成人男性の全体重が掛かる。


「……っ、……!」


「ふぅっ、ふぅっ……ああ、良い……女の血は、美しい……」


その体重が一気に引き抜かれ――僕のお腹に差し込まれていた剣が、血潮を巻き上げながら蛍光灯に照らされる。


「ぺろっ……ぐふふ、旨い……ああ、なんだ……もっと早くお前を攫ってすすってやれば良かったのだ……!」


恍惚と、現役女子高生のお腹に差し込んだ剣から滴る赤い液体を舐め回しているおじさん。


ああ。


こいつは、普通にヤバい人だった。


やっぱり――「僕が攫われて、良かった」。


「む……? 先端以外はなんだか……いや、このオモチャが古いだけか。 まぁいい、どうせこの国の警官はドアを破るなんてそうそうできやしない。 たっぷりと、啜らせてくれたまえ」


「く、はっ……良いシュミしてるね、変態おじさん――ぐっ!?」


ずぶり。


さっき刺された近くに、もう一突きが沈み込む。


「本当はお前を堪能してから、バラす前にこうして遊びたかったのだがな……ああ痛い、痛いぞ」


「あ、ぐっ……あ゛っ……!」

「ふふ、痛いか? 痛いよなぁ? ……目上の男性へ痛みを与えたんだ、その罪はお前の胎で購うべきなのだ……!」


痛いっていうよりも、体内をかき回される気持ち悪さで声が漏れる。


ああ……ヘタな男にやられるのは、かくも辛いもの。


これに耐える世の中の女の子たちはすごいよね、僕には無理だ。


「なっ!? ……し、至急応援を! 現在、誘拐した少女へ乱暴を――!」


ドアの向こうでは数人のお巡りさんたちが、慌てる声。


「開けなさい! ……くそ、窓の内側に家具が立て掛けて……!」


反対側のベランダからは、がたがたと――ああ、おじさん、君ってやつは本当に悪いやつだね。


そんなにも僕のことを、痛めつけたいんだ。


女の子の体を壊して、心を壊して。


うん――僕たちは女好きでも、相容れない存在だね。


「どう! だ! 痛いっ! だろうっ!」

「あっ、っ、ぐぁっ……!」


何度も何度も振り下ろされる腕は、すっかり返り血に染まっている。


『――間もなくだ』


ずっとお腹を突かれる痛みと衝撃に耐えていた僕は――やっと、その声を聞く。


「……お、おじさん……」

「ぐふふ……ん? 何だ? 今さら命乞いか?」


息の荒く、もはや正気を保っていない「鬼」の顔が、「僕/生贄」を見る。


「……そんなオモチャで遊んで満足、かな……?」


「――――――――あ?」


まさか、組み敷いて乱暴(物理)していた小娘が言うなんて想像もできない言葉を浴びせられ――鬼は、一瞬だけ正気に戻る。


――そうだよね?


人間ってのは、あまりにも状況と違う言葉を投げつけられると、その解釈のためにフリーズしちゃうんだ。


「おじさんさぁ……あんな真っ黒寄りのグレーな人たちと付き合ってるんなら、持ってるんでしょ? 刃物なんかよりも、ずっと殺し甲斐のある獲物を。 どうせ殺すっていうんならさぁ……?」


そして、その真意を理解しようと――こっちの誘導に、簡単に乗ってくれる。


「そうだぁ、1度は撃ってみたかったのだぁ……銃というものを、人に――女に向けてなぁ……!」



◆◆◆



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― 新着の感想 ―
わぁ、どっちもクレイジー 確実にムショ送りにするためにそこまで出来るのかぁ まぁ、ここまで来たら何かの拍子に野放しにされたら何時何されるかわからんしなぁ
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