79話 おじさん(悪)は、ねちっこい
「ぐふふ……なぜかお前の持っていた、校則違反にもほどがあるアイテムで叱られる気分はどうだ?」
「………………………………」
なんだこのおじさん。
なんかいきなり言葉責め始めたぞ?
……てかこの人、まさかだけども教育関係だったりする?
こんなおじさんが居る――いや、居た学校とか、やばくない?
「まったく近頃の子供はけしからん。 こんなに挑発的な格好をして発育の良い体を見せつけおって……!」
……あー、なるほど。
これがお説教しながらしたいタイプの人なのね……ほら、僕、こういう人とは縁がなかったっていうかだし?
かちゃかちゃ。
僕の頭の上で――ボストンバッグを漁られて発掘されて、喜々として僕の両腕にはめてきた、手錠。
なんてこった、防犯グッズが犯罪グッズとかプレイグッズに早変わりしちゃったよ。
その目の付け所には感心するね。
「こら、こっちを見なさい」
「……はい」
とと、怒らせちゃいけない。
言うことを聞かなきゃいけない。
それだけは、絶対に。
――なにしろ、僕を攫うのに1千万とか出す変態おじさんだからな。
僕のせいで白鳥さんの痴漢に失敗したどころか逮捕されて相応の社会的制裁受けた恨みだけでここまでするんだ、油断しちゃいけない。
僕は、おじさんに顎クイをされて見上げる。
……僕の素顔は紅林さん系統で、人から見られるとキツい印象とか反抗的な印象もたれがちだからね、なるべく表情動かして――ふむ、こんな感じ?
「……はは! あんなに強気だったのに、捕らえられた途端に泣いているとは! やはり女は女だな!」
「はい……」
なわけあるかボケぇ!
男だろうと女だろうと、動けない状態で何されるか分からない相手の前に居たら普通は怖いって感じるわ!
けどもさすがは僕、どうやら怖がっているという印象、かつ従順で今から好き勝手しがいのある女の子って印象を持たせられたらしいね。
そりゃそうだ、女の子たちを落とすために自分の感情を完全にコントロールする技術習得したからね。
やろうと思えばどんな感情でも一瞬で再現して、体に影響させられるよ?
そう、例えば――
「ぐふふ……顔が真っ青ではないか。 大丈夫だぞ、今から私が教育してやれば、じきに真っ赤で恍惚としてくるのだからな」
あ、それはちょっと……いや、でも、おじさん怒らせないためには、この後のいざって時間になったらその演技もしなきゃなのかぁ。
やだなぁ。
けども、これが白鳥さんとか紅林さん、黒木さんだけじゃなく――あのとき僕がお兄さんと見つけなかったら毎日手を出し続けていただろう、数多の美少女たちの中に、こういう目に遭う子が出ていたかもしれない。
それを思うと――うん。
「ぐふふ……良いぞ良いぞ。 運動部の女子は全身にハリがあって弄び甲斐がある。 ぐふふ、震えているのか? やはり女は女だな!」
「んっ……!」
とか言いながら僕をまさぐり始めてるおじさんの餌食になるのは、僕で最後にできるはずだからね。
「大体なんだその格好は! あの女たちと遊んだ後、そのまま男でも引っかけに出るつもりだったのか? この淫乱め!」
「や、やだぁ……」
やだなぁ、違うよ。
僕はあのあと、あの子たちと刺すか刺されるかの死闘を繰り広げるはずだったんだよ。
それを邪魔したのはおじさんだよ?
いやまあ、ある意味救世主だけどね……うん。
説得に失敗したらどろどろの3方向から滅多刺し、そして分割して、意識が消滅して次の輪廻に向かってからもパーツだけは愛されるとかいう究極のバッドエンドから救ってくれたからね。
それを思えば、何日か好き勝手されるのは……対価としては安い気がする。
まぁね、僕の中身は僕だからね。
この体、今世の美少女としてのこの体は大好きだけど、やっぱ本質は男なんだ、男に好き勝手されても諦めはつくし?
「ほう……下半身が冷えるのか? ぐふふ、安心せい、私がじきに腹までのタイツなど必要なくなるほどに温めてやるからな」
「いや、やめて……」
スカートめくられた先は、店長さん&おじさん(善)プロデュースの矯正下着その2。
『このハゲ親父の方が邪悪ッスね。 こいつも邪悪ッスけど、格が違うッス』
『下郎も下郎である』
『邪悪とは此奴のことか』
でしょ?
少なくとも僕は、女の子に対して無理やりはしないからね。
恋は多いけども一途ではあるんだから。
そういう願望持った子相手じゃないと、しかも合意の上で、セーフワードとか決めてからじゃないとやらないからね。
けどおじさん?
めっちゃゆっくりなぶってくるじゃん……やっぱあれか、おじさんはそういうのがお好きなの?
気持ちは分かるよ?
僕もそういうプレイすることあるし。
「そんなに怯えた顔をするのはやめなさい。 これから私は君に正しい教育をするのだから」
「た、正しい教育……?」
うわずった恐怖の声で、上目遣いで、オウム返し。
おじさんが望んでそうな反応にしとけば――このおじさんの性癖がとんでもないサディストでない限り、殺されたりR18Gになったりするような事態にはならない。
「そうだ、女とは男に触られるだけで発情する生き物だと、体に教え込むのだよ。 ぐふふふ」
「ひ、ひぃっ……!」
分かる。
僕も食べる女の子たちにはそういうふうに仕込んであげてきたからさ。
やっぱお互いに気持ちよくないとダメだよね。
分かる分かる。
――まぁ、そのやり方で僕たちの意見は決定的に対立してるんだけどね。
「ふむ……1回目は着衣のまま……そうだ、それがいい……その方が、今後、私以外の男の前で、こんな挑発的な格好をしなくなる……教育的指導として最高だ……!」
お、なるべく脱がせない流れ?
それはよかった。
何が良いって?
――そりゃ、決まってるじゃん。
『やるか』
『殺るか』
『準備OKッス』
うん、良かったよ――君たち3人の力、そのまま借りられそうで。
このおじさんを――ここで始末して、すべてを終わらせるためにさ。
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