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TS転生後の静かな高校生活は愛が重い子たちに囲まれておしまい!  作者: あずももも


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78話 普通に良い人たちにハイエースされ中な僕

「……今なら逃がせるぞ」


ぶろろろろ。


「いえ、あのおじさんのとこ連れてってください。 じゃないと、絶対しつこいので」


僕を見てくるお兄さんは――うん。


「良い人ですね」

「ヤクザもんが良い人な訳あるかよ」


「ヤクザなんですか?」

「違うけどな」


「今どきは、1回でもなるともう、普通の暮らしはできないからなぁ」

「まぁ裏稼業ってのは事実だしな」

「嬢ちゃん攫う仕事請け負うくらいだからな」


ハイエースもとい車の中で、僕たちの会話に混ざってくる――うん、やっぱり良い人たち。


「お兄さんたちは、あのおじさんの仲間――ってわけじゃ」

「ない。 ただの金蔓だ」


おー、ばっさり。


まぁ合わなさそうだよね、女狂いとまともな裏稼業って。


あのチンピラさんたちならばっちり合いそうだけど、多分もう捕まってるし。


「ちなみにおいくらで?」


「……俺たちだけで1千万だ」

「おー、じゃあ受けますよね」


そっかぁ、僕たちを手籠めにする復讐するためだけに、そんな大金出したのかぁあのおじさん。


よっぽど怒り心頭の様子。


そりゃそうだ、白鳥さんみたいな極上にお手つきした「だけ」で捕まったって思ってるだろうし。


前科あるって言ってたし、とことんに悪いおじさんなんだね。


退職金……とかなのかは知らないけど、それくらい出すんだからよっぽどなんだろう。


ああ、恨みって怖いね。


ワンミスでここまでなるんだからね。


「……だから、嬢ちゃん、お前が……その」

「ぐっちょんぐちょんにされるだけなら良い方ですね」


ただでさえ女体に狂っていて、それを何回もやらかして捕まってて、んで1千万――チンピラさんたちへもお金払ってるだろうし?――使うほどだ、それ相応にえっちで破廉恥でスケベで尊厳崩壊させるようなことをしてくるだろう。


今から身震いがするね。


もちろん、そういうことを女の子に「合意の上で」「プレイとして」やるのは楽しそうだなぁって意味で。


「それが、分かっていて」

「大丈夫です」


さっき――「今なら逃がせるぞ」って言ってくれたとき、運転手さん、スピード落としてたね。


うん、君たちは良い人だ。


ならきっと――僕の誘拐に失敗したら、お金も貰えない上に、この人たちも何かしらの被害を受けるかもしれない。


誘拐犯さんたちに同情するなって言いたいとこだけども、この人たちは良い人でプロフェッショナル。


僕はそういう人を尊敬しているんだ。


だから、


「あんな大立ち回りしたんです、おじさん自身も数日以内に捕まります。 でしょ?」


「だな」

「通信記録とか隠すのを知らない素人だしな」

「『依頼主が捕まったら困るから当日は出てくんな』って言っといたのに、舌なめずりしながら出てきてたバカだからな……」


おー、けちょんけちょん。


ふんふん、あのおじさんは素人と。


それだけ分かれば充分だね。


「お兄さんたちは大丈夫なんですか?」


「お前さんを届けて報酬受け取ったらすぐに潜るさ」

「裏稼業だからな」

「ヤバい件には手ぇ出していないし、今日も変装しているからな」


「そうですか」


あ、そういやこの人たち……顔に何か貼ってる。


あれかな?


映画とかでよくある、ゴムでできた仮面かな?


まるで特殊工作班みたいなことしてるんだね、お兄さんたち。

ということはきっと、今僕に見せている顔も素顔じゃないんだろう。


――だからこうして、僕を逃がすとかいう選択肢も取れるんだ。


きっとこのハイエースしたハイエースっぽい車も、足が着かない使い捨てなんだ。


――そっか。


なら、安心だね。


「警察が身元特定して踏み込むまで、長くても数日……けど、女の嬢ちゃんには、その時間は……」


言いにくそうにしている、お兄さんG。


……ああ。


その顔は――僕の今世の両親とか親身になってくれた先生たち、それに店長さんやおじさん(善)が向けてくるもの。


「だから、大丈夫です」


だから僕は――強がりでもない笑顔を、お兄さんたちに向ける。


「――悪の魔王を倒すためには、魔王城に乗り込まなきゃいけない。 放っておけば、何度でも軍勢率いて攻めてくる。 ですから」





「おおお……! よくやった!」


「……金の分は仕事したぞ」


「べらぼうに高いが、信頼できる実力ってのは本当だったのだな! それに比べてアイツらは……まぁいい、アイツらへの報酬は払っていないからな! 失敗したなら払う必要もない! 全く、近頃の若者はとんと使えん!」


「……っ」


どっかのアパート。

連れて来られた先にはおじさん(悪)が。


そして僕は――引き渡されて、首筋を嗅がれている。


「すぅーっ……ああ、良い。 女子高生の汗の匂いと体臭が」


ぞわぞわぞわっと鳥肌が立つ。


気持ち悪いことこの上ないけども――我慢我慢。


これからあんなことやこんなことをされるのは、まぁ野良犬に噛まれたと思って諦めるとして。


このおじさん(悪)、怒らせたら簡単に暴力で腕の1本や2本はやってきそうな怖さがあるし、だからぐっと我慢。


「……言っとくが、治療が必要なでかいケガとかさせたり、殺したりするなよ。 裏の医者に掛からせるのも、死体始末するのもとんでもなく高いからな。 そこまでの金はないだろう」


「ははっ! 分かっておる! この娘を理解させてやり教育してやれば、この先私の奴隷としてこき使えるからな!」


「………………………………そうか」


おー。


この言い草……まさか、他の女の子も?


………………………………。


やっぱり――悪は、滅さないとね。


女の子を食い物にして良いのは、僕だけなんだから。



◆◆◆



「明乃ちゃんがこれから何やらかすのか気になる」「おもしろい」「TS百合はやっぱり最高」「続きが読みたい」「応援したい」と思ってくださった方は、ぜひ最下部↓の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に&まだの方はブックマーク登録で最新話の通知をオンにしていただけますと励みになります。応援コメントやフォローも嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
おいこら最後wwwヤンヤン三人娘いるのに懲りてないwww もろもろの対策とかプロやなぁこの人達 明乃ちゃんがここからどうするのか愉しみです!
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