第八話 告白
あの事件から5日経った。俺はいつものように自転車に乗り、登校していた。
毎日変わらない景色。
いつもと違うのは、今日がクリスマス・イヴであること。
そして、サクラから呼び出されたこと。
「クリスマスなのに学校あるんですか?」
呑気なリリィ。来年度受験生であるからか、補習という名目で授業があるのだ。
「それにしても呼び出しって、まさか愛の告白ってやつですか! 」
テンションは最高潮のようだ。
学校へ着く。
呼び出しには明確な場所は明記されてなかった。
左手の小指を立て、彼女を探す。
俺を試しているのだろうか、それともー。
空き教室へと辿り着いた。
教室後方のドアをガラガラと開ける。
机と椅子が撤去された教室。
黒板の正面、本来教卓のある位置に、サクラがいた。
こちらに振り向く。
教室の奥まで真っ直ぐと入り込んだ朝日が、彼女の美しい横顔を照らしている。
「「おはよう。」」
2人同時に挨拶をした。
思わず笑い合う。
彼女は、自身の正面を指差し、そこに立って、と指示する。
俺は、教室の後方にある、掲示板の前に立つ。
俺も、彼女と同じだけ朝日に照らされる。
互いに向かい合うと、彼女は話し始めた。
「朝早く呼び出してごめん。優介くんに伝えたいことがあるの。
ねぇ優介くん、運命って信じる?」
一呼吸おいて、続ける。
「私は信じてる。一週間前、初めてこの学校に来て、あなたを見た時、初めて会った気がしなかった。
そんなわけないのにね。でも本当にそう感じた。
どうしてそう感じたのか、その理由は次の日にわかったの。
優介くんが誘拐されかけた私を探して出してくれた。
車のドアが空いて、あなたの顔が見えたとき、確信したの。
あぁこの人が私の運命の人なんだ。 って。
優介くんもそう感じてくれてるんじゃないかって勝手に思ってる。
だから、一週間って短い時間だけど、運命を信じてるから告白するね。
優介くん。私とこれからずっと一緒にいてくれませんか。」