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第六話 決着
俺は吸い込んだ息を全て吐き出すように叫んだ。
「リリィ! 窓から車の中に入れ!」
「まっかせてください!」
ギュンと加速した天使は車の中に吸い込まれていいく。
「後部座席のドアの鍵を開けろ!」
「了解!」
俺は自転車を放り捨てるように降り、後部座席のドアに手をかけ、一気に開けた。
中には口をガムテープで塞がれ手足を縛られた佐々木サクラがいた。
「サクラ!」
すぐさま車に乗り込み、彼女を抱き抱え、脱出する。
そしてガムテープを剥がす。
「来てくれるって信じてた…」
涙声で言った。
俺は安堵と疲労で、彼女を抱え座りこんだ。
ガチャ。
運転席のドアが開き、男が降りてきた。
右手にはナイフを握っているのが見えた。
そして俺たちめがけて振り下ろすー。