雨と事情
午前中に植えよう。
午後からは雨。
今日しかない。
そう思った。
作業は週末にしか
てきないのだし、
雨が降り続けば、
なおさら難しい。
畑の作業には、
待ったが効かない。
遅れてしまうと、
収穫はできない。
することは他にも
たくさんあったが、
薩摩芋の蔓が
伸びてきていた。
それで生計を
立てているわけでも
ないのだから、
誰も困らないけれど。
誰も困らなくても、
今日しかないと
思うことがあるのは、
良いことだろう。
今にして思えば、
若い時は特に、
暇を持て余しがちで、
それも試練だったか。
だらだらと、時間を
浪費するような
週末が無くなったのは、
畑、季節、自然のお蔭だ。
暇になることは、
休養では良いが、
そうでなければ、
良い事はなかったなぁ。
何かしら創造したり、
何かしら自然に
触れたりしてゆく。
それが人の本来だった。
嗜好によるのか、
それとも生物としての
営みであるのか、
忙しさが美味しかった。
蔓を植えて、
根付くように日陰を
作っておこう。
わりと時間もかかる。
それから、じゃがいも。
収穫がまだなので、
少しは掘り起こす。
フライドポテトを作ろう。
低めの温度から
揚げてゆくのがいい。
ふっくらしたポテトで、
ビールを飲む。
裏の庭の紫陽花と、
ドクダミの花を眺めて、
午後、降ってきたら、
雨も眺めてみようか。
さてそろそろ
起きて行くとしよう。
降り出す前に、
終わらせなければ。
日曜日の朝だけは
何故か早起きだった。
子供の頃の習慣を
ふと思い出した。