第136話 霊が戯れた日々
冬らしい風が肌に当たる。手袋を着けるのを忘れていたことに気付き、すぐさまコートのポケットから取り出した。
路傍に僅かに積もった雪をわざと踏みながら、手袋に手を通す。ちょっと雪を拾ってみようかと思ったけど、僕はもう大人だ。僕は曲げた膝を伸ばした。
「正月、家帰らなきゃよかったかなぁ……」
冬の嫌なところは、呟くと白い息が漏れるところだ。
可視化された独り言を他人に見られるのが恥ずかしいという意味ではない。ただ、こういう気分のときは虚しくなってしまう。
一週間と少し前、実家に帰省した。
懐かしさと安息に浸れる良い空間だった。あれを言われるまでは。
そろそろパートナーを作りなさいと、そう言われてしまった。友達間の罵り合いとは違う、本気のお叱りである。
客観的に見れば至って当然の指摘なのだ。良い大学を卒業したのは喜ばれることとして、その後に就活を放棄して探偵業を始めたのだから。
でも、幼少期からの夢なんだから仕方ない。探偵や刑事というものは、アニメでもドラマでも漫画でも、格好良く描かれる。夢に選び、目指して、なって、何が悪い。僕はそういう精神でいる。
「……ってワケにも行かないんだなぁ」
生涯独身でいたくないという思いはある。探偵にならずに普通のサラリーマンにでもなっていれば、今頃誰かと交際していたのだろうか。それとも、学生のうちに異性へのアプローチをしておくべきだったか。
何にせよ、二十五という年齢が待っている新年を迎えてしまった。今からは取り返せない。……どうしよう。
(親は……助けてくれないか。頻繁に仕送りしてもらってるだけでも頭下げるレベルだし)
大きく息を吐くと、口の前が真っ白になった。目の前は真っ暗だっていうのに。
一応夢は叶ってるから、楽観的になるべきなのかな。
今バイト帰りだけど。
「あの!」
「?」
謎の声に振り向くと、そこには女性が立っていた。それも、顔を紅潮させて。
「……え……ええっと……どなたで――
「少しお話しませんか? あちらのカフェで!」
それは正しく逆ナンパだった。
*****
女性の名前は鏡奈舞といった。
どうやら彼女も仕事帰りだったようだ。
そして鏡奈さんは何故か、僕を好いている。僕に高身長以外の外見的な魅力なんてあるだろうか。ブサイクと言われたことはないから、実はイケメンの部類に入るのかもしれない。もしくはどこかで会ったことがあるのかもしれない。内面を多少知られていれば、好かれてもあまり不思議ではない。
「そ、それで……どういうお仕事をされてらっしゃるんですか?」
「一応探偵やってます。大した依頼は来ないですけど」
「探偵さん! 凄い!」
鏡奈さんの熱意の方が凄い。
僕まで変な気持ちになってくる。女性と二人きりで飲食なんて生まれて初めてだからか、僕も密かに舞い上がってしまっているらしい。
心を落ち着かせるためにコーヒーを飲む。
その時に見えた天井の照明が、冷え込んだ体を暖めるようで、僕らの出会いを祝福しているようだ。
「鏡奈さんはどんな仕事を?」
「私は食品会社で働いています。……霊戯さんに誇れるようなものではありませんよ」
「そんな、僕だって人に誇れるようなことは……」
過大評価の眼差しから目を離すように、僕は俯いた。
誇るべきではない生活だと強く認識したのがつい先日だ。口説かれたことに嬉しさもあるが、何でもかんでも褒められてやりにくさを感じる。
もしかしてそういう遊びなのか? 結婚詐欺師とか。そもそも本気にする僕が間違っているんだ。
(適当に理由作って帰ろう)
そう決めると、途端に鏡奈さんに魅力を感じなくなってきた。店内で話している学生らの声が鮮明に聞こえてくる。
「すみません、もう帰ります……明日も朝からバイトあるので……」
軽く頭を下げて立ち上がる。
その時、視界の端に映る鏡奈さんの表情が、酷い悲しみを表したものに変わった。
「駄目!」
両手をがっしりと握られ、そのまま押し倒される。
僕はカフェの床に仰向けに倒れ、鏡奈さんがその上に乗る形となった。
「私は霊戯さんのことを愛しています! 自分に自信が持てないような、そういうあなたなら……私が変えてみせるから! だからっ……だから行かないで!!」
僕は唖然とし、固定されていない足先までも動かせなくなった。
照明の光が眩しい。そして、鏡奈さんが眩しい。早急に逃げるなどという考えは消滅した。僕をおもちゃにしている中で、こんな言葉は出てこない。突飛で理解もできない愛情だけど、これは本物だ。そう確信した。
(自信を……持てるように、なるかもしれない)
倒されたまま希望を噛み締めていると、困惑した店員が何名か、駆けてきた。
「お客様! 通路におられますと他のお客様の迷惑になりますので……」
「あっ……はい。すぐに退きます」
居心地が悪くなってしまったので、僕と鏡奈さんは店を後にした。
「……連絡先交換しましょう」
「……はい」
こうして僕らの恋は始まった。
*****
あれから二週間。僕は今日も、例のカフェに来ている。
「すみません遅れました!」
「いえいえ、待ってないですよ」
お互いの生活や未来の生活、それに世間話。このカフェでのお喋りは日課になりつつあった。時には別の店や大きい公園なんかで待ち合わせたりもする。探偵としての仕事も楽しいけど、こっちはもっと楽しい。
鏡奈さんはアラサーだけど、僕と同等かそれ以上に若く見えた。化粧に疎い僕でも、彼女が化粧美人ではないのは何となくわかる。
「霊戯さん」
「はい?」
普段通り楽しく会話していると、突然首を傾げて質問をされた。
「霊戯さんって……何で、全然笑わないんですか?」
「笑わ……ああ……確かに……」
「私と居ても楽しくないんですか!?」
「そ、そうじゃないですよ。……昔からよく指摘されることで……楽しくても結構ポーカーフェイスになっちゃうんです」
小学校や中学校の記憶が蘇る。
あの頃は皆んなの輪に上手く混ざれなかったんだっけ。時々面白いことを言うけど、別に大事にされるような人じゃなかったというか。勉強ばかりで真顔で、白い目で見られることも多々あった。
現在も変わらない。感情はあるけど、それがイマイチ表に出ないんだ。特に笑顔として出せない。
「でも楽しんでるなら良かった……」
「この際だから、僕も笑顔になれるよう特訓してみます」
「私が笑顔にしてみせますよ!」
「ありがとうございます」
そうか……笑う、か。
プロポーズまでには笑いたいな。
*****
あれからさらに二ヶ月と一週間。
僕はバイトに向かっていた。
暖かい朝日が顔を出した、春の日曜である。
自然と気分が上がる。今日も仕事を乗り越えられそうだ。しかも夜は鏡奈さんとの食事がある。一転して最高の生活になったなあ。
「あ、なんか可愛い男の子がいる」
茶髪の小学生と思われる少年が走っていた。日曜日だから友達の家にでも遊びに行くんだろうか。僕の小学校時代とは大違いだ。
「幸せそうでいいな――
直後、僕は固まった。
そこに恐ろしい光景があった。
信じられなくて、思考もできなくなる光景だ。
(何で…………鏡奈さんが…………男の人を連れて…………子供二人と、歩いてるんだ?)
気付けば鞄が落下していた。
輝く朝日は何かに遮断され、僕は寒くて暗い籠の中に囚われていた。
探偵がよく受ける依頼の種類の一つに、浮気や不倫の調査というものがある。先輩探偵も、来る依頼の殆どがその類いだと語っていた。
だからそれらに関係していそうな出来事を見たり聞いたりすると、浮気や不倫という単語がポッと思い浮かんでしまう。
思い浮かべるのには時間がかかった。
情報を処理できなかったのだ。何故なら、浮気というものに直面し、細切れになった浮気の意味や内容が情報として入ってきて、それらをパズルのように組み立てなければいけなかったからだ。
そう……僕は、浮気相手だった。
*****
怒りが、僕の心に込み上げた。
悲しさ、悔しさ、そして強い怒り。この感情が僕を動かした。計画させた。実行させた。
僕の愛情が踏み躙られたんだ。僕は自分を信じさせてくれたあの人が好きで、生き甲斐で、いつか結婚するかもと思っていたのに。
あれは全部嘘だったのか? 僕はやっぱり、おもちゃでしかなかったのか? こんな僕を好きになってくれたあの人は、最初から存在しなかったのか?
嫌だ。嫌いだ。大嫌いだ。
愛情を踏み躙られた。これは……恨みだ。
ニット帽を被り、前髪を中に入れる。
インターホンを鳴らす。
「はい………………!!」
「…………」
玄関扉を境に、僕と鏡奈舞は向き合った。
「夫、一旦退けろ」
「……」
怯えて青くなった顔をし、震えながら後退した鏡奈舞は、リビングに居た夫を二階に上がらせた。
その後、僕は無言で玄関扉を越えた。鏡奈舞は僕の一歩前を、こちらを向きながら歩いた。無言の時間が続き、遂にリビングに場所が移った。
室内は誕生日パーティーの装飾で溢れている。テーブルの上には誕生日ケーキが置かれている。とても楽しそうな一家じゃないか。
鏡奈舞のSNSから子供の誕生日を知り、この日を選んだのは間違いか。
「ねぇ……鏡奈舞さん、ぼ――
「うああああああっ!!」
椅子が振り上げられ、そして振り下ろされる。
僕は椅子を躱し、ナイフの刃を彼女に向けた。
豪快な音を立てて椅子が壁とぶつかる。それと同時に、刃が肉に刺さった。
グジュリと血が服に滲み、ナイフを抜くと飛び出した。
鏡奈舞は冷たい涙を流し、苦痛に顔面を歪ませながら崩れ落ちる。
その醜態を前に、僕の怒りはヒートアップした。徹底的に殺してやらないと気が済まなかった。
背中を刺す。もう一度。もう一度。
「ああっ……ああっ! あ……がっ……」
次第に服が裂け、肌が一部露出する。
右肩の辺りに黄色い星型の痣のようなものが見えた。
「……何だよ……これ……」
まるで嘲られているようだ。
馬鹿な女に釣られ、簡単に捨てられた僕を見下げているようだ。
僕はもう、感情を抑えることができなかった。叫ぶほどに忌々しかった……この女が。
「ああああああああっ!!!」
痣を切り裂く。
「死ねっ!!」
また切り裂く。
「死ねえっ!!」
また切り裂く。
「死ねっ!! 死ねっ!! 死ねええっ!!!」
気付けば、鏡奈舞も僕も、真っ赤に染まっていた。
痣はもう見えない。切り裂かれた皮膚と共に消え、血で完全に認識不可能になった。
「……!! ま……舞っ!?」
僕の叫び声に呼ばれて階段を下りてきた鏡奈舞の夫。
こいつもろくな奴じゃない。こんな女と結ばれた奴が、どうして出来た人間だと言うんだ。
それに、子供達をこの女から解放するためだ。
「死ね」
こっちは一瞬で片付いた。ナイフ一発で死んでくれた。
しかし、僕はその時点で我に返った。
悦にも浸れるような返り血は途端に恐怖の代物へと変貌し、握られていたナイフは自身の罪を決定付ける凶器へと成り代わった。
「うわあああっ!!」
ナイフを投げ捨てた。静寂の中、金属の転がる音、金属が血溜まりに触れる音が残酷に響く。
(僕が……殺した。僕が殺したんだこの人達を)
罪という言葉が感覚を消失させる。
罪の自覚。頭が熱くなる。
犯した行為の映像が脳内で幾度となくループし、目の前の凄惨な現場が僕に掛かる重力を強める。
僕はおもちゃにされた。
その事実の上で、この罪を許せる、または許される道理があるだろうか。
やられたらやり返してもいいという簡単な世界ではない。そしてやり返しとして過剰すぎることをした。
僕は、償っても償い切れない大罪を犯した。
………………嫌だ。
「ふふっ…………ふっ……あははっ……」
笑みが溢れた。
罪から逃げたくて、向き合いたくなくて、罪の重さに押し潰されそうな気持ちを紛らわすために、僕は笑うしかなかった。
「あはははははっ……ははっはっ……」
僕は爆笑しながらナイフを拾うと、リビングの棚を開けた。一見仲の良さそうな二人が写った写真を全て取り出し、別の場所から車の鍵を盗む。全体を簡単に荒らしてから、僕は玄関近くの部屋に入った。
暫くすると、外から子供の声がした。
僕が予め開けておいた扉が開かれると、まず少年が入ってきた。その後に少女も続く。
「……ただいま」
異様な空気を感じ取ったのか、少女は少し怖がっている様子で小声で言った。
その二人がリビングまで歩くと、少女の方が電気を点けた。
「透弥! 誕生日おめでと……う……」
「…………え? 母、さん……オイ母さん! なんだよっ母さん!!」
「そ……お母さん……お父さん……ね、え……どう……なんで……! なんでっ……死んでいるのっ!」
悲痛な泣き声が僕を笑顔にさせる。
僕は彼らの背後に忍び寄り、鈍器を振り下ろした。
*****
昨日の午後から降り出した雨は未だ止まず、地面を濡らし続けている。
僕は森の中、東屋に居る。お陰でずぶ濡れにならずに済んだ。
ノートパソコンを開き、冬立さんにも渡した音声データを確認する。
『………………やあ、皆んな。僕だよ。行方をくらましちゃってごめん』
相変わらず、不快な声だ。
『……全てが唐突で申し訳ないけど、僕の全部を……ここで話させてほしい』
僕は昨日の夜、泰斗君やエルミアちゃんの制止を振り切って行方をくらました。その後に冬立さんを訪ねてこの音声データとノートを託し、今ここに居る。
冬立さんは、今頃探偵事務所に向かっているだろうか。案外僕が去った直後に行ったかもな。どちらにせよこのメッセージが伝わったのなら良しとする。
『………………五年前、透弥と咲喜の両親が殺され、二人が誘拐監禁される事件が起こったね? ………………実は、あの犯人は……僕なんだ』
そう、僕は五年前、鏡奈舞とその夫である鏡奈朝日を殺害し、透弥と咲喜を誘拐監禁した。
そもそもの動機は単純なものだ。鏡奈舞は既婚で二児の母であるにも関わらず、僕と浮気した。一方の僕は自分が浮気相手であるとは知らず、彼女を心底愛していた。
まあ、その浮気、彼女が原因じゃなかったんだけど。
『僕はある日……鏡奈舞と出会った。逆ナンパっていうのかな。まあそれで、暫く付き合っていたわけなんだけど…………彼女に家族がいることを知った。…………知った僕は、怒って……逆上して……二人の命を奪ってしまった』
殺害の場面は鮮明に思い出せる。
どうかしていた。怒りで我を忘れていた。
いや、我を忘れても、人を殺すという選択肢は普通出てこない。異世界という過酷な場所で生きてきたエルミアちゃんやラメちゃんなら分かるんだけどね。この世界においては、まあ許されない考え方だ。
『……知っての通り……僕の犯行はそこで終わらなかった。どうしてそう思ったか…………僕は、この浮気性の女の下から、子供達を救ってやろうとそう思ったんだ』
夫婦の殺害を企てた時、既に透弥と咲喜のことは監禁しようとしていたんだけど、罪を自覚した時に一瞬止めようかと考えた。
でもできなかった。ここまで来たらやり遂げるしかないと考えてしまったんだ。
『僕の計画はこうだ…………夫婦を殺害後、子供を攫って監禁し、食事などを与える。警察は捜査を開始するが、捜査が難航した辺りで僕が依頼を受けた探偵として介入、自ら事件を解決し、身寄りのない遺児を引き取る。……紅宮さんにはバレバレだったけどね』
そういえば紅宮さん、会ってないな。
少しぐらい顔を出すか、これと同様にメッセージを送るかすれば良かった。泰斗君がどうにか言ってくれるかな。
『計画は無事成功したわけだけど…………その初日からだ。僕が笑うようになったのは』
音声を再度確認している現在も、僕は微笑んでいる。
悪い癖なんだ。どうしても治せない。だってこの癖は、精神の安定を維持するためのものだから。
『僕は……罪を犯した。大罪だよ。人の命を、ただ自分が復讐して怒りを吐き出して、満足したいがために、奪った。無知で無垢な子供を攫った。事件の真相を隠したまま、五年も、救世主気取りで、ずっと幸せに過ごした。心への負荷は日に日に増幅した。その分だけ、笑顔も増えていった。ずっと逃げ続けたんだ。罪から目を背け、楽な方に進み、あらゆる選択肢を、自分と向き合う選択肢を、そういう道を、排除し続けたんだ。その結果……僕に道は無くなった』
僕は真っ黒い空間でただ独り、縁に立っている。
下にはやっぱり暗闇が広がっていて、僕は下を眺めながら、道を見失っている。
後方から迫るのは壁。罪の壁。あの壁に立ち向かうことは、僕にはできない。僕は壁に押されるだけだ。
押されれば落ちる。きっと地獄の類いだろう。地獄に落ちたくはないけど、あともう少しで足場は完全に無くなってしまう。落ちるしか道は無いんだ。だって立ち向かえないんだもの。
『僕は…………弱い人だ。君達もそう思うだろう? 憎くて仕方がないだろう? 僕はね、あの日に死んだんだ。本来の霊戯羽馬は消えたんだ。君達と生きたのは……ただの霊。生霊だよ。罪から逃げようとするだけのボロい存在だ。だから正直言って……僕は透弥や咲喜に愛情なんて、最初から無かった。罪の自覚から気を逸らすための物でしかなかった。ほら……どうだ、聞いただろ今、僕のこと……大嫌いだろう?』
これで、僕の正体を知ってくれたかな。
『それでね……だからね…………僕、逃げるよ。もう無理なんだ……耐えられないんだ。誰もが……失敗して……立ち上がれる存在じゃない。僕は弱いから立ち上がれない。失敗すると、失敗した罪悪感や悲しさが生じて、次に同じ問題に直面しても、立ち上がれなくて、また失敗して……その繰り返しなんだ。でももう、その繰り返しも終わる。僕は逃げる……下へ逃げるよ』
よし、これで録音のデータは終了だな。
『最後に一つだけ言わせてくれ……………………僕は君達を愛している』
よし。ちゃんと録れてるね。安心安心。
じゃあいくか。
*****
視界が不明瞭になる程の土砂降りと定期的に落ちる雷が、世界を支配する。
その空の下で走るのは、一人の少年と少女。彼と共に生きた、二人の子供だ。
冬立に聴かされたとある音声。
それは二人にとってかけがえのない家族である、霊戯羽馬からのメッセージに他ならなかった。
ノートの一ページ目に、この森の所在が記されていた。同行する冬立を無視して森の中を全力で駆ける二人。
二人の視界に、雨風を防ぐ東屋が見えた。
その東屋の目の前で、二人は立ち止まった。
そこには、片手に白い銃を握り、頭から血を流し、無気力に横たわる金髪の男の姿があった。
霊戯羽馬は死んだ。
第136話を読んでいただき、ありがとうございました。
次回もお楽しみに。




