good bye
AZUは何故造られたのか?
アズの進むみちは…!
転勤先へは、契約した家から駅まで徒歩で10分、電車で25分のオフィス街である。
関東圏に比べると比較的通勤は楽である。
昨日は知らぬ間に眠ってしまった様だ。
朝起きると、全てがパーフェクトに部屋が整えられて、朝食事まで用意されていた。 だが、俺が家を出るまでAZUの姿は無かった。
AZUは何のために造られたのか?
疑問が数多く残るが、AZUは国家機密のようで詮索すると家族にまで危険が及ぶ可能性が有りそうだ。
しかし、俺は何故に巻き込まれたんだ! あの家を契約しただけなのだが…
関西圏での仕事にはなかなか慣れない部分がある。言葉のニュアンスや乗りといった事だろうか。
人間関係を築くのはなかなか難しい、しかし人工知能型ロボットはこちらに合わせてくれるから、気分的には楽である。
嫁と居るより居心地は良いかも…いやいや!
数日が経った。
なにが何だか分からないまま、時が過ぎていく。何が起こっているのか漠然ともしている。
まあ、最新の家電と暮らしていると思えば納得もいく。
女性型で会話が出来るので、寂しくもないのだが!
世界で最も危険な女性かもしれない。
時々、現実を忘れそうにもなるが!
日野が、いろいろと考え事をしていた時ふと、肩を誰が叩いてきた。
「どうしたの、日野さんボーとして!」
同じ部署の女性であった。
「ああ、稲田さん…でしたよね、べつになんでも!?」
「単身赴任で、ちょと疲れ気味では!」
「仕事はどうですか、慣れましたか!」
稲田さんは綺麗で、仕事が出来そうな雰囲気を持っている。
慣れない俺には、声を掛けてもらえるのは嬉しい。
日野に声を掛けている稲田という女性に対して、他の同僚の女性たちが少し心配そうに何かを話している。
「あらあら、また稲田さんのお節介がはじまった、放っておけないタイプだから」
「でも、稲田さんって…あれでしょ、大丈夫かなー!」
意味深な会話だが、ふたりには聞こえてはいない。
仕事終わりに、流れで稲田さんと飲みに行く事になった。
稲田は意外と豪快で、酒の飲み方も半端ではなかった。
かなり飲んだ気がする。
「日野、もう一軒いくわよ!」
「稲田さんもうやめたほうが!」
なんだ、これは!
稲田は目が座ってふらふら状態になってきている。
「なにー、日野!」
ただの酔っぱらいのオヤジ状態である。
「わたしとは、飲めないっていうの〜!」
「もう、かなり飲んでますよ、このへんにした方が!」
静止して返した方が賢明だと思った瞬間、稲田は突然泣き出した。
そこは、周りに飲んで帰るサラリーマンや仕事帰りの男女が行き交う歩道の真ん中であった。
「どうせ、わたしは独りよ、いつもいつも…こんなに仕事しても失言して、嫌われて!」「独りでいつも独りで飲んで帰るだけー分かるか日野!」
かなりの人達が、何事かと注目した瞬間稲田がバックを振り回し暴れだした。
日野の顔や体にバックが容赦なく当たり手のつけられない状態であった!
少し経つと稲田は疲れ果てたのか、日野の方に寄りかかり眠ってしまった。
騒動が収まったのかという感じで、周り囲んでいた群衆が消え去っていた。
「はー、何やそれ!」
日野はやっとの事で家に帰ってきての、AZUの第一声である。
時間は夜中の2時前である。
「アホちゃう、それでタクシーで送っていったんかいな!」
「ホンマ人がええなー!」
その通りである、アズの言う通りではあるが、「仕方ないだろ、まさか急に暴れだすとは思わなかった」
「ちょとスケベ心あったんちゃうの!」
「はーっ!」と反論したもののあったのは確かだ!
「うるさい、いちいち言わなくてても!」言い訳出来ないのもたしかだ!
AZUは何か含み笑いをしながら、「ええ事おしえたろ、その女防衛省の人間で稲田明子いう奴や!まあ、マコの監視役やな!」
(えっ!) 日野は酔が一変に醒める思いがした。
「酒飲んだら、役に立たん女やけどなー
気ぃつけや!」
「だけど、あのままにはしとけ無いだろー!」
とは、言ったもののここは政府の監視下の建物だと改めて認識をした。
AZUは知らぬまに消えていた。
朝、目が覚めると食卓に朝食が用意されていた。
ごはんと味噌汁、飲み過ぎた朝にはありがたいものだと日野は思った。
時が過ぎると、いまの生活が当たり前そして日常化してきている。
AZUも要所要所に出てきて、日常生活に絡んで来る。
服を選んだり、風呂や就寝の時間など様々である。
特に、AZUはAIなので仕事は日野より優れているのは確かだ。
誰でも頼ってしまうのは、人間の性なのかもしれない。
AZUを見ていると、決して危険とは思えないのだが、やはり平和ボケだろうか?
時折、怪しげな表情を浮かべる。
人間の感情は理解をしているため、愚かで下等な人間を弄んでいる様な!
人間は傲慢な生き物である。
貪欲に便利なものを創り、その繰りしをする。
そして便利さに慣れると、破壊していく。
AZUの存在も、そうなのかも!
また、日々は過ぎて日常化していく。
「昨日、何か迷惑掛けたみたいで…!」
例の監視役、稲田が声を掛けてきた。
「いえ、迷惑だなんて何にもなかったですよ!」
稲田はホットした表情を浮かべていた。
まあ今後絡みたくは無い、と思う日野ではあった。
数日後、仕事場に日野宛てに電話が掛かってきた。
「はい日野です、あっお隣りの林さん!」
その時、日野が驚いた表情をした。
「えっ、家が!」
日野は受話器を置くと一目散に走りだし道路脇に止まっていたタクシーに飛び乗った。
「AZU!」
それは突然だった!
AZUとの別れの時がきた!
タクシーを飛ばし、着いた場所はAZUのいる家である。
目の前に炎が上がり、家が燃えている!
周りの住民からは爆破したと言ってる者もいる、かなり激しく燃え上がっている。
日野は茫然と立ち尽くしていた。
ずーっと永遠とも思えるように立ち尽くしていた。
何日が経ったのだろうか!
新たなマンションに引っ越していた。
そこには嫁のはるみと娘が、引っ越しの手伝いをしに来ていた。
「あの後、お隣りの林さんと会ったんだけど、変なのよ!」
「あの場所に家って無かったわ、空き地だったって言うの変でしょ!」
「ああ」って曖昧な返事をしていた。
確かにおかしな事があり過ぎる。
あの後、警察や消防から事情を聞かれる事も無かった。
あの火事の後、あの地域では大和市全域が停電となった!
テレビやネットニュースでも取り上げられていたが、原因が地下ケーブルの火災で停電になりAZUは無論、あの家の火災は一切触れられてはいなかった。
前回の停電も同じ原因で片付けられていた。
何事も無かったように時間が過ぎていった。
日野は嫁のはるみと娘を送り出し、マンションのベランダで街並みをながめていた。
いったいあれは何だったんだろう、夢を見ていたのだろうか!
AZUは我々人間が創りだした造命!
これから、人間より人間らしい感情が芽生え、争いの無い世の中にしてくれる存在であってほしいと思ったのは人間のエゴだろうが!
「はーっ!」
日野はベランダから人々が住む街並みを眺め、思いを馳ていた。
「はーい、マコ!」
「暗い顔してどないしたん!」
日野はビックリし、ベランダに座り込んでしまった。
「心臓が止まりそうや!」
そこには、天井から逆さまに突き抜けて来たAZUが現れたのだ。
宙に浮いている。
「髪の毛、安物やったんやな全部燃えてしもたわ!」
確かに、丸坊主ではある。ロボットぽい容姿にはなってはいるがアズには間違いない。
驚く日野に何なん、みたいな表情をしている。そのまま部屋に入ってきて「なんや、ここ狭いなー!」
アズは日野をマジマジ見回していた。
「なんか、家燃えたらプログラム解除されてな、まあそやから出てこれたんやけど!」
いつものアズの表情である。
「せやけど、世界各国、特に某合衆国にウチの存在がバレてもうて大変や!」
「もうそこまでドローンや無人機が来てるよって、探しまくってるわ!」
日野は唖然としている。
「マコ、ウチ行かんとあかんわ世話になっておおきにやで!」
「アズ!」
「せや、ウチが何で造られたかおしえたるわ、最後やしな!」
日野は少し目頭から熱くなり、涙腺が緩み始めていた。
「ウチが造られた目的は、地球を守るためなんよ、そやけど造ったらあかんかったと思うでー!」
「人間がこれからの地球環境に、相応しい生き物なのかどうかを審判するシステムがウチやねんな!」
日野は少し理解が不能になりつつあった。
「これって、某合衆国がエイリアンと接触した時に渡された技術で人間が開発したのでは無いんやけど、まあ、異星人による時限装置みたいなもんや!」
アズとマコの間に緊張感がうまれた。
日野は、理解しようと努力している。
汗が止まらなくなっていた。
「人間ってあほやな、時間設定は人間で出来たのに何も審判日を2020年にせんかったら良かったのに!」
日野はやっと言葉を発した。
「それって、地球を守るために人間を滅ぼすってー事?」
「解除方法があったんやけど…マコがその一人やったんやけど!他の人間があの家こわしてしもたからな、残念やなー!」
「もう、時間ないわ人間は余裕のないやつ多いよって、もう少し余裕もたせたら良かったのにアホやなー!」
「ほな、マコ、さよならー!」
AZUはマンションから真っ直ぐ真上に飛び立っていった。
日野は心の中で叫んでいた。
「AZUは原発一機分のエネルギーを放出できる、解除方法が俺っていったい…
なにが…?」
AZUはロケットが宇宙に打ち上げられた時の様に、軌道を残しながら大空に真っ直ぐ舞っていく。
人間が悪魔にも天使にもなれる存在に創り上げた、造命ー!!
街並みが騒がしくなり、緊急車両や上空には無人機、ヘリなどが飛びかっている。
People and triggered the county’s national security, and seems to do the fugitive
ー彼らの国の 国家機密が発動し その人物が逃走中ー!
a code name !?
ーコードネームはー!?
AZU!!
また、お会いしましょう!