リアルタ
昔のはなし…
迷路の街 石畳
男と女は幼なじみで…
女は男に恋をした
昔のはなし…
細い路地の石の家
男と女は幼なじみで…
男は女を愛しただろうか…
昔のはなし
薄暗く小さな家で
男と女は幼なじみで
二人は共に暮らし始めた
淡いグレーの裾引く服に 素足に革のサンダルは
いつの頃だろう
無精髭と栗色の巻き毛 ポーカーフェイスを崩さない
いつの事だろう
昼から酒を酌み交わし 家でも一人で瓶を開け…
それはここでは当たり前
ふらりと出かけるその先は 角の家 女の住まい
気づかぬフリで背を向ける…
浮気な夫 妻の胸は塞がれた…
怯える心 別れの朝を避けるよに
見果てぬ夢を抱きながら 夫は 消える 言葉少なに
海と空の交わるところへ…
妻は帰りを待ちわびた ずっと 一人で 思い出抱いて
便りも届かぬ海の果て…
丘に登って待っていた
いつ…?
どこ…?
誰…
瞼を開けると見慣れた天井 見慣れた壁紙 見慣れた机 デジタル時計…
それは、夢
瞼を閉じると見知らぬ町並み 見知らぬ女 見知らぬ丘の水平線…
これは、現
あの女…あの男…あの海…白い家並みは…
切なさ込み上げ リアルな夢の…
感傷に浸る心を味噌汁の匂いがかき消すと、夢の終りを告げていた
09.05.12
この詩については今回で完結となります。
ご覧頂いた皆様にはこの場を借りて御礼申し上げます。
今回の詩は全て、かつて何度か見た夢を詩に仕立てものです。
一話目の『ミコノス』が核となり、その後のスト−リーを付け足していったのは十数年前に遡ります。「幼なじみの二人は愛し合い共に暮らし始めるものの、男は浮気で、やがて船に乗り、その土地を離れていく」というストーリーなのですが、何度も見るうちに「これって前世の記憶なんじゃないかしら…」などと考えてしまうほどでした。
切ない夢である為なるべく思い出さないように暮らしてきたのですが、悪い夢は他の方に買ってもらうと良いそうなので^^切なさを皆さんにおすそ分けさせて頂こうと、ラストまで書き上げる事に致しました。
今回の詩は、当初『ミコノス』のみを短編として投稿するつもりでしたが、先述の理由により連載に変更したものです。その点からも一話目のミコノスは完成度が高く、私自身、一番気に入っている詩となります。
反対に難しかったのは最終話の『リアルタ』で、大変悩みながら書きあげた為、やや雑な気がしています。うまく韻が踏めないなど形式的に満足出来ない上、このストーリーを著す事に躊躇いを感じていました。もう少し時間をかけて推敲を重ねようかとも思ったのですが、内容に変更を加えるつもりはありませんし、難しく考えるより自由詩として捉えていただければ…との思いから、更新を決意した次第です。
後々書き直す可能性がありますので、その際は改めて投稿させていただくかもしれません。
詩には不慣れな為足りないところも多々あるかとは存じますが、お伝えしたかった事が少しでお届けできたなら幸いです。




