エンチャンター 窮地に陥る
無理なものは無理です
諦めましょう…。
「これを直せと…」
目の前には最近話題のゲーム、モンスター ドライブ クロニクルの特大サイズカセットと、自分の身長を遥かに超える天任堂の、とあるゲーム機。
ドラゴン専用らしい…。
しかも、リモコンはオリハルコン製の特注品!
確か、このリモコン、ドラゴンでも壊れないと言うフレコミで売っていた奴では?
開発部が気合いを入れて壊せるものなら壊してみろ!と作成した一品だが…。
折り曲がっている…。
何度見ても現実は変わらない。
「つい、カッとなって、力入れたら、ひん曲げちまってな…」
これは酷い…。
俺はエンチャンターだぜ、ひん曲がったフレームはドワーフの仕事だろ!
エンチャント切れたから曲がったか?
文句言う前に、先ずは調査だ。
あれ〜?しっかりとエンチャント効いてるわ…耐久性底上げていたはずなのだが…折り曲がっている。
神竜スゲー!聖剣より遥かに丈夫なはずだが…勇者が喧嘩売っても余裕で勝てるんじゃね?
いかん、あまりの自体に現実逃避しそうになった。
やはり、神竜のパワーには無理の様だ…と言うより恐ろしい。
「3日後にモンクロで知り合いと通信プレイしたいんで、それまでに直して欲しいんだわ」
「これは無理!直せません!大体、ひん曲がったオリハルコンフレームなんて、直せる訳ないじゃないですか!」
「金なら有る!いくらだ!言え!」
「特注品なんですから、修理どころか在庫すら無いですよ!」
「保証期間内だ!何とかしろ!」
おのれぇ…開発部!厄介事押し付けやがって!
「仕方ががねぇな、フレーム戻せば直せるだろ!」
そう言って、力尽くでフレームを修正しようとする神竜…。
徐々に形が戻っていくが、バキバキと中の基盤の悲鳴が聞こえる…。
そして!
…真っ二つに割れる。
…
…
「割れましたね…」
「割れたな…」
「どうする気です?」
「お前がそれを言うな…どうにかしろ」
「どう考えても真っ二つになったものなんて無理に決まっているじゃないですか!無茶言わないで下さい!」
「ドラゴンでも壊れないが売りで販売したものだろ!ガタガタ言うな!直せ!」
おのれ…販売部!厄介なもの販売しやがって!
「普通のリモコンじゃ駄目ですか?」
「お前、あそこを見ろ!あの片隅にある残骸分かるか?あれ全て壊れたリモコンだ!」
「いったい何十個ぶち壊したらあんな山になるのですか!壊しすぎです!」
「だから、さらに丈夫なリモコンにしたのだろうが!」
まぁ、こんだけあれば、頑張ればニコイチは可能…ではないな、同じ所が壊れている。
大体、ドラゴン専用機自体、受注生産だしなぁ…作ってすぐ売れるものでないし、そもそもゲームするドラゴン自体が稀なんたよ。
「兎に角、3日だ!3日間でどうにかしろ!言い訳は許さん!」
そう言うと神竜は出口に向かい歩き始めた。
そう、壊れる程の怒りを作った元凶にお仕置きするため…。
その日1日は、爆音と共に物凄い揺れが続き、地形が一部変わってしまった。
後から聞いたが、地図が書き直す必要な位の天変地異だったとの事だ…。
正に、歩く災害である。
そんな恐ろしい生物に、ゲーム機を販売する会社も中々恐ろしいかも知れない。
なんか、地味に閲覧が伸び始めてます。感謝!