また死神の季節がやって来た…。
本日も変な物を召喚し続ける羽目になった。
まさか、運送コストを抑えるのに、召喚術を利用するとは…最近の商人はえげつない!
大根、人参を馬車ごと召喚する事から始まり、ドラゴンの肉や儀式用の幻覚剤など召喚する事になるとは…召喚士を何だと思っているのか、実に腹立たしい!
(中々の契約内容と思ったが…まさか、こんな落とし穴があるとは想定外だ。)
指定した座標からなら、魔力が続く限り、神々の加護のせいで、いくらでも召喚出来てしまう自分が辛い…が、この作業、脱法行為だ! 運送業取締法に召喚術による運搬が入ってないとは!
しかも、今回こそは引っかかるだろうと思っていた物が有ったが、検疫も見事にパスしてしまった…。
流石、良くも悪くも名の知れた商人だ、情報を制する者は強い!
(知らない自分が悪いのだ…仕方が無いがあと2日の辛抱だ、酒飲んで忘れよう。)
そう思い、酒場に向かった。
酒場に着いたが、酒場の入り口でスケルトン軍団が死神をボコボコにしている。
(今年も、この季節がやって来たか…毎年恒例の死神ボコボコ祭り。)
神に属する死神も、邪神に属する死神も関係無く何故かこの地、この季節に新人死神を派遣する。
そして、上司命令を受けた新入死神が、アンデッドに死んで頂く為に、説得や力づくで討伐しようと頑張るのだが、ここに居るスケルトンは、200年以上修羅場を渡り歩いて居る訳で…弱い訳が無い。
むしろ、下手な神より強い!
「世間の厳しさを知らぬヘッポコ死神共が!」
「死ねだと?殺すぞ!てめぇ!」
「お前、馬鹿だろ!死にたくないからアンデッドをやっているのだろうが!」
(…相変わらずエンジョイしてるなぁ、ここのスケルトン。)
命乞いしている死神や、上半身埋まっている奴もいる。
(向こうに居る死神は、集団で袋にされている…何をヤラかしたのか?)
スケルトンがボコボコに蹴りまくった後、回復を得意としたスケルトンがヒールをかけて回復、そして、また繰り返す。
中々上手い連携が取れている。
(しかし…酒場に入れないのだが、どうしようか?)
仕方が無いので、とりあえず近くのコンビニで酒とツマミを買い、まだまだ続く死神ボコボコ祭りを鑑賞する事にした召喚士であった。