第4話 包囲
今回は少し短めです。
僕はハイリ姉さんに連れられて、異世界をあてなく進んでいた。
職業預言者のスキル《未来識》によってモンスターに遭遇するルートは一切通らず、なんとか街に見える鋼鉄の箱がたくさんある場所が見える位置にたどり着いた。
ハイリ姉さんがどこからか食料を出してくれるので、それを食べてなんとか食い繋いでいるが、永続的に食料を出せる訳ではないと思うので、なんとか街に入りたいと思った。
そう瞬間、モンスターに取り囲まれる未来が見えた。
咄嗟にハイリ姉さんに見えた未来を伝えるが、遅かった。
鋼鉄のモンスターに囲まれた僕とハイリ姉さんは、モンスターの攻撃を避けられるように構える。
だが、未来視で見てみる攻撃が飛んでくることはなかった。
しばらく膠着した状態が続くと、モンスターの一部が道を開き、女性が1人現れた。
「ようこそ、ベフティルへ。
我らが救世主よ。」
救世主?ハイリ姉さんのこと?
「いえいえ、あなたのことですよ?フュール・グラーゼさん?」
なんで、僕の名前を………。
「それは、未来を見えたからですよ。」
「…まさか、預言者?」
「はい、私はベフティルの預言者である、フューリです。
あなた達に逃げられない為に、このような包囲をさせて貰いました。」
「………私達をどうするつもり?」
「それは、私達と一緒にベフティルを救ってもらいたいのです。」
「そんなこと、出来るはずが…。」
「出来るのですよ、この機械兵を使えば。
そしてあなたがいれば。」
「僕に、そんな力は無いです。」
「いいえ?あなたは気がついていないだけです。
あなた自身の本当の能力を…。」
本当の能力、そんなものが本当にあったとして、世界を救うなんて可能なのか…?
未来予測で見てみるが、可能なんていう予測は一切無い、というかエラーが出て来て測定不可になる。
「ひとまず、私達の街に行きましょう。
そこで考えていただければ、と思います。」
僕とハイリ姉さんは、フューリさんに連れられて、街に入っていった。
街には人が透明な板が動く建物に入っていく。
「これは………、なんですか?」
「これは自動ドアです。人が近づくと開く仕組みです。」
試しに近づいてみると、ウィーンという音を立てて扉が開いた。
これは………すごいな。
自動ドアを何回か開け閉めを繰り返し、しばらくしてようやく冷静になれた。
「では、この部屋がフュールさんとハイリさんの部屋になります。」
そう言われて案内された部屋は、かなり広く、世話役の女の人がいた。
この人を通して情報が伝わっていくのか…。
「では、私はこれで、あと、その方はあなたの想像通りの役割ですよ。」
やっぱり相手に僕と同じ預言者がいると厄介だな。
「あ、あと国王があなた達に会いたがっていたので、明日、早朝に迎えをよこすので、しっかり準備しておいてくださいね。」
国王…。
一体どんな国王なんだろう。
僕はそこが気になったが、この世界に来てからというもの、移動ばかりで筋肉痛が凄まじいことになっていたので、お風呂に入ってからベッドに飛び込んだ。
お風呂もベッドもハイリ姉さんが入ってきたので、なんとか追い返した。
しかし、ベッドに入ってくるのは、止められなかった。
僕はハイリ姉さんの抱き枕にされつつ夢を見るのだった。