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第2話 預言者、狙われる

 赤く染まる地平線、昨日見た予知夢と同じ光景。

 しかし、いくつか違うことがあった。

 それは、俺の隣にハイリさんが居たこと。

 そして、俺が死にかけではなく、無傷で天使と戦っていたこと。

 無数の死が溢れていることは変わらない、だがそれこそが未来を変えられる証明だと俺は思った。


 目を覚ました俺は考える。

 なぜ未来が変わったのか、それが分かればあの予知夢を回避することが出来るかもしれない。

 それは置いておいて、今は迫りくる危機から逃げよう。

 俺は木から木へと飛び移る。

 しかし、地上から俺と同じスピードで移動する影が一つあった。


「………フューくん、降りてきて。」

「なんで追ってくるんですか!?」

 いや、ほんとなんでハイリさんが俺を追ってくるんだ?!

「俺のことは、放っておいてください!」

「………それはだめ。」

「なんで、ですか!」

 未来予測の結果、逃げられないことがわかったので、飛び移るのをやめる。

 うん、なんで息が整っているんだろう?

 こっちはもう、動くことすら出来ないくらい疲れているというのに………。

 これも職業(クラス)の違いなのかな?


 ………!

 俺は仰向けに寝転がる。

 すると、次の瞬間、ヒュンッ!と風を切ってナイフが俺に向かって飛んできた。

 未来視で見えていたけど、やっぱりびっくりするな。

 今までは、厄災を呼ぶ者の俺を冒険者を使って殺しにきていたのに、遂に暗殺者か。

 たぶん、預言者なんていう世界で1人しかなれない職業(クラス)に厄災を呼ぶ者がなっているのが不都合な連中が、俺を殺して他の人間に預言者が行くようにしたいのだろう。


 俺にナイフを投げ飛ばした暗殺者は、ハイリさんによって捕縛された。

 ………うん、聖女って拳でナイフを握り潰せるんだって初めて知った。

「あなた、どこの人間?」

「答える訳が無いだろ。」

 それだけ言うと、暗殺者の男は首から上が爆発して死んだ。


「怪我は無い?」

「大丈夫です。

 俺に関わっていると、ハイリさんも巻き込んでしまいます。

 なので、ついてこないでください。」

 俺がそれだけ言って立ち去ろうとすると、ハイリさんが腕を掴んで引き寄せる。

 あ、握力がぁぁあ!

 振り払うとか、絶対無理な力で掴まれ、ハイリさんが俺を抱きしめた。


「大丈夫、私がいるから、大丈夫。」

「どうして、ここまでするんですか?」

「………私には救えなかった命があるの。

 フューくんよりも小さい、フューくんと同じ男の子がいたの。

 その子も、大人達からひどいことをされていたの。

 私はその子を保護した。

 でも、その子を守りきれなかった。

 私が離れた隙に…、ごめん。」

「その子の代わりに俺を守りたいと?」

「違う!

 あの子の代わりになんて思ってない!

 私は、ただ…、もう2度と同じことを起きないように…。」

「でも、それはハイリさん自身の為じゃないんですか?」

 その子を守ることが出来なかった自分が、同じ境遇の人間を自分の手で守ることで自分を守りたいのではないのか?

 俺はそこが知りたい。

 もう、裏切られて1人になるのは嫌だから………。


 しばらくハイリさんは悩んだあと、俺の目を見つめて答えを話し始めた。

「………そう、だね。

 たぶん、そう。

 でも、私はフューくんを守りたいのは本当。

 だって、私はフューくんのことが…。」

「危ない!」

 俺はハイリさんに飛びかかり、後ろで起こった大爆発からハイリさんを守り、俺自身は背中に大火傷を負ってしまう。


「フューくん!?

 “主よ、我が願いを聞き届けたまえ、この者の負った火傷を直したまえ”」

 ハイリさんが告げると、俺の火傷が瞬く間に治癒していく。

 しばらくすると、俺の負った火傷はすべて治っていた。


 俺、今日自分に厄災を呼んでるわ。

 なんでこんなに暗殺者や冒険者がいるんだよ。

 あと、やっぱり敵になるんだな。

 ハイリさん以外の勇者達…。


「あなた達、なんでそっちにいるの?」

「いや、うん、さすがに滅びを運ぶとか言われたら、な。

 勇者として、滅びを享受するつもりは無い。」

「なら、今から私達は敵同士。」


 そしてこっちを向いてハイリさんは微笑んだ。

「大丈夫、フューくんは絶対に、殺させないから。」

 そして戦いは始まった。


 俺は飛んでくる魔法や、矢を避け続ける。

 どれもこれも紙一重で避けられるのは、スキル《未来識》のおかげだな。

 俺はハイリさんに見えた未来をすべて伝える為にハイリさんの近くに向かって走り始めた。

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