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第1話 すべての始まり

 赤く、見渡す限りどこまでも赤く染まる地平で、俺は動けずにその場に横たわっていた。

 地面は血で、空は炎によって赤く染まっており、逃げ惑う人々が白い靄のかかった何かに虐殺されていく。

 そして、空からは今も無数の白い何かが舞い降り続け、俺の周囲にいる人を1人、また1人と殺していく。

 それを俺は地面に横たわりながら見ることしか出来ない。

 もう、腕は無くなっており、足も皮1枚で繋がっている状態で意識を保っているのがやっとなのだ。

 そして周囲に人がいなくなると、白い何かが俺を囲むように立ち、俺に次々と手に持った武器を突き立てる。

 すべてが赤く染まった時、俺の意識は闇へと飲まれていった。




「うわぁあ!?」

 俺は飛び起きると同時に自分が置かれている状況を把握した。

 まずい…、飛び起きたせいで木から落ちて、モンスターに気が付かれた。

 今日が15歳の誕生日で成人になったのになんて運が無いのだろうか…。

 この世界(アスクト)には現在、突如として開いた次元の穴から現れた異世界(ベフティル)の人間やそいつらが使役するモンスターによる侵攻を受けている。

 だが、それを甘んじて受けるはずもなく、職業(クラス)と呼ばれる15歳になると神から与えられる能力をもった人間の中でも、戦闘系の職業(クラス)の人間が異世界(ベフティル)の勢力との戦闘を開始した。

 最初は押されていた世界(アスクト)だったが、徐々に異世界(ベフティル)に繋がる次元の穴まで押し戻すことに成功する。

 それからは次元の穴の付近で小競り合いを続けている。


 俺がいるのは次元の穴の近くの魔の森と呼ばれる森だ。

 2年ほど前に突如として黒髪黒目になってしまい、厄災をよぶからと家から追い出され、会う人間すべてにひどい目に遭わされたり、いろいろあってたどり着いたのがここだった。

 なんとか今まで生きてこれたが、4日前に狩っておいたモンスターを食べ尽くしてしまったので、またモンスターを倒して食料にしなければならない。

 しかし、最近のモンスターは鉱石を加工したものを使った武器みたいに硬い奴が多いので食料にすることが出来ない。

 今もそんな食料にならないモンスター達から逃げている途中だ。


 ただ、やはりというべきか、4日も食事をしていない俺は、逃げている途中で力尽きて転けてしまう。

 あぁ、俺はここで死ぬのか…。

 そう思ったが、モンスターが俺を襲ってくることはなかった。

 モンスターが追ってきていた方向を見てみると、どうやら冒険者が俺を助けてくれたようだ。

 それを確認した俺はその場を離れようとしたが、空腹で意識を失った。


 気がついた時、俺の目には屋根が映った。

 体を起こしてみると、どうやらベッドに運ばれていたようだ。

 とりあえず机の上に置いてあった果物や肉を手当たり次第に口に運んでいく。

「…っ!?ごほっ、ごほっ!!」

 しかし久しぶりの食事に体がびっくりしたのか、むせてしまった。


「………大丈夫?」

 扉を半開きで開けてこちらを覗いてきたのは、黒い修道服に身を包んだお姉さんだった。

 お姉さんは碧色の目でこちらをまっすぐ見つめてくる。

「ちょっとむせただけです。」

「………私、聖女だから、ちょっと見せて。」

 そうお姉さんが言うとこちらに近付いてくる。

 そしてお姉さんが俺の体を心配そうに触り、しばらく触ったあと手を離した。


「………ん、大丈夫なはず。とりあえず自己紹介しよ?私はハイリ、ハイリ・トラティタ。職業(クラス)は聖女。」

「俺は、フュール・グラーゼ、今年で15歳です。」

「………私の一歳年下なんだね、フューくん。とりあえず、なんであんな場所にいたの?」

 フューくん?!

 初対面でそんな呼び方するか普通?!

 いや、聖女なんて希少な職業(クラス)なんだ。

 普通なんてないか…。

「あそこに住んでるんだよ。あそこしか、俺の居られる場所が無かったから。」

 俺がそう答えると、扉が倒れて4人の人がし雪崩れこんでくる。


 話を聞いていくと、どうやらハイリさん達は勇者のパーティーとして、次元の穴から現れる異世界(ベフティル)の勢力の討伐、もしくは撃退をしているらしい。

 勇者、騎士、弓使い、聖女、聖女というパーティーらしい。

 希少な職業(クラス)の聖女が2人もいるとは、かなり期待されている勇者なんだろう。


 俺が森で暮らしていた理由を話すと、全員が泣いてしまい、唯一泣いていない俺がなだめることになってしまった。

 そして、自分の職業(クラス)がわかっていないことを告げると、勇者達が神殿に突撃して、俺は職業(クラス)を調べてもらえることになった。


「こ、れは…、おめでとう、ございます。あなたの職業(クラス)は預言者です。この世に1人しか存在しない希少な職業(クラス)ですよ。

 ………しかし、厄災を呼ぶ者が預言者とは、世も末ですね。」

「そん、な…。」

 自分の職業(クラス)が預言者だと知った俺は、絶望した。

 今日見た夢が予知夢であることを知ってしまったから。

 あの光景がどこで、いつ起こるかはわからない。

 だが、あの光景は俺が生きている限り必ず起こる光景だ。

 つまり、俺の命は俺を助けてくれた勇者達に狙われる可能性がある、ということだ。


 勇者達が俺にパーティーに入らないか?と誘ってくれるが、俺がいると優しくしてくれた勇者達を巻き込んでしまう。

 そう思った俺は、勇者達の誘いを断り、魔の森へと帰っていった。


 そうすることで起こる未来を預言者のスキル《未来識》で予測しながら………。

未来識

以下の4つのスキルで構成される複合スキルです。

未来視

1分先の映像を見れる

未来予知

3秒先の情報を知ることが出来る

未来予測

24時間に起こることを予測できる

予知夢

未来に起こる事象を自分視点の夢として見ることが出来る

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