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短編集 ひとさじの塩  作者: 水玉カエル
3/6

3さじめ

「夢魔」


 嫌なことがあると、初恋の人が夢に出る。


 今、どこに住んでいるのか、何をしているのか、ぼくには全くわからない。記憶の片隅に残った、あの頃の姿で彼女は出る。


 夢の中でぼくは「よかった」と思う。彼女とどうにか連絡が取りたい気持ちがどこかにあるんだろう。



 以前の夢では場面の端々に彼女が居た。

 次の夢では彼女に声をかけることが出来た。



 その次の夢では彼女が声をかけてきた。

 また次の夢では、彼女の連絡先を聞いた。



 昨日の夢では、彼女と1日デートをした。

 ぼくが現実で嫌な気持ちになるほど、彼女は饒舌になっていく。


 今日の夢でも、彼女に会えるだろう。楽しみだ。楽しみだ。


 そういえば、最近、夢魔病というものを耳にした。なんでも、会いたいけど会えない人が夢に出て、精神を蝕んでいくというものらしい。


 きっとぼくもそれなんだろう。

 でもいいんだ。この病気にかかっているうちは、ぼくは誰かを愛していられる。


 毎日毎日毎日、よくわからないまま生きているよりはずっと幸せだ。

 仕事が終わったら早く帰ろう。

 早くねむろう。

 

 彼女に話したいことがたくさんあるからね。

 


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