事件
「起立、礼。」
今日もいつもと同じ日が始まる。と思ったのだが、今日も小林はいない。今日の欠席は昨日と同じく三人。昨日休んでいた二人は復帰していた。その代わりに二人が入れ替わるように欠席していた。俺は形だけの礼をして、担任の山王は今日は何を喋るのだろうか?
「ああ、みんなおはような。今日は何点か連絡事項がある。今日の部活動はなし。五時半に完全下校とする。あとどうやら風邪が流行っているからみんな注意しろ。以上。何かあるか?」
五時半に完全下校?どういうことだ?クラスの皆も同じことを思っているのかクラスの様子が少し騒がしい。みんなの気持ちを代弁するかのように米本が先生に質問する。
「先生何で今日は早くに完全下校なんですか?」
「そうかそれを説明しないとな。あとでプリンとを渡すことになるともうがこのあたりで殺人事件があってな。さっきわかったことだ。たぶん、お前らもスマホで検索しても出てこないともうぞ。本当にさっきわかったことのようだし。」
「どこで殺人事件があったんですか?」
米本が続いて質問する。俺も知りたい。
「隣町だな。俺も詳しくは知らない。だが、用心に越したことは無いし、警戒することでお前らが犠牲にならなくて済むかもしれないしな。あと、犠牲者のまだ身元はまだわかってないようだな。詳しいことは後でまたプリントで配るから。これくらいかな伝達事項は。俺はもうこれ以上知ってることは無いしな。プリントを配るときにまた説明するから。では以上。一時間目に備えてくれ。」
そう言うと先生は出ていった。しかし、殺人事件か。この街も物騒になったものだ。まさか殺人事件が起きるとは。行方不明の小林の顔がふと思い浮かんだが、
「いやいやそれはないだろ・・・・・。」
俺は不安をかき消すようにつぶやく。
誰も寄り付かない竹林に来ていた新米刑事の川中は先輩の川内が明らかにイラついているのがわかった。まあ、わからないでもない。川中は警察の人間になってまだ日も浅い。しかし、そんなに経験がない自分でもここで起きたことが異常というのがわかる。なにせ何もわからないのだ。本当に何も。目の前に死体があるというのに本当に何もわからない。そういう状況だ。
現場で見つかったのは頭と胴体が綺麗に離れた死体。何で切ったのだろうか、こんなにきれいに切れることはない。それに不思議なことはいくらでもある。川中は現場検証に来た人たちの
「なんだこの死体は。」
わからないのはこの死体は間違いなく新しい死体なのに地面に着いた血は古い。そして、何よりもおかしいのは・・・・。
「誰なんだ君は。」
死体の顔は平たかったのだ。のっぺらぼうという妖怪っていうのがいるがまさしくそれだった。
「わけわかんねーよ。」
現場検証に来た男はそうつぶやいていた。
そして現場に残されたのはフェノメノっていう血文字だけ。
そして、その四文字は不思議と上品さを兼ね備えていた。不思議なことに。