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魄の際  作者: 神前 健人
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学校

俺はなぜか進路指導室に案内されていた。ここはあまり居心地がよろしくない。勉強のにおいがプンプン漂ってくる。○○大学過去問だとか、他にも参考書で溢れかえっている。本の出すあの特有のにおいが嫌いなのもあるし、勉強が嫌いなためにどうにもこうにも体が拒否反応を示しているようだった。油と水。絶対に溶けることのない二つのものの関係と俺と勉強との関係は似たようなものなのだ。

「まあ、ひとまず座って黒羽根。」

「はい。」

俺はすすめられて、そこらにあった椅子を自分側に引き寄せ、座る、先生は座らず、立ったままで話をするようだ。相手から見下されているかのような感覚を受ける。まるでこちらが立場の方が上だと自己主張しているかのようだ。

 チャイムが鳴った。どうやら一時間目が始まったらしい。そんなことは何でもないようなことのように気にもかけず先生は話し出した。

「黒羽根。少し待っておいてくれ。あと今から来るのは警察の人だ。」

「警察?どういうことですか?俺にはさっぱりなんですが・・・・・。」

「今日、小林が休んでいるのは知っているな?」

「ええ、まあ。」

「実はな昨日から小林が行方不明なんだ。」

「行方不明?」

「ああ。ちなみにこれは内緒で頼む。あいつの家が金持ちっていうのは知ってるだろ?まあ、一族でもめ事が起きるからなんたらこうたらでこれは内密にということらしい。まあ、警察もいろいろと恩恵をあの一家から受けてるはずだからなあ。警察の中で内密に捜索しているらしい。ということで、お前もこのことについては秘密だ。喋ったらマジで消される可能性だってあるからな。そこは用心しろよ?」

「はあ。わかりました。」

遠い世界の事のように聞こえる。しかし、この話だけで俺はなぜ呼び出されたのか分かった。

「もう、お前を呼んだ理由はわかるな。」

「まあ・・・。」

「というわけだ。いきなり、警察の人が来てもとまどうだけだろうし少しだけ説明しておいたぞ。まあ、俺の役目はここらで終わりだ。あとは警察の人と喋りな。俺は授業に戻るよ。あと、呼び出しの原因は・・・・・お前が家庭科教室の窓を割った件で絞られたっていうことにしとけ。まあ、事実だし。じゃあな。」

「なんでばれてんだよ・・・・。」

なんとか秘密にしていたのにどうやら先生にはばれていたらしい。警察の人に会う前になんてことをしてくれてるんだあの先生・・・。なんか先生が怖い。

そして、先生と入れかわるように中年のおじさんと若い人が入ってきた。

「どうも君が黒羽根君かな?警察の川内と言います。で、こっちは川中。ちょっとお話を聞かせてもらってもいいかな?少し先生にこっちの事情を聞いたみたいだし、いきなり本題からはいろう。君は小林君に最後に会ったのはいつだい?」

「ええと昨日だと思いますが・・・・・。」

「どこで?」

「ここでです。」

「なにか変わった様子が小林君にあったかな?」

「いえ、特には。昼に少しお腹が痛いとは言っていましたが。あとは昨日は一緒に遊んではいませんし・・・・。誘ったんですけど、用事があるとか言って先に帰っていきましたね。」

「用事?」

「内容は知りません。聞いたんですけど、答えてくれませんでした。」

「他に知っていることは?」

「いえ、特には・・・・。」

「そうか・・・・。まあこれだけでも十分か。ありがとう。もう授業に戻ってもいいよ。先生にも言われただろうが、このことは内密に。いつまでこのことを内密にできるかは知らんがね。あと、これは名刺だ。このことで何かあったらメールで電話でもしてくれ。」

「はい。」

俺は名刺をもらう。警察の人に名刺をもらうのは二回目だ。

「では。これで。」

そういうと警察の二人は帰っていった。これが事情聴衆ってやつだ。今回も手早く終わった。

「しかし小林がねえ。」

俺はそうつぶやくと、教室へと戻ろうとしたその時だった。

「メール?」

件名なし。小林のメアド。本文にはただ一つの単語だけが書いてあった。

「「フェノメノ」」と。

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