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魄の際  作者: 神前 健人
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学校

「起立。気を付け礼。」

朝のホームルームが始まる。いつもと同じのように見えて今日は少し休みが多い。空席は四つ。新学期始まってそうそう休みが多いとは、まだ季節の変わり目であるわけだし、風邪でもひいたのかもしれない。自分も気を付けなくては。

「では、を始めます。今日は休みが多いな。誰が休んでる?小林と田所と清水に・・・・、大林か。小林以外は連絡ありっと。どうやら風邪が流行ってるみたいだな。お前たちも気を付けろよ。ホームルーム以上。では一限目に備えてくれ。」

山王先生のホームルームは簡素だ。俺は一年の時も担任が山王だったわけだが、このさっさと終わるホームルームにも慣れてしまった。普通の先生だったらもう少し話をしてもおかしくない。事実、廊下のは他の先生の声が響いてる。ホームルームが終わって緩い雰囲気を出しているのはこの教室くらいのものだ。山王先生はもう二年二組の教室を出て行ってしまっていた。必要なことしか喋らず、無駄なことはしない。それが先生の流儀らしかった。去年も無駄はいかん、というのが口癖だったし、今でも相変わらずすぐに口から出てくる言葉は無駄はなしという言葉だったりする。先生ともっと仲良くしたい奴からしたらもう少し先生との絡みが欲しいようだが、俺からしたらこの先生はありがたい。仲良くなり過ぎず適当な位置でかかわりあえる関係というのは実は貴重なものだから。この先生には気兼ねをせずに済む。それに無駄がないので何もかもスムーズに行える。授業の進み方、行事の運営、この先生はどちらともてきぱきと無駄なくこなす。一見、無駄に見えることも実はあとあとの無駄を失くすための洗練された行動だったりする。だから、俺はこの教師には逆らわないし、しても意味がない。俺がこの学校で唯一尊敬している先生だったりする。

 そんな先生がひょっこりと教室に現れる。何やら用事が残っていたのだろうか?少し珍しい。引き返すなんて無駄な極みであるし。

「黒羽根ちょっといいか?」

どうやら、俺に用事があるらしい。全くもって心あたりがない。俺は席をたった。


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